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2026.06.12

単位学習は「意志力」では続かない。だから仕組みを作った 〜“頑張れ”では回らない学習支援を、再設計するまで〜

この記事の著者
根岸 律葵
根岸 律葵
HR高等学院 探究コーチ
「進路に悩む子どもへの正しい接し方 丸わかりBOOK」をLINEで無料ダウンロード

ライター:りっきー(根岸 律葵)HR高等学院 探究コーチ

通信制高校では、「自分で学習を進める」ことになると認識されている場合があると思います。
でも実際には、それってそんなに簡単なことではないですよね。

通信制高校に在籍する学生には、レポート、動画視聴、スクーリング、単位認定試験が課されます。
それぞれ締切も違えば、条件も違います。

しかも、通信制高校の学生たちは、本当にいろいろな背景を持っています。
毎日登校できるわけではない。
生活リズムが安定しない時期もある。
人間関係で疲れている学生もいる。
だから、「勉強が苦手」というより、“管理すること”でつまずいてしまうケースも少なくありません。

でも、サポートする側って、つい言ってしまうんですよね。
「計画的に進めよう」
「少しずつやろう」
「自己管理が大事だよ」
もちろん、それ自体は間違っていません。

ただ、現場でずっと学生たちを見ている中で、少しずつ感じるようになりました。
“頑張れ”だけでは、回らないことがある。
むしろ問題は、「意志力」よりも“続けにくい構造”の方にあるんじゃないか、と。

私は現在、通信制高校のサポート校であるHR高等学院で、単位学習支援の設計や運用に関わっています。
※サポート校とは通信制高校ではなく、在籍学生が同時に入学することになる提携する通信制高校の単位学習のサポートや独自の教育を行う、文部科学省の高等学校通信教育規定に定められる「学習等支援施設」です。
日々の学習管理の中で起きていたのは、こんなことでした。
・職員が手作業で進捗確認
・個別連絡が増え続ける
・課題が「あと何個残っているのか」が分からない
・学生も職員も、全体像が見えづらい
・気づいた時には締切が近づいている

特に大きかったのは、「今日、何をやればいいのか分からない」「何がゴールなのか分からない」という状態でした。

通信制高校の「自由に進められる」という仕組みは、大きな魅力でもあります。
でもその一方で、“自分で整理し続けなければいけない”という難しさもあります。

これは、想像以上にエネルギーを使います。

そこでHRでは、単位学習を“気合い”ではなく、“見える化されたタスク”として整理し直すことにしました。

学生ごとに、自分専用の学習シートを用意し、
・今日何をするのか
・ちゃんと完了できたか
・どの科目が終わっていないのか
・今のペースで間に合いそうか
が分かるようにしました。

HR高等学院では、朝に「mokumoku」という単位学習の時間があります。
本来は、“黙々と学習に取り組む時間”として作られた時間でした。
でも実際には、
「何から始めればいいか分からない」
「何を終わらせればいいか分からない」
「そもそも自分がどこまで終わっているのか分からない」
そんな状態から始まって、なんとなく締まりのない時間になってしまうことも少なくありませんでした。

結果として、学習そのものに入る前に、かなりエネルギーを使ってしまっていたんですよね。

けれど、この仕組みを導入してからは、自分のシートを開き、自分で進めるべきことを確認しながら、静かに学習へ取り組める学生が増えていきました。

“単位学習を始めるまで”に使っていたエネルギーが減ったことで、学習そのものに向かいやすくなったのかもしれません。

最初は、「今日やるべきこと」を自動で割り当てる設計にしていました。
でも、運用していく中で、気づいたことがあります。

“やらされる計画”は、あまり続かない。

むしろ、学生自身が「今日はこれをやった」と入力して、その積み重なりが見える方が、少しずつ前に進みやすくなる。

そこでHRは設計を変えました。
今は、学生自身が、
・どの科目をやったか
・レポートか動画視聴か
・どこまで終わったか
をシンプルに記録するだけで、残りタスクや進捗状況が整理される仕組みにしています。

また、サポートする側も「全員をずっと追いかけ続ける」のではなく、“今、サポートが必要であろう学生”に集中しやすくなりました。

これは、単なる業務効率化ではありません。

HRでは、「できないのは本人の努力不足」と考えるのではなく、“構造で変えられることはできるだけ構造で変えていく”ことを大切にしています。

もちろん、最後に行動するのは本人です。

でも、「頑張ることができる人だけが続けられる仕組み」のままにしない。
「自己管理が苦手だから仕方ない」で終わらせない。

少しでも続けやすくなるように、少しでも前に進みやすくなるように、学習の仕組みそのものを整えていく。

それも、HR高等学院の学習支援のひとつだと思っています。

「進路に悩む子どもへの正しい接し方 丸わかりBOOK」をLINEで無料ダウンロード
この記事の著者
根岸 律葵
根岸 律葵
HR高等学院 探究コーチ
HR高等学院の運営メンバーとして、進路指導、英語×探究×PBLプログラムの設計、留学・体験プログラム開発、AI活用・システム連携のなどを手掛ける。 新卒で製薬会社の営業を経験後、14年間の専業主婦期間を過ごす。主婦業の傍ら、非常勤講師として長年進路指導に携わり、「文系からの理転」で理系の大学院へ進学。文部科学省での勤務も経験する。コロナ禍を機に「社会との繋がり」を再定義し、コンサルティング会社での営業支援を経て、教育への情熱から角川ドワンゴ学園(N高・S高・R高)へ。プレイヤーからマネジメントまでを経験し、その傍ら研究を続け、博士(医学)を取得。その後、グロービスでの経験を経て、「自分が本当に関わりたいのは高校生たちだ」という原点に立ち返り、現在はHR高等学院にて、生徒一人ひとりのキャリアに真摯に向き合っている。
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