「うちの子が学校に行けなくなってから、全然勉強していなくて不安」
お子さんが不登校の状態である時、保護者さんの多くは不安を抱くものです。
勉強する様子がまったく見えないと、「このままで大丈夫なのだろうか」「怠けているだけなのじゃないか」と、いらだちを感じてしまうかもしれません。
しかし、多くの場合、お子さんは「勉強をしない」のではなく「勉強が『できない』状態」にあることがほとんどです。
心のエネルギーが尽きていたり、勉強する意味を見失っていたり、理由はさまざまですが、決して怠けているわけではありません。
勉強の遅れは、世間で思われているほど致命的ではなく、適切な支援機関や学習方法を活用することで、遅れを取り戻せます。また、お子さんにとって今は、無理に机に向かわせるより、心を休ませるべき時期である可能性もあります。
そこでこの記事では、不登校の子が勉強できない理由や心理、親としてできる関わり方、そして「勉強」だけにとらわれない社会とのつながり方まで、順を追って解説していきます。
不登校で勉強しない子はどれくらいいる?
「うちの子だけがこんな状態なのでは」と、孤独に感じてしまう保護者の方も少なくありません。
しかし、まず知っていただきたいのは、不登校そのものが決して珍しいことではなくなっているという事実です。
文部科学省が2025年10月に公表した「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、小中学校における不登校児童生徒数は35万人を超え、過去最多を更新しました。
その一方で、すべての子が学びから完全に切り離されているわけではありません。学校外の機関などで相談や指導を受け、指導要録上出席扱いとなった児童生徒数は約4.3万人。自宅でICTを活用した学習活動を行い、出席扱いとなった児童生徒数も約1.3万人にのぼります。
さらに、欠席期間中の学習成果が指導要録に反映された児童生徒数は8万人以上と報告されています。 つまり、「学校に行けていない」ことが、必ずしも「学びが止まっている」ことを意味するわけではありません。
フリースクールの費用面のハードルや、そもそも学習に向き合うための意欲や体力が十分に回復していないといった事情から、テストや提出物という形での評価につながる段階まで回復できていない子が多いのも事実です。
ただし、それは特別なことでも、その子だけの問題でもありません。 まずは「同じように悩んでいる家庭は、決して少なくない」という前提に立って、次に「なぜ勉強ができない状態になるのか」を見ていきましょう。
参照:令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果概要|文部科学省
「勉強しない」のではなく「できない」…不登校の子が勉強できない理由
「勉強しなさい」と言われても動けない我が子を見て、「怠けている」「甘えている」と感じてしまうことがあるかもしれません。
しかし、多くの場合「しない」のではなく、今はまだ「できない」状態にあるだけです。
ここでは、勉強ができない状態にある理由を一つずつ見ていきます。
心のエネルギーが足りない
不登校に至るまでには、多くの場合、その子なりに限界を超えるほどのつらさを抱え続けてきた経緯があります。学校に行けなくなった時点で、すでに心のエネルギーはかなり消耗している状態です。
その状態で勉強に向き合うには、本来もっと大きな心の余裕が必要になります。疲れ切った状態のままでは、机に向かう気力が湧かないのも自然なことなのです。
疲れ切った状態から回復するまでには、数週間からときには数ヶ月単位の時間がかかることも珍しくありません。焦って背中を押すのではなく、まずは「休むこと」自体を、回復のための大切なプロセスとして捉えることが必要です。
勉強の意味や目的を見いだせない
「なぜ勉強しなければいけないのか」という理由がどうしても腑に落ちず、動けなくなってしまう子もいます。初めは楽しく学校生活を送れていても、ふと立ち止まったときに「そもそも何のために勉強するのか」という問いが膨らんでしまう場合があります。こうした問いを持つこと自体は、むしろ自分の人生や将来について真剣に考え始めているサインだと捉えています。
目的が見つかるタイミングは人それぞれで、興味のあることに出会って初めて「これのために勉強したい」と思える瞬間が訪れます。教科そのものへの気持ちも、同じように戻ってくることがあります。当学院の学生が書いた1週間の日記に、「2限目、数学ね中学までは好きだったけど、去年嫌いになった…でも、今結構好き、『あ、これやってた懐かしい!』とか思いながらやってる」という一節がありました。追い立てられない場所で向き合い直すと、いったん嫌いになった教科にこういう戻り方をすることがあります。
参考:HR高生「ゆうり」の1週間のスケジュール
勉強のやり方がわからない・どこから始めればいいかわからない
久しぶりに勉強を再開しようとしても、「何から手をつければいいのか」「どこまで戻ってやり直せばいいのか」がわからず、そこで足が止まることがあります。学校を離れている期間が長いほど、再開のハードルは高く感じられるものです。ただ、ここでつまずいているのは意欲よりも、道筋が見えていないことの方だと感じています。
『勉強が苦手』というより、“管理すること”でつまずいてしまうケースも少なくありません。通信制高校では、レポート、動画視聴、スクーリング、単位認定試験と、種類も締切も違う課題が並行して進みます。何がどこまで終わっているのかを本人が把握しきれなくなると、学習の中身に入る前に自己管理で行き詰まります。
当学院では、学生ごとの学習シートで「今日何をするのか」「どの科目が終わっていないのか」「今のペースで間に合いそうか」が見える状態をつくりました。『できないのは本人の努力不足』と考えるのではなく、“構造で変えられることはできるだけ構造で変えていく”ことを大切にしています。
家庭でも考え方は同じです。どこまで戻れば分かるのかを一緒に確認する、残っている課題を紙に書き出して数を見えるようにする、家庭教師や塾、通信制高校のサポートスタッフなど外部の力を借りる。本人の気持ちを動かそうとする前に、道筋を目に見える形にするところから始められます。
参考:単位学習は「意志力」では続かない。だから仕組みを作った
体調や発達の特性が影響している
背景に、起立性調節障害などの体調面の要因や、発達の特性が関わっているケースもあります。朝起きられない、集中が続かないといった状態が、本人の意志とは関係なく勉強への向き合いにくさにつながっていることもあります。
ただし、ここで大切なのは「発達障害だから不登校になる」あるいは「不登校の子は発達に特性がある」と単純に結びつけないことです。
要因は一人ひとり異なり、体調や特性はあくまで背景の一つに過ぎません。気になる様子がある場合は、自己判断をせず、医療機関や専門家に相談しながら理解を深めていくことが大切です。
これまでの遅れで授業についていけない
一度学校を離れる期間ができると、その間に進んだ内容がわからなくなり、「戻ってもどうせわからない」という気持ちが新しい足かせになります。「できない」という感覚が「やりたくない」を生み、それがまた「できない」を強めていく。この循環に入り込むと、実際の遅れの量以上に、「どのくらい遅れているのかわからない」という不安の方が大きくなります。
まずは現在地を一緒に確認するところから始めてみてください。どこまでは分かっていて、どこから分からなくなったのか。それがはっきりするだけで、遅れは「量」に変わり、扱えるものになります。
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勉強の遅れは取り戻せる。すぐに焦らない
「このまま授業についていけなくなったら」「進学や将来はどうなるんだろう」
不登校のお子さんを持つ保護者にとって、これらがいちばん大きな不安ではないでしょうか。
結論からお伝えすると、勉強の遅れは、世間で思っているほど致命的ではありません。ここでは、その理由を具体的に見ていきます。
学校の授業スピードと「遅れ」の実態
不登校の期間が長くなるほど「取り返しがつかないほど遅れてしまう」と感じがちですが、不登校期間の長さと学力の遅れは必ずしも比例しません。学び直しの方法や環境が変われば、思っている以上に短い期間で追いつくこともあります。「もう手遅れかもしれない」という焦りは、実態以上に大きくなりがちだということを、まず知っておいていただきたいと思います。
通信制高校のカリキュラムには、学年をまたいで基礎から学び直せる教材を採用しているところもあり、「積み上げ直す」ことを前提にした学び方ができます。全日制の一斉授業のペースに合わせなくてよいぶん、自分の理解度に応じて進められます。
当学院にも、中学2年生の終わりから不登校になり、いまはフルオンラインで通っている学生がいます。本人はインタビューで、「月から木曜日の1限目に『もくもくTIME』という時間があって、そこでしっかり5教科の勉強ができる環境が整っています」と話しています。決まった時間に机に向かう習慣は、学校の外側からでもつくり直せます。
参考:【在学生インタビュー】HR高等学院に入学した僕が、ここを選んだ理由
不登校でも高校進学・進路の選択肢は狭まらない
小中学校で不登校を経験していても、高校進学や将来の進路の幅が大きく狭まることはありません。
当学院がYouTubeで配信している番組「非常識な職員室」でも、この点を取り上げました。共同設立者の成田修造は、「特に小中で不登校になる子が多いが、高校からいくらでも取り戻せる」と述べ、高校進学のタイミングで学習スタイルや生活リズムを根本から見直すことの意義を語っています(3:05~)。
同じく共同設立者の山本将裕も、「内申がオール1の状態だったとしても、高校には行こうと思えば行ける。通信制高校という選択肢もある」と、進学の道が閉ざされているわけではないと話しています(3:51~)。
不登校=進学の可能性が失われる、ということでは決してありません。学び方やサポートの環境が変われば、進路の幅は十分に広げていけます。
今すぐ勉強させなくていい理由
不登校になったばかりの時期は、何よりもまず心と体を回復させることが優先です。
意欲が湧いていない状態で無理に勉強させようとしても、かえって本人を追い詰め、勉強そのものへの拒否感を強めてしまうことにもなりかねません。
勉強は、心が落ち着き、生活のリズムが整ってきてから、あとからいくらでも取り戻せます。焦って今すぐ机に向かわせるよりも、まずは安心して過ごせる時間を確保すること。それが、結果的に学びを再開するための一番の近道になります。
回復のサインは、勉強への意欲だけに表れるとは限りません。食欲が戻ってきた、睡眠のリズムが整ってきた、家族との会話が増えてきたといった、生活面での小さな変化もまた、心のエネルギーが少しずつ満ちてきている証拠です。
こうした変化に目を向けることで、「今はまだそのタイミングではない」と落ち着いて判断しやすくなります。
不登校で勉強しない子どもに親ができること
子どもが勉強しない姿を見ていると、つい口を出したくなってしまうものです。しかし、この時期の関わり方一つで、子どもが前を向くタイミングは大きく変わってきます。
ここでは、親としてできる具体的な関わり方を5つご紹介します。
焦って無理に勉強させない(「勉強しなさい」と言わない関わり方)
子どもが勉強しない姿を見ると、つい「早く何とかしなければ」と焦り、頭ごなしに叱ったり、結論を急いだりしたくなるものです。しかし、勉強ができていない状態の子どもにプレッシャーをかけても、状況が好転することはほとんどありません。
「子ども扱い」を、学生たちは大人の100倍敏感に感じ取る力があると私は感じています。管理して動かそうとするほど、勉強の中身より先に、その意図の方が伝わります。実際、当学院に入学したある学生は、前の高校で「やりたいことをいったん蓋をして勉強しろ」と言われたことに納得できなかったと振り返っています。
保護者に最も避けていただきたいのは、情報が十分にアップデートされていない状態のまま、とっさに否定的な反応を返してしまうことです。不登校や学び方をめぐる状況は、ここ数年で大きく変わりました。かつての価値観のまま「勉強しないなんてダメだ」と決めつけると、子どもの今の状態とズレた対応になります。叱責よりも前向きな声かけを重ねることが、遠回りに見えて一番の近道です。
参考:「信頼」をベースにした学校は、成り立つのか? 〜代々木開校1年を振り返って〜
参考:“普通の学校”に行ってる人たちの考え方を変えていきたい
安心できる環境と生活リズムを整える
勉強を再開する土台として欠かせないのが、安心できる環境と規則的な生活リズムです。
家庭が「責められる場所」ではなく「安心して休める場所」であることは、子どもの回復につながります。
また、起床・就寝や食事のリズムを少しずつ整えていくことも、心身の回復には欠かせません。この土台があってはじめて、子どもは次の一歩に向けたエネルギーを蓄えていくことができます。
具体的には、朝にカーテンを開ける、できる範囲で食事の時間を整えるなど、小さな習慣から始める方法があります。すべてを一気に整えようとせず、できることから少しずつ取り入れていく姿勢で十分です。
子どもの気持ちを理解し、学び方を一緒に考える
不登校になったこと自体を責めても、状況は変わりません。大切なのは、なぜそうなったのか、そして本人が今どうしたいと思っているのかを、本人に問いただすのではなく、時間をかけて見ていくことです。
不登校になったこと自体をどうこう言ってもしょうがない。それがなぜ起きていて、自分としてはどうしたいのかをちゃんと見ながら、前を向くことが重要
参考:HR高等学院の非常識な職員室(4:55~)
これと重なる形で、私は子どもの状態を理解するために3つの観点を大切にしています。1つ目は「経緯」、どんな気持ちの変化があって今に至ったのか。2つ目は「理由」、どのような思いがあるのか。3つ目は「希望」、これからどうしていきたいのか、という点です。
学校に戻りたいと思っているのか、ほかにやりたいことがあるのか。こうしたことは、問いかけて答えが返るものではなく、本人が話せるようになったときに少しずつ見えてきます。
まず否定せずにじっくりと話を聞き、この3つの観点を意識しながら本人の状態を丁寧に見ていくこと。それが、一緒に学び方を考えていくための土台になります。
親も一緒に学ぶ姿勢を見せる
子どもに「学びなさい」と言うだけでなく、親自身が何かを学んだり楽しんだりしている姿を見せることも、大きな動機づけになります。親が知的好奇心を持って何かに取り組む姿は、言葉で説得するよりも自然に子どもの心に伝わっていくものです。
たとえば新しい資格の勉強を始めてみる、苦手だったことに改めて挑戦してみる。うまくいかないことがあっても楽しみながら続ける親の姿は、「できないことがあっても大丈夫」というメッセージとして、言葉以上に伝わります。
専門機関や支援団体に相談する
すべてを家庭だけで抱え込む必要はありません。筆者も、学校の先生やスクールカウンセラー、通信制高校やサポート校のスタッフといった第三者を、早めに頼っていただきたいと日々お伝えしています。専門的な知見を持つ人が間に入ると、家庭の中だけでは動かなかった状況が前に進むことがあります。
「まだ正式に決めていない段階でも相談していい」というように、早い段階から相談できる窓口を持っておくことも、親としてできる大切な備えの一つです。相談先としては、学校のスクールカウンセラーや養護教諭のほか、教育委員会が設置する教育相談窓口、地域のフリースクール、通信制高校やサポート校の相談窓口があります。どこに相談すればいいかわからない場合は、まずは在学中の学校に問い合わせてみてください。
「勉強しなきゃ」より大切。社会との接点をつくる
ここまで、勉強ができない理由や、親としてできる関わり方を見てきました。
一方で、実はこの記事で本当にお伝えしたいのは、「勉強を再開させること」そのものではありません。特に大切なのは、子どもが社会との接点を保ち続けられているかどうかです。
家にこもってSNS・動画・ゲームだけだと、社会から離れてしまう
「勉強しない」こと自体は、実はそれほど大きな問題ではありません。
不登校になると、家の中でSNSや動画、ゲームに没頭して過ごす時間が長くなることがあります。しかし、こうした時間そのものを問題視する必要はありません。
不登校になった子が塞ぎ込み、本当に外に出なくなってしまうこと。それこそが最大のリスクです。学校に行けない状態は、本人が抱える困難の一つの表れに過ぎず、そこだけを見て一喜一憂する必要はありません。
むしろ注意したいのは、SNSや動画、ゲームが「外の世界とつながる窓口」として機能しているのか、それとも「そこにしか居場所がなく、完全に閉じこもってしまっている」状態なのか、という違いです。
大事なのは、勉強しているかどうかよりも、子どもがどこかで社会とのつながりを保てているかどうか。この視点を持つだけで、親の焦りは少し軽くなるはずです。
不登校はダメじゃない。社会とつながる場があれば大丈夫
不登校でも社会で活躍できるのか、学校と社会でコミュニケーションはどう違うのか。当学院の共同設立者2人が話している回です。不登校をどう捉えるかで迷っている保護者の方に見ていただきたい内容です。
「不登校」の「校」は、あくまで学校の「校」です。学校に通っていなくても、フリースクールやサポート校、塾など、学校以外の場で社会との接点を持つことはできます。当学院ではこれを「ソーシャルスクーリング」と呼んでいます。学校で学ぶ必要はなく、社会の中で学べていればいい。この捉え方は、「不登校は良くないことだ」という見方をほどくきっかけになります。
学校という場に強くこだわりすぎず、子どもがどこかで社会とつながれる居場所を見つけられているか。そこに目を向けることが、親としての新しい視点になります。
勉強でなくていい。「好き」「得意」を入り口に社会とつながる
社会との接点は、必ずしも勉強という形である必要はありません。自分の「好き」や「得意」を突き詰めることも、立派な社会との接点になります。たとえば上の動画では、通信制高校に通いながら自宅で音楽制作に打ち込み、作った作品を世の中に発信してきたアーティストのAdoさんが例に挙がっています。
当学院の探究の時間も、これに近い形で進みます。「カラオケって、なんで気まずくなるの?」という問いから全キャンパスにアンケートを取った学生、セッションを見学に来た母親の「昔は、交換日記をやっていたよ」という一言から現代版の交換日記アプリを構想した学生、折り紙で折った鶴を持って街に出て、英語で話しかけている学生。誰一人として、「先生に言われたから」動いている子はいません。
教科の勉強には向かえない子が、自分の問いには動けることがあります。勉強を再開させることだけをゴールにせず、何かに夢中になれる時間を大切にする視点も持っておきたいところです。
参考:教科書はいらない。横浜の街へ、AIの海へ、飛び出す私たちの「探究」のリアル。
社会との接点が次の一歩(学び・自信)を生む
社会との接点は、次の一歩を踏み出すきっかけにもなります。
例えば、最初は声をかけても戸惑うばかりだった子が、対話を重ねる中で少しずつ変化し、1年後には1,000人の前でプレゼンテーションをするまでになった学生がTANQ BASEにいました。雑談のようなコミュニケーションは得意でなくても、自分の考えを伝える力を発見し、それが本人の自信につながっていったのです。
※当学院を運営する株式会社RePlayceは、キャリア教育・探究学習サービス「TANQ BASE」も運営しています。
このように、社会との接点は、勉強とはまったく違うところから、子どもの自信や次の一歩を引き出してくれることがあります。
「勉強しなきゃ」にとらわれすぎず、まずは社会とのつながりを大切にする。これが、この記事で一番お伝えしたいメッセージです。
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勉強や活動を再開できた子どものきっかけ(学生・保護者の声)
ここまで、勉強ができない理由や親の関わり方、社会との接点の大切さをお伝えしてきました。
では実際に、一度立ち止まった子どもたちは、どんなきっかけで再び動き出しているのでしょうか。ここでは、当学院に在学・卒業した学生たちの声から、4つのきっかけをご紹介します。
やってみたいこと・好きを見つけた
ある在校生は、中学3年生のときに受験勉強と人間関係のストレスで出席日数が足りなくなり、行きたかった高校への進学が難しくなりました。通信制高校を探していたときに母親が当学院を見つけ、入学を決めています。当初は「しぶしぶ」に近い気持ちだったそうです。
入学後の変化について、本人はこう話しています。「変わったっていうよりも、出せなかった部分が、今出せてる感じだと思います。最近、絵を描くのが好きだったことを思い出して、描くことを始めたりとか、プレゼンするのも得意だったなって思い出して、機会があったら自分でやるようにしてて」。
「やってみないとわからないじゃないですか、好きか嫌いか」という言葉のとおり、眠っていた興味が何かの拍子に掘り起こされることがあります。勉強より先に「やってみたいこと」が見つかって、そこから動き出す子は少なくありません。
大人との対話で「やってみよう」と思えた
別の在校生は、進学校での「やりたいことに蓋をしろ」という環境に疑問を抱きながらも、なかなか一歩を踏み出せずにいました。
転機になったのは、当学院のスタッフとの出会いです。親身に向き合ってくれる大人の熱量に惹かれ、「この学校だったらなにか変わるかも」と感じたことが、入学を決める最後のひと押しになったといいます。
自分一人では踏み出せない一歩も、信頼できる大人との対話があることで、動き出せることがあります。第三者との関わりが「言い訳」や「きっかけ」を与えてくれるという構図は、多くの子どもたちに共通するものかもしれません。
参考:在校生インタビュー|HR高等学院
自分のペースで学べる環境に出会えた
ある1期生の方は、クライミングと部活動、勉強のすべてに全力で取り組んだ末に燃え尽きてしまい、いったんすべてをお休みした経験を持っています。
回復後、他のオンライン中心の学校にも通ってみたものの、「受動的な雰囲気」が自分に合わず、2か月で辞めてしまったそうです。
そこから改めて学校を探す中で出会ったのが、当学院でした。
「『社会とつながる』というワードなど、学生視点で考えてくれているという印象をもった」と、入学の決め手を語っています。一つの環境が合わなかったとしても、自分に合う場所に出会えたとき、子どもは自然と前を向き始めます。
参考:HR高等学院 1期生インタビュー|RePlayce
進路を考え始めた
ある卒業生は、全日制高校から3年生になるタイミングで当学院に転入し、一般入試で有名大学へ進学しました。
進路を決めるまでには大きな葛藤があったといいます。さまざまな選択肢にぶつかりながら、本当にやりたいことは何かを見つめ直す時間を過ごしました。
最終的にたどり着いたのは、自分自身と向き合いたい、興味のあることを学びたいという、飾らない気持ちだったといいます。
進路は、誰かに用意された正解をなぞることではなく、悩み抜いた先に自分で見つけていくもの。そのプロセスこそが、次の一歩を踏み出す力になっていきます。
参考:「自分の感情を、見捨てないで」特別な自分を求めることをやめた日、進みたい進路が見えた
不登校の子どもが学べる場所・社会とつながれる場
「勉強を再開する」ことも、「社会とのつながりを持つ」ことも、その形は一つではありません。
ここでは、不登校の子どもたちが学びや社会との接点を持てる、具体的な場所や方法を紹介します。合う・合わないは子どもによってさまざまなので、比較しながら見ていきましょう。
家庭教師・オンライン家庭教師
マンツーマンで、自分のペースに合わせて学べるのが家庭教師の強みです。集団授業でつまずきやすい子や、対人関係に不安がある子でも、先生と1対1であれば安心して質問しやすいという声も多くあります。オンライン家庭教師であれば、自宅から出られない時期でも学習を続けられます。
不登校の子どもの指導経験がある家庭教師やサービスを選ぶと、学習面だけでなく心理面への配慮も含めて対応してもらいやすくなります。体験授業や初回面談で子どもとの相性を確認してから決めることをおすすめします。
通信教育・オンライン学習
自宅で、自分の生活リズムに合わせて柔軟に取り組めるのが通信教育やオンライン学習です。最近は学年をまたいで理解度に応じて学べる「無学年式」の教材も増えており、学校の進度に縛られず、遅れを感じている部分からじっくり学び直せます。
近年はAIを組み込んだ教材も増えており、間違えた問題や苦手な単元を自動で分析し、その子に合った問題を出してくれる仕組みも整ってきています。一人で黙々と取り組むタイプの子にとっては、対人関係のストレスを感じずに進められる点も利点です。
フリースクール
同年代の子どもたちと交流できる居場所として、フリースクールを選ぶ家庭も増えています。
学校との連携によっては、出席扱いとなる場合もあるため、気になるフリースクールがあれば、在籍校に事前に確認しておくとよいでしょう。
教育支援センター(適応指導教室)
自治体が設置する公的な学びの場として、教育支援センター(適応指導教室)があります。費用面の負担が少なく利用しやすいことに加え、利用状況によっては、在学中の学校の校長の判断で指導要録上の出席扱いとなる場合があります。まずは在学中の学校か自治体の窓口に相談してみてください。
社会とつながれる居場所・体験の場
勉強という形にとらわれず、社会とのつながりを持てる場も広がっています。
たとえば、当学院を運営する株式会社RePlayceの「TANQ BASE」は、勉強以外の切り口で社会と接点を持てる体験の場の一つです。
こうした場は、「勉強を再開させること」がゴールではなく、まず社会との接点を持つこと自体を目的にしています。
前の章で触れた通り、社会とのつながりが、結果的に次の一歩や自信につながっていくケースも少なくありません。
通信制高校・サポート校という進路
ここまで紹介してきた学びの場や居場所は、いずれも「今すぐできること」としての選択肢です。一方で、もう少し長い目で見た「進路」として、通信制高校やサポート校を検討する家庭も増えています。
完全オンラインから毎日の通学まで自分の体調やペースに合わせて柔軟に選べること、そして勉強だけでなく社会とのつながりを持ちながら学べること。それが、不登校を経験した子どもたちに通信制高校・サポート校という進路が選ばれている理由です。次の章では、この選択肢について詳しくご紹介します。
「普通」じゃなくていい。社会と接点を作る通信制高校・サポート校という選択肢
ここまで、不登校の子どもたちが学べる場所や、社会とつながる方法についてお伝えしてきました。
最後にご紹介したいのが、「勉強」だけでなく「社会とのつながり」も一緒に育んでいける学び舎、通信制高校サポート校という進路です。
お子さんが中学3年生なら新入学、すでに高校に通っているなら転入と、どちらの段階からでも選べます。
自分のペースで学べる通信制高校サポート校とは
通信制高校サポート校の大きな特徴は、その柔軟さにあります。完全オンラインでの学習から週5日の通学まで、自分の状態に合わせて選べて、体調やその日の気分に応じてオンラインに切り替えることもできます。「毎日決まった時間に登校しなければならない」という従来の学校のイメージとは異なり、無理なく続けられる学び方を、子ども自身が選んでいける環境が整っています。
選べるのは登校の頻度だけではありません。当学院のオンラインキャンパス「VIRTUAL BASE」では、声で話すのは少しハードルが高いという学生でも、チャットで自分の考えを伝える姿がよく見られます。参加の仕方そのものを選べることが、家から出るのが難しい時期の入り口になります。
多くの学校では入学後にコースを変更することもでき、最初はオンライン中心で様子を見ながら、慣れてきたら少しずつ通学日数を増やしていく進め方もできます。体験入学や見学の機会を活用しながら、無理のないペースを一緒に探ってみてください。
参考:2期生合流!〜新しい視点が混ざり合った入学式後の様子〜
「普通」とは違うかたちで強みを伸ばす学び
通信制高校サポート校では、一般的な全日制高校とは異なる、特色あるカリキュラムを提供している学び舎があります。例えば当学院では、ビジネス、テクノロジー、デザイン、ソーシャル、グローバルという5つの領域を横断しながら、社会の第一線で活躍する大人と直接対話する「トップランナーセッション」や、企業と連携した実践型のプロジェクト学習(PBL)に取り組みます。
評価のものさしも変わります。当学院が学生に渡す「成長の記録」は、数字で並ぶ通知表ではありません。書かれているのは、コーチが感じたその学生の代名詞、この1年の変化、そして次のステージの3つです。どんな結果を出すかは社会で求められる大事なポイントですが、それ以上に、どれだけ失敗して、挑戦と改善を繰り返したかというプロセスを大切にしています。
点数で測られ続けて自信をなくした子にとって、測られ方が変わることは、それ自体が回復の条件になります。「普通」であることを求められる環境ではなく、「普通じゃない」自分の強みをそのまま武器にしていけること。それが、通信制高校サポート校という学び方の大きな魅力です。
参考:HR高という隕石が作り出したビッグバン。~HR高等学院 第一期生卒業式~
HR高等学院の特徴と進路サポート
HR高等学院は、高校卒業資格の取得はもちろん、総合型選抜をはじめとした多様な進路実現をサポートする通信制高校サポート校です。当学院を運営する株式会社RePlayceの取り組みは、前身事業「はたらく部」での経済産業省「第13回キャリア教育アワード」優秀賞(大企業の部・令和5年度表彰、2024年1月)や、代表の山本が受賞者に名を連ねるNTTドコモ「docomo STARTUP」での内閣府「第7回日本オープンイノベーション大賞」日本経済団体連合会会長賞の受賞など、高く評価されています。
進路相談では、「どこの大学を受ければいいですか」という質問にすぐ答えるのではなく、いま何に興味があって何が不安なのかを整理するところから始めています。時には、「今は受験しない」という選択を応援することもあります。受験するかどうかを決める前の段階から、相談していただける場所です。
「勉強しなきゃ」にとらわれず、社会との接点を持ちながら自分らしい強みを育てていける学び舎を探している方は、まずは説明会や個別相談会で、学院や授業の詳細、通信制高校全体の仕組み、子どもの将来に関する不安などをご相談ください。一人ひとりに寄り添い、最適な学びの形をご提案します。
参考:進路とは、「どこへ行くか」ではなく、「どう生きるか」
「社会で生きていける力」を。
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不登校と勉強に関するよくある質問
ここまでお伝えしてきた内容を踏まえ、よくある疑問にQ&A形式でお答えします。
Q.「勉強しなさい」と言わないと一日ゲームばかり。大丈夫?
A. 心配になる気持ちはよくわかりますが、多くの場合、それは怠けているわけではなく、今はまだ勉強に向き合うだけの心のエネルギーが戻っていない状態です。
無理に勉強させるより、まずは安心して過ごせる環境と生活リズムを整えることを優先してください。ゲームや動画を通じて、人や社会とのつながりを感じている場合もあります。
大切なのは、そこから完全に塞ぎ込んでしまわないよう、ゆるやかにでも外や人とのつながりを保てているかどうかです。
ただし、昼夜逆転が続いたり、食事や会話が極端に減ったりするなど、生活面での変化が大きい場合は、無理に自宅だけで抱え込まず、専門機関に相談することも検討してください。
Q. 見守ってと言われても、進学・将来が不安です
A. 勉強の遅れは、思っているほど致命的ではありません。不登校期間の長さと学力の遅れは必ずしも比例せず、高校から取り戻せるという声もあります。
また、内申が低い場合であっても、通信制高校という選択肢を含めれば、高校進学の道が閉ざされることはありません。
進路の幅は、学び方やサポート体制によって十分に広げていくことができます。
大切なのは、「今すぐ」ではなく「いずれ」に目を向けること。焦りを感じたときほど、目の前の子どもの状態から少し視野を広げて、長い目で進路を考えてみることをおすすめします。
Q. 甘え・怠けとどう見分ければいい?
A. 「甘え」や「怠け」に見える状態も、その多くは「できない」状態です。心のエネルギーが足りていない、勉強の意味を見いだせない、やり方がわからない、体調や発達の特性が影響している、これまでの遅れで授業についていけない。こうした背景を踏まえると、「見分ける」よりも「今はできない状態にある」と捉え直す方が、関わり方を考えるうえで役に立ちます。
見分けようとすること自体にエネルギーを使うよりも、「今できることは何か」を子どもと一緒に探していく方が、前向きな一歩につながります。
Q. まず何から勉強を始めればいい?
A. いきなり大きな目標を立てる必要はありません。まずは本人が興味を持てること、得意だったことを思い出すところから始めてみてください。
勉強という形にこだわらず、好きなことに取り組む時間や、少し関心のある分野の学び直しなど、小さな一歩から始めることが、次につながる再開のきっかけになります。読書や図鑑、興味のある動画など、「知る」ことへの入り口を広げることも、立派な学びの再開です。
まとめ
「不登校で勉強しない」その姿の裏には、多くの場合「勉強できない」という状態が隠れています。心のエネルギーが足りない、勉強の意味を見いだせない、やり方がわからない。理由は一人ひとり違いますが、いずれも怠けや甘えとは別のものです。そして勉強の遅れは、思っているほど致命的ではなく、あとから取り戻せます。
だからこそ、焦って机に向かわせるより先に、安心して過ごせる環境を整え、子どもの気持ちに真正面から向き合うこと。それが、親としてできる一番の関わり方だと考えています。さらに大切なのは、「勉強をしなくてはならない」ということ以上に、子どもが社会との接点を保てているかどうかという視点です。
学校という枠にとらわれず、フリースクールや教育支援センター、好きなことを通じたつながりなど、社会と接点を持てる場所はいくつもあります。通信制高校サポート校もまた、勉強と社会とのつながりの両方を育てていける選択肢の一つです。子どものペースを大切にしながら、その子に合った学び方や居場所を、ぜひ一緒に探してみてください。


