私立高校の学費が払えるか不安で、子どもの進学先を決められないとお悩みではないでしょうか。就学支援金の仕組みがよくわからず、申請すべきかどうか迷っている保護者の方も多いはずです。
本記事では、高等学校等就学支援金制度の概要や利用方法、年収ごとの支給額シミュレーションなどをわかりやすく解説します。
また、2026年度には制度の大きな改正が予定されているため、制度改正のポイントを押さえつつ、現時点で公表されている内容を紹介します。
高等学校等就学支援金とは?
高等学校等就学支援金とは、高校等に通う学生の授業料を国が支援する制度です。この制度は2010年にスタートし、2014年に現行の形に改正されました。
支援金は学生や保護者に直接支給されるのではなく、学校設置者が代理で受け取り授業料に充当する仕組みです。
なお、高等学校等就学支援金は奨学金のような貸付型ではなく、給付型の支援として位置づけられているため、返済の必要がありません。
2025年度からは所得制限の一部が撤廃され、公立高校の授業料は全世帯で実質無償化となりました。
2026年度(令和8年4月)からは、私立高校についても所得制限が撤廃され、支給上限額が年額45万7,000円に引き上げられます。
2026年4月に入学する新入生から適用されるため、これから入学を控える方は、制度の内容を正しく理解しておきましょう。
高等学校等就学支援金のお金の仕組み
就学支援金のお金の流れは、国から都道府県や学校法人を経由して授業料に充当される形式です。保護者が国から直接お金を受け取ることはなく、学校が学生・保護者に代わって受領します。学校側は受け取った支援金を授業料に充て、支援金で賄えない差額分がある場合のみ保護者に請求する仕組みです。
ただし、学校によっては、支援金の支給決定前に授業料を全額徴収し、後から差額を還付する方法を採用している場合もあります。学校によっては、入学時に一時的な立て替えが必要になるため、事前の資金準備が求められます。還付時期は夏以降になるケースが多い点は覚えておきましょう。
高等学校等就学支援金がもらえる条件
高等学校等就学支援金を受給するためには、在学要件と所得要件の2つを満たす必要があります。
在学要件では、日本国内に住所があり高等学校等に在学していることが求められます。所得要件は2025年度から大幅に緩和され、公立高校の基準額については全世帯が対象となりました。
なお、「算定基準額」とは、国が受給資格を判定するために用いる"世帯の所得スコア"のようなものです。年収そのものではなく、「課税標準額×6%-市町村民税の調整控除額」の計算式で算出されます。
この計算に必要な課税標準額と調整控除額は、毎年6月頃にお勤め先や市区町村から届く「住民税決定通知書」の「課税標準」の欄で確認できます。また、マイナポータルでも確認可能です。
ここでは、受給資格がある場合とない場合について詳しく解説します。
受給資格がある場合
就学支援金の受給資格がある場合は、以下の条件を満たしている必要があります。
- 日本国内に住所があり、高等学校等に在学していること
- 保護者等の所得が算定基準額の条件を満たしていること
- 高校を卒業しておらず、在学期間が上限を超えていないこと
日本国内に住所があり、高等学校等に在学していることが第一の条件です。対象となる学校には、国公私立の高等学校(全日制・定時制・通信制)、中等教育学校後期課程、特別支援学校の高等部、高等専門学校(1〜3学年)、専修学校高等課程が含まれます。
保護者等の所得が算定基準額の条件を満たしていることも必要です。2025年度以降は、基準額(年額11万8,800円)については所得制限が撤廃されたため、全世帯が受給対象となりました。私立高校の加算支給については、算定基準額が15万4,500円未満(年収目安590万円未満)の場合に対象となります。
高校を卒業しておらず、在学期間が上限を超えていないことも条件です。全日制の場合は通算36月、定時制・通信制の場合は48月が支給期間の上限となります。
受給資格がない場合
以下のいずれかに該当する場合は、高等学校等就学支援金の受給対象外となります。
- すでに高等学校等を卒業または修了している
- 専攻科・別科の生徒、科目履修生、聴講生である
- 在学期間が上限(全日制36月、定時制・通信制48月)を超えている
- 私立高校の加算支給において算定基準額が30万4,200円以上(年収目安910万円以上)
すでに高等学校等を卒業または修了している場合は、支援の対象外です。過去に一度でも高校を卒業した実績があると、再入学しても受給資格を失います。専攻科や別科の学生、科目履修生、聴講生も制度の対象外です。
また、全日制の場合は、在学期間が通算36月を超えると対象から外れます。休学期間中も支給期間にカウントされるため、長期休学を予定している場合は支給停止の申出を行う必要があります。支給停止を申し出れば、その期間は36月のカウントに含まれません。
2025年度以降は基準額については所得制限が撤廃されましたが、私立高校の加算支給については引き続き所得要件が設けられています。現状、算定基準額が30万4,200円以上(年収目安910万円以上)の世帯は加算支給を受けられません。
ただし、2026年度からは加算支給の所得制限も撤廃される見込みです。
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高等学校等就学支援金の支給金額
高等学校等就学支援金の支給金額を以下の3つに分けて解説します。
- 公立高校
- 私立高校
- 通信制高校
就学支援金の支給金額は、通う学校の種類と保護者の所得によって異なります。
公立高校では授業料相当額が全額支給されるため、授業料は(上限の範囲内で)実質無償になります。私立高校では所得に応じた加算支給があり、低所得世帯ほど手厚い支援を受けられます。通信制高校の場合は単位数に応じた計算方式です。
公立高校
公立高校の支給限度額は、全日制の場合で月額9,900円(年額11万8,800円)に設定されています。この金額は公立高校の標準的な授業料と同額であるため、支援金を受給すれば授業料は実質無償となります。
定時制の場合は月額2,700円、通信制の場合は月額520円がそれぞれ支給限度額です。課程によって授業料の設定が異なるため、支給額にも差が設けられています。
2025年度からは「高校生等臨時支援金」が創設され、年収約910万円以上の世帯にも年額11万8,800円が支給されるようになりました。つまり、公立高校の授業料は世帯年収に関係なく全額がカバーされ、すべての世帯で実質無償化が実現しています。
なお、2026年度からは臨時支援金に代わって、就学支援金制度本体の所得制限が撤廃され、全世帯が支援対象の制度となる予定です。
私立高校
私立高校の支給額は、世帯の所得に応じて段階的に異なる仕組みです。算定基準額が15万4,500円未満(年収目安590万円未満)の世帯では、月額3万3,000円(年額39万6,000円)を上限に支援金が支給されます。この金額は私立高校の平均授業料を考慮して設定されたものです。
算定基準額が15万4,500円以上30万4,200円未満(年収目安590万円以上910万円未満)の世帯では、月額9,900円(年額11万8,800円)の基準額が支給されます。私立高校の授業料が支給額を上回る場合は、差額を自己負担する必要があります。
なお、2026年度からは所得制限が撤廃され、支給上限額が年額45万7,000円に引き上げられる予定です。
この金額は私立高校の全国平均授業料相当額に設定されており、2026年4月に入学する新入生にも適用されるため、進学を控えている方は最新の制度内容を理解しておきましょう。
所得制限が撤廃されると、より多くの世帯で私立高校の授業料が実質無償に近づきます。
通信制高校
通信制高校の支援金は、履修する単位数に応じて支給される単位制の計算方式です。公立の場合は1単位あたり336円、私立の場合は1単位あたり最大12,030円(年収目安590万円未満の世帯)または4,812円(年収目安590万円以上910万円未満の世帯)が支給されます。
ただし、年間の支給対象単位数は、30単位が上限です。卒業までの通算単位数は74単位を上限として設定されています。この範囲を超えて履修した単位については、支援金の対象外となり自己負担が必要です。
また、支給期間の上限は48月と、全日制の36月より長く設定されています。通信制は修業年限が柔軟なため、より長い期間にわたって支援を受けられる仕組みが採用されています。単位制の私立通信制高校に通う場合、最大で35万6,088円(74単位×4,812円)の支援金を受給可能です。
世帯状況別・年収別の支給額シミュレーション
世帯状況別・年収別の支給額を、以下4パターンでシミュレーションします。
- 共働きの場合
- 両親の片方が働いている場合
- 世帯年収が590万円未満
- 世帯年収590万円以上~910万円未満
就学支援金の支給額は、世帯の労働状況によっても変動します。
同じ世帯年収であっても、共働き世帯のほうが基礎控除や給与所得控除を2人分適用できるため、算定基準額を低く抑えやすく、受給に有利な傾向があります。
ここでは、家庭の状況別に年収と支給額の関係をシミュレーションします。
共働きの場合
共働き世帯の場合、両親ともに収入があるため課税標準額等を合算して判定されます。所得要件の算定式は「課税標準額×6%-市町村民税の調整控除額」で計算します。
共働き世帯の年収と支給額の目安は以下のとおりです。
共働き世帯は、夫婦それぞれに基礎控除や給与所得控除が適用されるため、同じ世帯年収の片働き世帯と比べて算定基準額を低く抑えやすいのが特徴です。
表のとおり、加算支給の対象となる年収ラインは約660万円未満と、片働き世帯(約590万円未満)よりも高くなっています。
また、iDeCoのような所得控除を活用すると、算定基準額を下げられる場合があります。
両親の片方が働いている場合
片働き世帯は各種控除が適用され、算定基準額が低くなりやすいのが特徴です。片働き世帯の年収と支給額の目安は以下のとおりです。
片働き世帯は配偶者控除が適用されるものの、給与所得控除を1人分しか使えないため、同じ世帯年収の共働き世帯と比べると算定基準額がやや高くなる傾向があります。
表のとおり、加算支給の年収ラインは約590万円未満と、共働き世帯(約660万円未満)より低く設定されています。ただし、世帯の状況によって適用される控除は異なるため、正確な判定は住民税決定通知書をもとに、算定基準額を計算して確認しましょう。
世帯年収が590万円未満
世帯年収が590万円未満の場合、私立高校に通う生徒は加算支給により手厚い支援を受けられます。支給上限額は年額39万6,000円で、私立高校の平均授業料に近い金額が支援されます。
算定基準額の計算方法は「課税標準額×6%-市町村民税の調整控除額」です。この金額が15万4,500円未満であれば、加算支給の対象となります。なお、課税標準額と調整控除額は、毎年6月頃に届く住民税決定通知書やマイナポータルで確認可能です。
年収590万円未満の世帯では、公立高校では授業料が全額カバーされ実質無償となります。私立高校でも授業料が39万6,000円以下の学校であれば、同様に実質無償です。授業料がこの金額を超える学校の場合は、差額を自己負担する必要があります。
世帯年収590万円以上〜910万円未満
世帯年収が590万円以上910万円未満の世帯では、基準額相当の支援金が支給されます。支給額は年額11万8,800円で、公立高校の授業料相当額です。
世帯年収590万円以上〜910万円未満の場合、算定基準額は15万4,500円以上30万4,200円未満の範囲に該当します。公立高校に通う学生は授業料が実質無償となりますが、私立高校では授業料との差額を自己負担しなければなりません。
私立高校の平均授業料が約40万円であることを考慮すると、この世帯は年間約28万円程度の自己負担が生じます。
ただし、2026年度からは所得制限が撤廃され、支給上限額が年額45万7,000円に引き上げられます。つまり、世帯年収590万円以上〜910万円未満の世帯でも、私立高校の授業料負担が軽減される見込みです。
なお、世帯年収が590万円以上910万円未満の世帯であっても、都道府県独自の支援制度を併用すると、負担額を大幅に軽減できるでしょう。
地方自治体独自の支援制度
地方自治体独自の支援制度をいくつか紹介します。
- 東京都
- 大阪府
- 神奈川県
- 愛知県
国の就学支援金とは別に、各都道府県が独自の支援制度を設けています。特に私立高校に通う学生を対象とした上乗せ助成を実施している自治体が多く、国の制度と併用すれば授業料負担をさらに軽減可能です。
ただし、授業料の完全無償化が実現しているかどうかは、自治体によって異なります。東京都や大阪府などの一部自治体では、独自の上乗せ支援により所得制限を撤廃し、実質的な完全無償化を実現しています。
一方で、公的な支援制度だけでは、授業料全額をカバーできないケースも少なくありません。お住まいの都道府県の制度を確認し、利用可能な支援を正しく把握しておきましょう。
東京都
東京都では、「私立高等学校等授業料軽減助成金制度」を実施しています。国の就学支援金とあわせて、都内私立高校の平均授業料相当額である年額49万円(都認可通信制高校は最大で27万6,000円)まで支援されます。
2024年度から所得制限が撤廃され、全世帯が授業料軽減助成金の対象となりました。保護者と学生が都内に住所を有していれば、世帯年収に関係なく支援を受けられます。
ただし、私立高等学校等授業料軽減助成金制度の申請手続きは就学支援金とは別に必要です。東京都私学財団のオンライン申請システムを利用して、毎年7月頃に申請を行いましょう。
なお、都外の私立高校に通う場合でも、保護者が都内在住であれば支援の対象となります。
出典:公益財団法人東京都私学財団|私立高等学校等授業料軽減助成金事業
大阪府
大阪府では、「私立高等学校等の授業料支援補助金制度」を実施しており、国の就学支援金を組み合わせると、授業料を実質無料にできます。
国の就学支援金と大阪府の授業料支援補助金を併用すると、標準授業料である年額63万円(通信制高校は29万7,000円)を上限に補助金が交付されます。年間の授業料が63万円を超える場合、年収目安800万円未満の世帯は学校が負担し、800万円以上の世帯は保護者が負担する仕組みです。
私立高等学校等の授業料支援補助金制度を利用するためには、学生本人と保護者全員が大阪府内に在住し、「就学支援推進校」に在学していなければなりません。大阪府外の私立高校に通う場合も支援の対象とはなりますが、上限を超える授業料については保護者負担となる点には注意しましょう。
なお、本制度は2024年度から段階的に対象者が拡充されており、2026年度には全学年で所得制限が撤廃される予定です。
出典:大阪府|令和6年度以降に段階実施する授業料支援制度について
神奈川県
神奈川県では、「私立高等学校等学費支援制度」を設けています。本制度は入学金と授業料の両方を支援対象としている点が特徴です。
2025年度の補助額は、授業料については年収約750万円未満の世帯に対して年額46万8,000円を上限に支援されます。多子世帯の場合は年収約910万円未満まで対象が拡大される仕組みです。入学金については、生活保護世帯や住民税非課税世帯に対して21万1,000円を上限に補助されます。
ただし、私立高等学校等学費補助金制度は、県内設置の私立高校に在学する学生が対象で、県外の私立高校は対象外です。世帯年収に応じた段階的な補助額が設定されているため、詳細は神奈川県のホームページで確認してください。
愛知県
愛知県では、「私立高等学校等授業料軽減補助金制度」を実施しています。本制度は国の就学支援金に加えて、県独自の補助を上乗せする形式です。
補助額は学年や算定基準額によって異なります。1年生で算定基準額が15万4,500円未満の場合、国の就学支援金とあわせて月額3万7,100円(通信制高校は2万4,750円)が支援されます。入学納付金についても所得に応じた補助制度が別途設けられています。
支援を受けるためには、学生と保護者が愛知県内に住所を有し、愛知県の私立高校に在学していなければなりません。また、県外の私立高校に通う場合は、高等学校等就学支援金のみの支給となり、県独自の補助は受けられない点は把握しておきましょう。
「社会で生きていける力」を。
- 入学前不登校経験者8割。
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高等学校等就学支援金をもらう流れ
高等学校等就学支援金を受給するためには、入学時に学校から案内される受給資格認定申請を行う必要があります。申請はオンラインで手続きできるe-Shienシステムが用意されており、スマートフォンやパソコンから申請可能です。
申請に必要な書類として、マイナンバーカードの写しまたはマイナンバーが記載された住民票等を準備します。オンライン申請の場合はマイナンバーカードを利用すると、所得情報の確認が自動化されスムーズに手続きが進みます。
受給資格の認定後も毎年7月頃に収入状況届出を行い、受給資格の継続審査を受ける必要があります。届出を怠ると支給が停止される可能性があるため、学校からの案内に注意して期限内に手続きを完了させましょう。
保護者の離婚や転職など、世帯状況に変更があった場合も速やかに届出が必要です。
通信制高校サポート校「HR高等学院」をご紹介
学校での偏差値よりも、社会での可能性を - HR高等学院 HR高等学院は、通信制高校と連携して学生の学習・学校生活をトータル的に支援する通信制サポート校です。サポート校自体は就学支援金の対象外ですが、連携する通信制高校の授業料で支援を活用できます。
通信制高校の学びをより充実させたい方には、サポート校のHR高等学院を活用するのがおすすめです。HR高等学院では、ビジネス・アート・テクノロジーなど社会で活きるスキルを学びながら、企業のプロジェクト参加や起業体験、商品開発といった実践的な活動に挑戦できます。
また、「失敗は挑戦の証」という考え方を大切にし、安心してトライ&エラーできる環境が整っています。中学時代に不登校だった方や、自信を取り戻したい方にも適しています。
まずは説明会や個別相談会で、学校や授業の詳細、通信制高校全体の仕組み、子どもの将来に関する不安などをご相談ください。一人ひとりに寄り添い、最適な学びの形をご提案します。
最後に
本記事では、高等学校等就学支援金制度の概要や具体的な支給額、申請方法まで解説しました。
高等学校等就学支援金は、授業料の経済的負担を軽減する国の給付制度です。返済不要のため、奨学金とは異なり将来の負担を心配する必要がありません。
世帯の所得に応じて支給額が決まるのが特徴で、2025年度からは公立高校の授業料が全世帯で実質無償となりました。
私立高校や通信制高校も制度の対象であり、幅広い学校選択において活用できます。
2026年度(令和8年4月)からは私立高校の支給上限額が年額45万7,000円に引き上げられ、所得制限も撤廃される予定です。
2026年4月に入学する新入生から適用される改正であるため、高校進学を控えている方は、制度改正の内容を押さえたうえで学校選びを進めましょう。
申請はe-Shienでオンライン手続きが可能で、入学時の4月と毎年7月に届出が必要となります。都道府県独自の上乗せ支援制度も併用して活用すると、さらに教育費負担を軽減できるでしょう。
お住まいの自治体の制度もあわせて確認し、利用可能な支援を最大限に活用してください。


