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中退・留年の悩み
2026.09.13

高校を留年したらどうなる?基準や救済措置・その後の選択肢を解説

この記事の著者
恒弘 大輔
恒弘 大輔
HR高等学院 運営責任者
「進路に悩む子どもへの正しい接し方 丸わかりBOOK」をLINEで無料ダウンロード
目次
  1. 高校を留年したらどうなる?基準や救済措置・その後の選択肢を解説

高校を留年したらどうなる?基準や救済措置・その後の選択肢を解説

「留年するかもしれない」と告げられ、不安な気持ちで情報を集めている生徒や保護者の方も多いのではないでしょうか。

結論からいうと、高校の留年(原級留置)は、主に「出席状況」と「成績・単位の修得状況」をもとに判断されます。

留年が確定する前であれば、補習や追試、課題提出などによって挽回できる可能性があります。

また、仮に留年が決まったとしても、進路の選択肢は複数あり、人生が終わるわけではありません。

本記事では、高校の留年の基準や決まる時期、回避のための救済措置を詳しく解説します。さらに、留年が決まった後の進路や、よくある質問への回答までまとめています。

記事の内容を参考にすれば、今の自分がやるべきことを具体的にイメージできるはずです。

なお、本記事の制度に関する記述は、文部科学省など公的機関の情報をもとに整理しています。

高校の留年とは?

高校の留年は、学校教育の制度上、正式には「原級留置」と呼ばれています。進級や卒業に必要な条件を満たせなかった生徒が、翌年度も同じ学年にとどまる措置です。

義務教育である小中学校では、年齢に応じて進級・卒業する運用が中心です。一方の高校は、各科目を履修したか、単位を修得したかという状況をもとに進級・卒業を判定する仕組みになっています。

学年制の高校で進級基準を満たせない場合は、原則として同じ学年をもう一度履修します。

また、留年の扱いは高校の課程によって変わる点も押さえておきましょう。全日制高校では学年制を採用している学校が多く、学年ごとに進級の可否が判定されます。

一方、通信制課程の多くは単位制を採用しており、学年ごとの進級判定を行いません。ただし、学年制を採用している通信制高校もあるため、詳細は入学前に確認しておきましょう。

なお、休学は校長の許可を受けて学籍を一時的に休止する制度であり、留年とは性質が異なります。課程による仕組みの違いは、後述する留年後の選択肢とも深く関わってきます。

出典:文部科学省|履修主義と修得主義、年齢主義と課程主義学校教育法施行規則 第94条

高校で留年する人の割合

文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、全国の高校で原級留置となった生徒は8,741人でした。

同じ調査における全国の在学者数は3,200,153人です。全体に占める割合は約0.3%にとどまります。

数字だけを見ると少なく感じるかもしれませんが、毎年9,000人近くの生徒が同じ経験をしている事実に変わりはありません。

留年は決して珍しい失敗ではなく、日本の教育制度の中で毎年一定数生じている出来事です。

ただし、この0.3%は課程・学科によって大きく異なり、最も低い全日制普通科の0.1%と最も高い定時制の1.5%では15倍の開きがあります。

区分原級留置となった生徒数在学者数に占める割合
全日制
普通科
3,108人0.1%
全日制
専門学科
1,196人0.2%
全日制
総合学科
401人0.3%
定時制1,096人1.5%
通信制2,940人1.0%
合計8,741人0.3%

調査の年度や集計の対象によって数値は変わるため、割合はあくまで目安として捉えてください。

「自分だけがダメなんだ」と過度に責める必要はまったくありません。現状を正しく知ったうえで、今からできる行動へ目を向けていきましょう。

出典:文部科学省|令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果(表6-7 課程・学科・学年別原級留置者数、表6-8 都道府県別中途退学者数及び中途退学率)

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高校で留年になる基準

高校の進級判定では、主に「出席状況」と「成績・単位の修得状況」が確認されます。科目ごとの履修・修得条件や学校の進級基準を満たせない場合、単位が認定されなかったり、進級できなかったりする可能性があります。

基準を知らないまま過ごすと、気づいたときには挽回が難しくなっているかもしれません。具体的には、以下の4つの観点から進級の可否が判断される仕組みです。

  • 出席日数
  • 単位不足
  • 定期テストや試験での不合格
  • 学校によって進級基準は異なる

出席と成績は日々の積み重ねで決まるため、早めの現状把握が欠かせません。自分がどの基準に該当しそうなのかを把握するために、順番に内容を確認していきましょう。

出席日数

多くの高校では、総授業時間の3分の1以上を欠席すると単位が認定されない目安が設けられています。

この3分の1という数字は法令で定められたものではなく、各校の学則や内規によるものです。

「何日休んだら留年になるのか?」と疑問に思う人は多いものの、単純な日数では決まりません。

出席は科目ごとの欠課時数(欠席した授業のコマ数)でカウントされるため、特定の科目だけ基準に達する場合もあります。

たとえば、週1回の科目は年間の授業時数が少ないため、欠課時数の上限に達しやすい点に注意が必要です。

また、遅刻や早退を欠課時数に換算する学校もあり、出席の扱いは学校ごとに一律ではありません。

3分の1はあくまで一般的な目安であり、より厳しい基準を設けている学校も存在します。

欠課時数は時間割から概算できますが、遅刻・早退の換算方法や公欠の扱いは学校によって異なります。正確な状況は担任や教務担当者に確認しましょう。

自分の状況を確かめるときは、次の3点を科目ごとに聞くと具体的な数字がわかります。

  • その科目の年間授業時数と、現時点での欠課時数
  • 単位を認定しない欠課時数の上限
  • 遅刻・早退を何回で1時間の欠課として数えるか、公欠や出席停止の扱い

体調不良などで欠席が増えそうな時期は、遅刻や早退の扱いも含めて前もって学校側と共有しておきましょう。

単位不足

学年制の高校では、各校が定める進級条件に基づき、単位の修得状況などから進級の可否が判断されます。

単位は科目ごとに設定されており、出席と成績の両方の条件を満たして初めて認定される仕組みです。

学校によっては、進級を認める未修得科目数や不足単位数の上限を定めています。

上限を超えて単位を落とすと、原級留置の対象となる可能性が高まるでしょう。高校の卒業に必要な単位は、国のきまりで74単位以上と定められており、計画的な修得が欠かせません。

単位の仕組みを正しく理解しておくと、進級までに必要な学習量を見通せます。未修得の科目が出た場合、翌年度の再履修で取り返せるかどうかも学校により異なります。

成績表や履修状況をこまめに見直し、落としそうな科目がないか定期的にチェックしてください。

1つでも多くの科目で確実に単位を積み上げる意識が、進級の土台となります。

出典:学校教育法施行規則 第96条

定期テストや試験での不合格

定期テストで赤点を取っても、多くの場合は即座に留年が決まるわけではありません。多くの学校では追試や再試験の機会が用意されており、合格すれば単位を認定してもらえます。

評定「1」が付くのは、追試でも基準点へ届かない場合や、課題を提出しない場合が一般的です。

また、赤点の基準は30点未満や40点未満など学校ごとに異なり、平均点を基準にする例もあります。

学期の点数だけでなく、提出物や授業態度を含めた年間の総合評価で判断する学校も少なくありません。

いずれも法令で決まっているものではなく、各校の運用によります。自分の学校の基準は、生徒手帳や成績評価の説明資料で確認してください。

定期テストで失敗しても、普段の提出物や平常点で取り返せる場合があります。日ごろの小テストや提出物の評価も、成績を下支えする重要な要素になります。

1回の失敗で気持ちを切らさず、次の試験へ向けた準備を早めに始める姿勢が重要です。

試験勉強のやり方に迷うときは、出題範囲の把握と過去の問題の復習から手を付けてみてください。

学校によって進級基準は異なる

学校教育法施行規則が定めているのは卒業に必要な単位数(74単位以上)までで、進級の基準は各学校の学則や内規で決められています。

出席の基準を厳しく設定する学校もあれば、成績評価を重視する学校もあり、運用は様々です。

同じ都道府県の公立高校同士でも、細かい判定条件が異なるケースは珍しくありません。転入生や編入生の場合は、前籍校の単位の扱いも含めて確認しておくと確実です。

また、私立高校の中には、独自の進級規定や補習制度を細かく設けている例も見られます。ネット上の一般論だけを信じて「まだ大丈夫」と判断してしまうのは危険です。

正確な基準を知りたい場合は、生徒手帳や学則を確認したうえで担任の先生に直接尋ねましょう。

保護者も学校説明会や配布資料を通じて、進級に関する規定に目を通しておくと安心です。

基準を早く知るほど対策の時間を確保できるため、不安を感じた時点ですぐ行動へ移してください。

高校の留年はいつわかるのか?

学校によって差はありますが、高校の留年が正式に決まる時期には、おおよそ共通した流れがあります。留年の可能性や決定がわかる主なタイミングは、大きく分けて以下の2つです。

  • 学年末の成績会議で進級が決まる
  • 三者面談や呼び出しが行われるケースもある

決定前のサインを見逃さずに動ければ、立て直しのための時間を十分に確保できます。学校からの連絡には必ず反応し、家庭内でも情報を共有しておいてください。

ここからは、留年が正式に決まるまでの一般的な流れを、順番に詳しく見ていきましょう。

学年末の成績会議で進級が決まる

留年は、学年末に開かれる進級判定会議(成績会議)で正式に決まるのが一般的です。年間の成績と出欠状況を対象に、職員会議で進級か原級留置かが審議されます。

判定の材料は定期テストの点数だけではなく、提出物や追試の結果も対象です。進級の判定は担任1人の判断ではなく、複数の教員による会議で総合的に行われます。

結果は学年末までに本人や保護者へ伝えられるのが一般的ですが、通知時期は学校によって異なります。裏を返すと、3学期の期末テストや課題の提出まで、成績を上げるチャンスは残されています。

挽回が難しい状況の場合は、会議より前に担任から見通しを伝えられるケースもあります。年度の途中で諦めず、最後の評価まで粘り強く取り組む姿勢が大切です。

三者面談や呼び出しが行われるケースもある

正式決定の前に、担任からの注意喚起や三者面談、呼び出しが行われるケースが少なくありません。

「今のままだと進級が難しい」と告げられる面談は、学校からの重要なサインです。ただし、呼び出しの段階では留年はまだ確定しておらず、挽回できる余地が残されています。

面談は、進級までにあと何が足りないのかを学校と具体的にすり合わせられる機会でもあります。

面談では現状の欠課時数や不足単位を具体的に確認し、進級への条件を聞いてください。呼び出しを無視すると状況は悪化しやすいため、指定された日時には基本的に応じましょう。

面談の内容はメモに残し、家庭で対応策を話し合う材料として活用すると効果的です。次の章では、留年を回避するための具体的な方法や救済措置を紹介します。

高校で留年を回避するための方法・救済措置

「留年しそう」と言われた段階で動き出せば、間に合うケースは決して少なくありません。

学校によっては、補習や追試、追加課題などの措置が設けられています。利用条件を早めに確認することが重要です。高校で留年を回避するための主な方法・救済措置は、以下の4つです。

  • 担任・学年主任へ早めに相談する
  • 補習・追試・課題提出を最後まで諦めない
  • 保健室登校や別室登校など利用できる制度を確認する
  • 医療機関やスクールカウンセラーも活用する

複数の方法を組み合わせれば、立て直せる可能性はさらに高まります。経済的な事情や体調面の悩みも、正直に伝えれば配慮してもらえるかもしれません。

自分だけで抱え込まずに、周囲の力を借りる姿勢が何より重要です。

担任・学年主任へ早めに相談する

留年の不安を感じたら、まずは担任や学年主任へ早めに相談しましょう。真っ先にやるべきは、あと何単位・何時間足りないのか、現状を正確に把握することです。

不足分が数字でわかれば、取り返すために必要な行動を具体的に逆算できます。切り出し方は「進級できるか不安なので、今の状況を教えてください」で十分でしょう。

先生に叱られるのを恐れて先延ばしにすると、打てる手は少しずつ減っていきます。早めに相談すれば、利用できる補習や課題、今後の進路について確認できる可能性があります。

相談で決まった対応策は、期限とあわせて記録に残しておくと後で確認しやすくなります。保護者にも状況を共有し、家庭と学校が協力できる体制をつくっておきましょう。

補習・追試・課題提出を最後まで諦めない

救済措置の代表例は、補習への参加・追試の受験・課題やレポートの提出です。

赤点を取った科目でも、追試に合格したり課題を出し切ったりすれば単位を認定される場合があります。

仮に追試へ落ちてしまっても、再追試や追加課題などの救済が残されているケースもあります。

「もう無理だ」と自己判断で諦めるのではなく、使える救済措置を最後まで使い切りましょう。

また、補習や追試の日程は限られているため、案内を受け取ったらすぐに予定を押さえてください。

補習の参加が成績評価や履修認定にどのように反映されるかは、学校ごとに異なります。聞き漏れが心配なら、保護者から学校へ確認してもらう方法も有効です。

与えられた課題は提出期限を守り、1つずつ確実に仕上げていく姿勢が評価につながります。

保健室登校や別室登校など利用できる制度を確認する

教室に入るのがつらい状態でも、保健室や相談室、図書館を活用しながら通学を続ける形を認めている学校があります。

文部科学省の通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」でも、こうした校内の居場所を活用しながら段階的に学校生活への適応を図る指導上の工夫が示されています。ただし、この通知は出席の取り扱いそのものを定めたものではなく、実際の運用は各校の判断になります。

学校の外に目を向けると、高校生には別の仕組みがあります。学校外の公的機関や民間施設で相談・指導を受けている場合、校長が適切と認めれば指導要録上の出席扱いとすることができます。

ここで注意したいのが、指導要録上の出席扱いと、単位の認定は別の制度だという点です。

平成21年の文部科学省通知は、指導要録上の出席扱いについて「科目の履修の認定に当たって考慮される授業への出席とは異なるものであり、科目の履修の認定に当たっては、在籍校における履修要件に照らして適切に行う」と明記しています。

留年は単位が認定されるかどうかで決まるため、出席扱いになれば進級できる、という関係にはなっていません。

一方で、単位の修得につながる制度も用意されています。国のきまりでは、次の2つが認められています。

  • 多様なメディアを高度に利用した授業を、教室等以外の場所で履修させる
  • 欠席が続くと認められる生徒などに、授業に代えて通信教育を行う

この方法で修得した単位は、卒業に必要な74単位のうち36単位まで算入できます。

在学したまま単位を積み上げる手段になり得るため、利用できるかどうかを学校に確認してみてください。

「教室に通えない=直ちに留年が確定する」ではないため、利用できる制度を必ず確認しましょう。制度を利用した生徒の前例があるかどうかも、判断材料として聞いてみると良いでしょう。

担任や養護教諭に相談すれば、自分に合った登校の形を一緒に探してもらえます。まずは現在の欠課状況を整理し、利用したい制度を具体的に相談してみてください。

出典:文部科学省|不登校児童生徒への支援の在り方について(令和元年10月25日)文部科学省|高等学校における不登校生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の対応について(平成21年3月12日)学校教育法施行規則 第88条の3・第88条の4・第96条第2項

医療機関やスクールカウンセラーも活用する

体調不良やメンタルの不調が原因で通えない場合は、治療と休養を先に進める判断が重要です。

医療機関を受診して診断書をもらえば、学校側も事情を踏まえた対応を検討しやすくなります。診断書の提出によって、出席や課題の扱いを個別に配慮してもらえた例もあります。

また、学校に配置されているスクールカウンセラーへの相談も、有効な手段の1つです。つらさの背景には、心身の不調や人間関係、学習環境など、さまざまな要因が考えられます。

心身の不調がある場合は、自分を責めず、医療機関などの専門家と相談しながら休養や治療を検討しましょう。

保護者の方も本人を責めず、医療機関や相談機関と連携しながら支えてあげてください。

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高校を留年したらどうなる?

実際に留年が決まった場合、学校生活や進路には何が起こるのでしょうか。高校を留年した場合に想定される主な影響としては、以下の4つが挙げられます。

  • 同級生より卒業が1年遅れる
  • 学費・就学支援金(高校無償化)への影響
  • 学校生活やメンタルへの影響
  • 大学進学・就職への影響

影響を正しく知れば、必要以上に恐れず冷静に対策を立てられます。事前に心構えをつくっておくつもりで、1つずつ順番に確認していきましょう。

同級生より卒業が1年遅れる

高校を留年した場合、最も大きな変化は同級生より卒業が1年遅れる点です。高校3年間で卒業する場合と比べ、卒業時期が1年遅れることになります。

翌年度は、原則として1学年下だった生徒と同じ学年で、授業や学校行事に参加することになります。部活動の仲間や友人と学年がずれるため、行事への関わり方も変わってくるはずです。

また、年下の生徒と同級生になる状況に、最初は戸惑いを感じる人も少なくないでしょう。一方で、卒業が1年遅れても、高校卒業資格そのものの価値は変わりません。

長い人生で見れば1年の差はわずかであり、卒業後の努力で十分取り返せる範囲です。卒業の遅れを気にしすぎず、学び直しの1年をどう使うかに意識を向けてみてください。

学費・就学支援金(高校無償化)への影響

留年で在学期間が延びると、延びた分の授業料や諸経費が追加で発生します。授業料を支援する高等学校等就学支援金には、支給期間の上限がある点にも注意してください。

支給期間の上限は、全日制で36か月、定時制・通信制で48か月と定められています。全日制で在学が4年になると、上限を超えた12か月分の授業料は自己負担になる計算です。

従来は世帯年収による支給の制限がありましたが、2026年度からは所得制限が撤廃されています。

支給上限額は課程や設置者によって異なり、公立は年11万8,800円、私立の全日制は年45万7,200円です。私立の通信制課程は年33万7,200円と、上限額が異なります。

支援金の申請はオンラインシステム「e-Shien」から行うため、手続きの案内も確認しましょう。

なお、新制度には国籍や在留資格の要件があり、対象外となる生徒には別の支援が用意されています。

制度の詳細や条件は、文部科学省「高校生等への修学支援」の公式ページで確かめられます。

学校生活やメンタルへの影響

留年後は「周囲からどう見られるか」との不安や、人間関係のリセットが心理的な負担になります。仲の良かった友人と学年が分かれてしまい、孤独を感じやすくなるのは事実です。

つらい気持ちを1人で抱え込むと、再び学校へ通えなくなる悪循環に陥りかねません。家族や信頼できる友人、スクールカウンセラーへ気持ちを話す機会をつくりましょう。

趣味や習い事など、学校以外の居場所を持っておくと気持ちの支えになります。不安が長引いて眠れない日が続くなら、早めに医療機関や専門機関へ相談してみてください。

周囲の目が気になって通い続けるのが難しいなら、学びの場を変える選択も検討に値します。後述する転校や通信制高校への転入は、人間関係を仕切り直す手段にもなり得ます。

大学進学・就職への影響

大学の一般選抜は年齢や経歴を問わないため、留年が直接合否へ影響する心配はほぼありません。一方、学校推薦型選抜や総合型選抜では、評定平均や調査書の内容が選考の材料になるでしょう。

調査書には在学中の成績や出欠状況などが記載されるため、志望校の募集要項で扱いを忘れずに確かめてください。就職の場面では、面接で留年の理由を質問される可能性があります。

留年の経緯を時系列で整理し、学んだ点を自分の言葉で語れるよう準備しておきましょう。資格取得や課外活動での実績づくりも、経歴への不安を補う材料になります。

事実を隠さず前向きに説明できれば、留年の経験は十分に挽回可能です。

高校を留年しても人生が終わるわけではない

留年が決まった直後は、「人生が終わった」と目の前が真っ暗になってしまうかもしれません。

実際、留年をめぐる相談がQ&Aサイトや保護者向けの掲示板に数多く投稿されています。複数のスレッドを読むと、相談の多くが「今の高校に残ってもう一度同じ学年をやるか」「学びの場を変えるか」という二択で語られており、答える側の意見も大きく分かれているのがわかります。

どちらか一方が正解というわけではありません。判断の材料になるのは、制度上どんな道が残されているかという事実のほうです。

留年した年次にかかわらず、高校を卒業すれば得られるのは同じ高校卒業の資格です。卒業に必要な74単位という条件も、卒業までにかかった年数によって変わることはありません。

大学進学の道も残ります。大学の一般選抜は年齢や経歴を問わないため、卒業が1年遅れても受験資格そのものに影響はありません。

学びの場を変える選択も、現実に多く取られています。文部科学省の令和6年度の調査では、高校を中途退学した44,571人のうち、進路変更を理由とする人が18,505人(41.5%)でした。そのうち10,621人は「別の高校への入学を希望」して学校を移っています。

留年や中途退学を経て学びの場を変えることは、統計上も例外的な選択ではありません。

大切なのは、いま自分に残されている選択肢を正確に把握したうえで、家族や学校と相談しながら決めていくことです。次の章では、留年が決まった後に取り得る進路を1つずつ見ていきます。

出典:文部科学省|令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果(表6-4 事由別中途退学者数)

高校の留年が決まった場合のその後の進路・選択肢

仮に留年が決まった場合でも、今後に進める道は決してひとつだけではありません。高校の留年が決まった後に考えられる主な進路・選択肢は、以下の5つです。

  • そのまま現在の高校で学び直す
  • 全日制高校へ転校・編入する
  • 通信制高校・サポート校へ転入・編入する
  • 高卒認定試験で大学・専門学校への進学を目指す
  • 高校を退学して就職する

各選択肢の特徴と注意点を比較しながら、自分の状況や目標に合う進路を選んでいきましょう。

そのまま現在の高校で学び直す

最初に検討したいのは、在学中の高校へ残り、同じ学年をもう一度やり直す道です。慣れた環境で学び直せるため、新しい学びの場を探す手間や転入試験の負担がありません。

通学ルートや校則、先生との関係を維持したまま再スタートできる点も安心材料でしょう。一方で、1学年下の生徒と一緒に過ごす生活には、心理的な適応が求められます。

前述した就学支援金の支給期間を超えた分は、授業料が自己負担になる点にも注意が必要です。留年した1年で基礎を固め直せば、進級後の学習でつまずきにくくなります。

また、担任と相談して再スタート後の目標を明確にしておくと、意欲を保ちやすくなるはずです。学び直しへの意欲と経済面の両方を踏まえて、家族と一緒に判断してください。

全日制高校へ転校・編入する

気持ちを切り替えて、別の全日制高校へ転校・編入する道もあります。ただし、全日制同士の転校は募集枠が少なく、転入試験も課されるため難度は高めです。

募集は欠員が出た場合に限られやすく、時期も学期の変わり目などに限定されがちです。転入試験は英数国の学力検査と面接を課す学校が多く、志望先ごとの対策も欠かせません。

修得済みの単位の扱いについては、国のきまりで「修得した単位数その他の事項を考慮して、相当する学年に転入することができる」と定められています。どの範囲まで認めるかは転学先の校長が判断するため、単位の引き継ぎ方によって卒業時期が変わる可能性があります。

転入学は在学中のまま手続きを進めます。一方、編入学は退学後に新しい学校へ入学する仕組みです。

志望先の募集状況と単位の扱いについて、教育委員会や各学校へ問い合わせてみてください。

出典:学校教育法施行規則 第92条

通信制高校・サポート校へ転入・編入する

通信制高校は単位制のため学年の区切りがなく、修得済みの単位を引き継いで学べます。転入の時期と単位数によっては、元の同級生と同じ時期の卒業を目指せるケースもあります。

転入学を随時受け付ける通信制高校もありますが、入学時期や出願期限は学校ごとに異なります。自分のペースで学習を進められるため、体調や心の回復と両立しやすい点も特長です。

ただし、学費や通学頻度は事前によく比較して選ぶべきです。あわせて検討したいのが、通信制高校と併用して学習・生活・進路を支えるサポート校です。

サポート校単独では高卒資格を取れないものの、卒業まで伴走してくれる心強い味方になります。

もう一度自分のペースで立て直したい人にとって、前向きな再スタートを支えてくれる存在となるでしょう。

高卒認定試験で大学・専門学校への進学を目指す

高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)に合格して、大学や専門学校を目指す道もあります。

合格すると、高校卒業者と同等以上の学力があると国から認定されます。大学・短大・専門学校の受験資格が得られるほか、一部の国家資格試験にも挑戦可能です。

受験できるのは、受験する年度の終わりまでに満16歳以上になる方です。高校に在学したままでも受験できますが、すでに大学入学資格を持っている方は受験できません。

試験は例年8月と11月の年2回実施され、合格した科目は次回以降へ持ち越せます。なお、令和8年度から試験科目が変わるため、最新の受験案内で確認してください。

注意点として、高卒認定の合格は「高卒資格」ではなく、最終学歴は高校卒業になりません。

合格後の最終学歴は中学校卒業のままですが、大学などを卒業すれば最終学歴は大卒になります。

独学が不安な場合は、対策講座や通信制高校との併用も視野に入れてみてください。高校で修得済みの単位による科目免除もあるため、文部科学省の公式ページで確認しましょう。

高校を退学して就職する

高校を退学して働き始める道も、選択肢の1つとして存在します。ただし、退学すると最終学歴は中学校卒業になり、応募できる求人の幅が狭まります。

高卒以上を条件とする企業は多く、給与や昇進の面で差が生じる場合も少なくありません。

就職を選ぶなら、働きながら高卒認定や通信制高校で学び直す併用パターンも検討しましょう。

実際に、仕事と両立しながら高卒資格の取得や大学進学を実現した先輩は大勢います。

また、ハローワークや若者向けの就労支援機関を利用すれば、求人探しの相談にも乗ってもらえます。

退学を決める前に、在学したまま別の進路を検討できないか学校へ相談するのも1つの方法です。退学を学びの終わりにせず、将来の選択肢を残す形で進路を設計してください。

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高校の留年に関するよくある質問

最後に、高校の留年に関して特によく寄せられる4つの質問へ、簡潔に回答します。

  • 高校留年は何回までできますか?
  • 赤点1教科だけでも留年になりますか?
  • 通信制高校でも留年しますか?
  • 留年すると大学受験で不利になりますか?

回答はあくまで一般的な傾向のため、最終的には在学校の基準や規定を必ず確かめてください。

気になる項目だけでも目を通して、進路を考える際の不安の解消に役立てていきましょう。

高校留年は何回までできますか?

法令上、高校で留年できる回数に一律の制限は設けられていません。ただし、多くの学校は学則や内規で在学できる年数の上限(在学年限)を定めています。

上限の年数は学校ごとに異なり、課程によっても変わります。

在学年限を超えると退学となる場合が多いため、在学校の学則を必ず確認しておきましょう。

なお、単位制の通信制高校へ移れば、学年に縛られず自分のペースで学び直せる場合もあります。

赤点1教科だけでも留年になりますか?

多くの学校では、赤点を1教科取っただけで、すぐに留年が決まるわけではありません。追試や再試験、課題の提出など、挽回のための救済措置が用意されているのが一般的です。

救済を経ても単位を落とし、未修得数が学校の基準を超えた場合に留年となります。赤点を取って不安な場合は、追試の日程と出題範囲を早めに確認して準備を始めましょう。

留年判定の基準は学校ごとに異なるため、担任へ相談しながら具体的な対策を進めてください。

通信制高校でも留年しますか?

通信制高校の大半は単位制を採用しており、学年ごとに進級を判定する仕組み自体がありません。

正確には「留年がない」のではなく、「学年の区切りがない」制度と理解しておきましょう。

ただし、原級留置がまったく起こらないわけではありません。文部科学省の令和6年度の調査では、通信制の課程で2,940人が原級留置となっており、在学者数に占める割合は1.0%でした。学年制を採る通信制高校もあるためです。

卒業には3年以上の在学と74単位以上の修得、特別活動(ホームルームや学校行事など)への30単位時間以上の参加が必要です。

単位を落としても翌年度に再履修できるため、単位制の課程であれば同じ学年をやり直す形にはなりません。

ただし、レポートの未提出やスクーリング(対面授業)の欠席が続くと卒業時期は延びるため、計画性は必要です。

留年すると大学受験で不利になりますか?

大学の一般選抜では年齢や経歴を問われないため、留年が直接不利になる心配はありません。

一方、学校推薦型選抜や総合型選抜では、評定平均や調査書の記載内容が影響し得ます。出願の条件は大学・学部ごとに異なるため、募集要項を早めに確認しておきましょう。

志望校を選ぶ段階で、選抜方式ごとの出願条件を整理しておくと直前で慌てずに済みます。

また、留年後の努力や成長を伝えられれば、面接や志望理由書で評価につながる場合もあります。

留年が決まっても学び直しの道は複数ある

高校の留年は、出席日数と成績(単位)の2つの基準で決まる仕組みです。「留年しそう」と言われた段階なら、担任への相談や補習・追試で回避できる可能性が十分あります。

仮に留年が決まっても、学び直しの道は在学校でのやり直しだけではありません。全日制への転校、通信制高校への転入、高卒認定試験の受験など、進路は複数用意されています。

留年は学びの終わりではなく、自分に合う学び方を見つけ直す転機にもなり得るでしょう。

保護者の方は、お子さんを責めずに気持ちに耳を傾け、学校と早めに連携してあげてください。

本人の思いを受け止めながら一緒に情報を集める姿勢が、立ち直りの大きな支えになります。

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この記事の著者
恒弘 大輔
恒弘 大輔
HR高等学院 運営責任者
早稲田大学教育学部卒。2018年に株式会社トライグループに入社。家庭教師事業・個別教室事業を中心に新規事業開発責任者、事業戦略、マーケティング、拠点拡大、採用育成など幅広く従事。累計1,000名を超える家庭の教育コンサルティングと課題解決を行う。もっと世界の様々な教育を学びたいという思いから、2023年同社を退職し教育をテーマに世界一周を行い、5大陸53カ国を旅する。各地の教育機関や学校を訪れたり、開戦直前のイスラエル/パレスチナ、アフリカの貧困など様々な国のリアルを目の当たりにする中で、「これからの世代の子どもたちに本当に必要な学びは何か」を先進国・途上国の子どもたちから学ぶ。非認知能力やキャリアへの探究心を育てる未来の教育の姿に共感し、2024年株式会社RePlayceに参画。2025年に開校したHR高等学院の立ち上げを担当。
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