「子どもが学校に行きたがらない理由が分からない」と悩む保護者の方は少なくありません。
文部科学省の調査によると、不登校の原因として学校が把握した事実の中で最も多いのは「学校生活に対してやる気が出ない等の相談」で、小・中学校合計の30.1%を占めました。
本記事では、文部科学省が公表した全14項目の調査結果を数値付きで整理し、不登校の原因をランキング形式で解説します。
あわせて、小学生・中学生・高校生別の原因の傾向や、保護者ができる関わり方、不登校の先にある学びの選択肢まで紹介するため、参考にしてください。
不登校とは?文部科学省の最新データから見る現状
不登校の原因を考える前に、まずは不登校の定義と現状のデータを確認しましょう。文部科学省の調査結果をもとに、以下の3つの観点から解説します。
- 不登校の定義
- 不登校の児童・生徒数は増えている
- 不登校の割合と推移
公的なデータを押さえると、子どもの置かれた状況を客観的に捉えやすくなります。
出典:文部科学省|令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要
不登校の定義
文部科学省は、病気や経済的な理由を除き、年間30日以上欠席した児童生徒を不登校と定義しています。
具体的には、心理的・情緒的・身体的、あるいは社会的な要因や背景により、登校しない状況または登校したくてもできない状況が対象です。
かつては「登校拒否」と呼ばれていましたが、本人の拒否だけでは説明できない多様な背景があるとわかり、現在は「不登校」の呼称が定着しました。
なお、年間30日以上の欠席は連続した欠席に限らず、断続的な欠席の合計でも該当します。たとえば、週1回程度の欠席が続いている場合も、文部科学省の定義では不登校となります。
出典:文部科学省|不登校の現状に関する認識
不登校の児童・生徒数は増えている
文部科学省の「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、小・中学校の不登校児童生徒数は353,970人でした。
12年連続の増加で、過去最多を更新しています。一方、高校の不登校生徒数は67,782人で、前年度の68,770人から988人減少しました。
小・中学校では増加が続いており、不登校はどの家庭にも起こり得ることがわかります。人数の多さを踏まえれば、「うちの子だけが特別」と思い詰める必要はありません。
出典:文部科学省|令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要
不登校の割合と推移
令和6年度の学年別データを見ると、不登校児童生徒数は小学1年生の8,738人から学年が上がるごとに増え、中学3年生では80,464人に達しました。
学年が進むにつれて人数が増える傾向は、令和4年度・令和5年度の調査でも同様に確認されています。
また、小・中学校の不登校児童生徒のうち、年間90日以上欠席した児童生徒は191,958人で、不登校児童生徒全体の54.2%を占めました。
半数以上が長期化している実態を踏まえると、早い段階での相談や支援先の確保が重要になります。
出典:文部科学省|令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要
不登校の原因ランキングTOP14【文部科学省の最新調査をもとに】
不登校の原因ランキングTOP14は、以下のとおりです。
- 学校生活に対してやる気が出ない
- 生活リズムの乱れ
- 不安・抑うつ
- 勉強の遅れや学業不振
- 友人関係のトラブル・いじめを除く
- 親子の関わり方の問題
- 家庭生活の変化
- 発達特性など特別な教育的支援が必要な状況
- 障害以外の個別の配慮の求め
- 入学・転校・進級など環境の変化
- 教職員との関係をめぐる問題
- あそび・非行
- 学校のきまり・校則への違和感
- 学校でのいじめ被害
文部科学省の令和6年度調査では、不登校児童生徒について学校が把握した事実が14項目に分けて公表されています。
本記事の順位は、小・中学校合計の割合が高い順に並べたものです。
各項目では原因の概要に加えて、家庭で気づきやすいサインや保護者が知っておきたいポイントも解説します。
※なお、割合は不登校児童生徒数に対する複数回答の結果のため、合計は100%になりません。
このランキングの根拠と見方
本記事のランキングの出典は、令和6年度調査の「不登校児童生徒について把握した事実」です。
学校(教員)が把握した事実を複数回答で集計した結果であり、児童生徒本人が答えた「原因」とは異なる点に注意してください。
また、令和4年度以前の調査は「主たる要因を1つ選ぶ」方式で、「無気力・不安」が51.8%を占めるなどの結果が公表されていました。
令和5年度から現在の複数回答方式へ変更されたため、旧方式の数値との比較はできません。
他の記事で見かける「無気力・不安が約5割」などの数字と混同しないよう気をつけてください。
出典:文部科学省|令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要
出典:文部科学省|令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要
1. 学校生活に対してやる気が出ない
第1位は「学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった」で、小・中学校合計の30.1%を占めました。
高校でも26.9%で1位となっており、校種(小学校・中学校・高校の別)を問わず割合が高い項目です。
いわゆる無気力と呼ばれる状態で、行きたくない理由をうまく説明できないまま、朝になると動けなくなる形で表れる場合があります。
宿題や部活動への意欲が急に落ちる、好きだった行事を面倒がるなどの変化は、家庭で気づきやすいサインです。
やる気の低下の背景には疲労や心の不調が隠れているケースもあるため、叱責よりも休養と対話を優先しましょう。
2. 生活リズムの乱れ
第2位は「生活リズムの不調に関する相談があった」で、小中合計の25.0%でした。朝起きられない、夜眠れず昼夜逆転になるなどの状態が代表的な例です。
単なる夜ふかしに見えても、背景に起立性調節障害などの身体的な要因が隠れているケースが報告されています。
起立性調節障害は自律神経の働きの乱れで午前中に体調が悪くなりやすい病気で、思春期に起こりやすいとされています。
「怠け」と決めつけて叱ると、本人を追い込みかねません。朝の不調が長く続く場合は、小児科などの医療機関で相談しましょう。
3. 不安・抑うつ
第3位は「不安・抑うつの相談があった」で、小中合計の24.3%を占めました。漠然とした不安感や気分の落ち込みなど、心の不調に関する項目です。
文部科学省委託の三者比較調査(同じ項目を尋ねた調査)では、体調不良や不安・抑うつ、生活リズムの不調について、本人と保護者の約7〜8割が「当てはまる」と回答しました。
一方で教師の回答は2割弱にとどまり、心の不調は教師からは見えにくい領域であることがわかります。
食欲の低下や口数の減少、腹痛や頭痛の訴えなどは家庭で気づけるサインのため、小さな変化を見逃さない意識が大切です。
出典:文部科学省委託事業/子どもの発達科学研究所・浜松医科大学|不登校の要因分析に関する調査研究 報告書
4. 勉強の遅れや学業不振
第4位は「学業の不振や頻繁な宿題の未提出が見られた」で、小中合計の15.6%でした。授業についていけない状態が続くと、学校生活全体への自信を失いやすくなります。
宿題の未提出が頻繁に起こる状況も同じ項目に含まれており、提出物の乱れは学業面のつまずきを知らせるサインの一つです。
学校での学習は一度遅れると授業の内容が分からなくなり、さらに意欲が下がる悪循環に陥りやすい点も見逃せません。
学習の遅れは、学年の進度に追いつこうとするほど負担が大きくなります。分かるところまで戻って学べる教材や個別指導など、今の理解度に合わせられる方法であれば、取り組みを再開しやすくなります。
5. 友人関係のトラブル・いじめを除く
第5位は「いじめの被害を除く友人関係をめぐる問題」で、小中合計の13.2%でした。文部科学省の区分に合わせ、いじめの被害は別項目(第14位)として集計されています。
校種別では中学生が14.1%で最も高く、思春期特有の人間関係の難しさがうかがえます。仲間外れへの不安やグループ内での気疲れなど、明確なトラブルがなくても負担は蓄積します。
友人の話題を急に避けるようになったら、注意して見守りましょう。
6. 親子の関わり方の問題
第6位は「親子の関わり方に関する問題」で、小中合計の12.6%でした。校種別では小学校が16.9%と突出しており、中学校の9.9%、高校の6.7%を大きく上回ります。
小学生は生活の中心が家庭にあるため、親子関係の影響が学校生活に表れやすいと考えられます。ただし、割合の高さは保護者の育て方の失敗を意味するものではありません。
過干渉や放任などの関わり方が子どもに与える影響は、本人の気質や家庭の状況によって異なります。
問題を親子だけで抱え込まず、スクールカウンセラーなど第三者の視点を借りると、関係を見直すきっかけになるでしょう。
7. 家庭生活の変化
第7位は「家庭生活の変化に関する情報や相談」で、小中合計の8.0%でした。転居、保護者の離婚や再婚、家族の病気や死別などが代表的な例です。
大人にとっては前向きな変化でも、子どもには大きなストレスになる場合があります。
家庭の変化は子ども自身の力では解決できないため、不安を一人で抱え込みやすい点が特徴です。
変化の前後には意識して会話の時間を増やし、気持ちを言葉にできる場をつくりましょう。今後の生活の見通しを分かる範囲で伝えることは、子どもの不安を和らげることにつながります。
8. 発達特性など特別な教育的支援が必要な状況
第8位は「障害(疑い含む)に起因する特別な教育的支援の求めや相談」で、小中合計の7.5%でした。
発達障害などの診断がある場合だけでなく、疑いの段階での相談も含まれます。
校種別では小学校が9.6%で最も高く、集団生活が始まる時期に特性が表面化しやすい実態が読み取れます。
一斉授業のペースや教室内の刺激が合わず、登校への負担が積み重なるケースは珍しくありません。
教育的支援が必要な場合、特別支援教育コーディネーターや通級指導教室など、学校内の支援制度の活用が助けになります。
診断がついていない段階でも相談はできるため、気になる様子があれば早めに学校へ伝えておくと、教室での過ごし方を調整しやすくなります。
9. 障害以外の個別の配慮の求め
第9位は「個別の配慮(障害〈疑い含む〉以外)についての求めや相談」で、小中合計の6.4%でした。
診断名は付かないものの、学校生活で個別の対応を必要とする状態が該当します。
たとえば、音や光に敏感な感覚過敏など、日常の刺激が大きな負担になる状態が挙げられます。
三者比較調査でも、感覚過敏は不登校の背景要因の一つとして報告されました。
教室のざわめきや給食の匂いなど、周囲には些細に見える刺激が、本人には大きな負担になる場合があります。
座席の配慮やイヤーマフの使用など、具体的な調整を学校へ相談してみましょう。
10. 入学・転校・進級など環境の変化
第10位は「入学、転編入学、進級時の不適応による相談」で、小中合計の4.7%でした。
校種別では高校が7.0%と高く、進学に伴う人間関係や学習内容の変化が負担になりやすいことがわかります。
学年別の人数を見ても、令和6年度は小学6年生の38,080人に対し中学1年生は58,736人と約1.5倍に増えており、いわゆる「中1ギャップ」の存在がうかがえます。
新しい学校生活が始まった後は、疲れや不調が表れていないか、家庭でも様子を見守ることが大切です。
この時期のつまずきは、本人の努力不足ではなく環境の変化そのものが引き金になります。学級での過ごし方や部活動の負担など、気になる点を担任にも共有しておくと、学校側でも配慮しやすくなります。
11. 教職員との関係をめぐる問題
第11位は「教職員との関係をめぐる問題」で、小中合計の3.1%でした。ただし、三者比較調査では不登校の児童生徒本人の35.9%が「先生と合わなかった」と回答しています。
学校把握の数値との差は大きく、教師側からは見えにくい要因だと考えられます。
子どもが特定の先生の話題を避ける場合は、学年主任やスクールカウンセラーなど、担任以外の相談先を探してみてください。
12. あそび・非行
第12位は「あそび、非行に関する情報や相談」で、小中合計の3.0%でした。
校種別では小学校の1.8%に対し、中学校は3.8%、高校は4.6%と学年が上がるにつれて割合が高くなります。
あそび・非行のサインには、夜間の外出や交友関係の変化をきっかけに、学校から足が遠のくケースが該当します。
背景には、学校で居場所を感じられない寂しさや、家庭での孤立感が隠れている場合も少なくありません。
頭ごなしに行動を否定すると、子どもはますます心を閉ざしてしまいます。
行動の奥にある気持ちに目を向けながら、必要に応じて少年サポートセンターなどの専門機関にも相談しましょう。
13. 学校のきまり・校則への違和感
第13位は「学校のきまり等に関する相談」で、小中合計の2.0%でした。
頭髪や服装の細かな規定、理由の分からない慣習など、校則への違和感が登校への抵抗感につながるケースが該当します。
割合としては小さいものの、本人にとっては日々の学校生活を左右する切実な問題です。
「決まりだから守りなさい」と抑え込むだけでは、学校への不信感が強まりかねません。
子どもが違和感を口にしたときは、まず言い分を聞き、納得できる説明を一緒に探す姿勢が大切です。校則そのものに疑問がある場合は、学校側へ意見を伝える方法もあります。
14. 学校でのいじめ被害
第14位は「いじめの被害の情報や相談」で、小中合計の1.4%でした。学校が把握した事実としては最下位ですが、数値を額面どおりに受け取るのは危険です。
三者比較調査では、不登校の児童生徒本人の26.2%がいじめの被害を訴えており、不登校でない児童生徒の15.0%を大きく上回りました。
一方、教師の回答では不登校との統計的な関連が見られず、いじめは教師から把握しにくい実態が示されています。
順位の低さは、学校でいじめが少ない証拠にはならない点を押さえておきましょう。子どもが学校を嫌がる場合は、いじめの可能性も念頭に置いて話を聞く必要があります。
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小学生・中学生・高校生別に多い不登校の原因
不登校の原因は、子どもの発達段階によって傾向が異なります。令和6年度調査の校種別データをもとに、以下の3つの区分で特徴を解説します。
- 小学生に多い不登校の原因
- 中学生に多い不登校の原因
- 高校生に多い不登校の原因
なお、1学年ごとの原因別データは公表されていないため、校種別の傾向として参考にしてください。
出典:文部科学省|令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要
小学生に多い不登校の原因
小学生で目立つのは「親子の関わり方に関する問題」の16.9%で、中学校の9.9%や高校の6.7%を大きく上回りました。
生活の基盤が家庭にある年代のため、親子関係の変化が登校意欲に直結しやすいと考えられます。
また、「障害(疑い含む)に起因する特別な教育的支援の求めや相談」も9.6%と3校種で最も高い数値でした。
小学校に入学する時期は、集団生活が本格的に始まり、発達特性による困りごとが表面化しやすい時期だとわかります。
低学年のうちは自分の気持ちを言葉にする力も未熟なため、保護者は行動や体調の変化から不調を読み取る視点が欠かせません。
中学生に多い不登校の原因
中学生で特徴的なのは「いじめの被害を除く友人関係をめぐる問題」の14.1%で、3校種の中で最も高い数値でした。
部活動や固定化したグループなど、複雑になっていく人間関係が影響していると考えられます。
また、令和6年度の不登校児童生徒数は、小学6年生の38,080人から中学1年生の58,736人へと約1.5倍に増加しました。
中学入学の前後は、学級編成や部活動によって人間関係が一度に組み替わります。家庭では友人関係を問いただすよりも、口数や表情、食事や睡眠の様子といった日常の変化に目を向けておくと、つまずきの兆しに早く気づけます。
高校生に多い不登校の原因
高校生は「生活リズムの不調に関する相談があった」が26.2%で、不安・抑うつの16.0%を上回る高さでした。
通学時間の長さやスマートフォンの利用時間の増加など、生活面の変化が影響しやすい年代です。
「入学、転編入学、進級時の不適応による相談」も7.0%と小中学校より高く、進学に伴う変化の負担が数値に表れています。
さらに、14項目のいずれにも「該当なし」とされた生徒が11.9%と、小中合計の5.3%を大きく超えました。
高校生の不登校は原因が見えにくいケースが多いため、保護者は原因を決めつけずに子どもの言葉を待つ姿勢が求められます。
不登校の原因ランキングを見るときに知っておきたいこと
不登校の原因ランキングは参考になる一方、数値だけを見て判断すると実態を見誤る恐れがあります。以下の2つの視点を押さえておきましょう。
- 学校・本人・保護者では見えている原因が違う
- 原因は1つに特定できないことが多い
立場による見え方の違いを知っておくと、わが子への向き合い方も変わってきます。
出典:文部科学省|令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要
学校・本人・保護者では見えている原因が違う
文部科学省委託の三者比較調査では、同じ項目でも回答者によって結果が大きく異なりました。
いじめの被害は、令和6年度調査の学校把握では1.4%ですが、三者比較調査の本人回答では26.2%に上ります。
教師の回答では不登校との統計的な関連が確認されず、いじめは教師から見えにくい要因だと示されました。
体調不良や心の不調、生活リズムの乱れも、本人・保護者の約7〜8割が該当と答えた一方、教師の把握は2割弱にとどまります。
「先生と合わなかった」との本人回答も35.9%に達しました。
体調の変化や人間関係の悩みは学校では表に出にくく、教師の目に届きにくいのが実情です。反対に、教室での様子は、保護者の側からは直接確認できません。
だからこそ、学校からの報告だけで原因を判断せず、家庭で気づいた変化を学校側へ伝えて情報を照らし合わせる意識が重要です。
なお、三者比較調査は4自治体を対象とした調査のため、割合は全国の代表値ではない点に留意してください。
出典:文部科学省|令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要
出典:文部科学省|不登校の要因分析に関する調査研究 報告書
原因は1つに特定できないことが多い
不登校の原因は、複数の要因が絡み合って生じるケースが大半です。
三者比較調査の報告書では、直接のきっかけになる要因と、根底にある背景要因を分けて捉える枠組みが示されました。
また、報告書の第5章では、主たる要因が「無気力・不安」と報告された児童生徒は、いじめや友人トラブル、家庭環境の変化などのはっきりしたきっかけの報告が少ない傾向が指摘されています。
つまり「無気力」は、きっかけが把握されていないケースの受け皿になっている可能性があります。
原因の特定にこだわるほど、かえって本人を追い詰める場合もあります。次章で紹介するとおり、原因探しよりも子どもへの関わり方に目を向けましょう。
不登校の子どもに対する保護者の関わり方
不登校の子どもと向き合う際は、保護者が安心できる関わり方を意識することが大切です。以下の5つのポイントを意識してみてください。
- 子どもの気持ちを否定せず話を聞く
- 原因を無理に聞き出さない
- 学校復帰だけを目標にしない
- 学校以外の居場所や学びの場を探す
- 一人で抱え込まず学校や専門機関へ相談する
まずは家庭でできることから始め、必要に応じて学校や専門機関の力も借りましょう。
子どもの気持ちを否定せず話を聞く
保護者は子どもが気持ちを話し始めたら、まずは最後まで聞く姿勢を意識しましょう。
「甘えている」「みんな頑張っている」などの言葉は、励ますつもりでも本人には否定として受け取られる場合があります。
話を遮らずに「つらかったね」と気持ちを受け止めるだけで、子どもは大きな安心感を得られます。
家庭が安心して過ごせる場になることは、子どもが心身を休めるための支えになります。
原因を無理に聞き出さない
前章で解説したとおり、不登校の原因は複数の要因が絡み合い、一つに特定できないケースが大半です。
本人自身も理由を言語化できない場合が多く、問い詰めるほど心を閉ざしてしまいます。
「どうして行けないの」と繰り返し尋ねるより、原因は分からなくてよいと構えた方が、結果的に子どもは話しやすくなります。
理由を話し始めるタイミングは、本人に委ねましょう。
学校復帰だけを目標にしない
文部科学省は、不登校支援では登校の再開のみを目標にせず、社会的な自立を目指す方針を示しています。
復帰を急がせると、子どもは「戻れない自分はダメだ」と自己否定を深めかねません。学び方や進路の選択肢は複数あるため、登校の再開は数ある道の一つと捉えましょう。
目標を広く持てば、親子ともに気持ちの余裕が生まれます。
出典:文部科学省|不登校児童生徒への支援の在り方について
学校以外の居場所や学びの場を探す
教育支援センター(教育委員会などが設置する相談・学習支援の場)やフリースクール、自治体の居場所づくり事業など、学校以外にも子どもが通える場はいくつもあります。
令和6年度調査では、学校内外の機関等で専門的な相談・指導等を受けた児童生徒は61.7%に上りました。
家庭以外に安心できる居場所があると、生活リズムの維持や人との関わりの回復につながります。本人の興味や体力に合わせて、無理のない範囲で情報を集めてみましょう。
出典:文部科学省|令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要
一人で抱え込まず学校や専門機関へ相談する
保護者だけで対応を続けると、心身の負担が積み重なり、家庭全体が疲弊してしまいます。
担任やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーのほか、教育支援センターや児童相談所など、相談先は複数存在します。
専門家の視点が入ると、家庭では気づけなかった選択肢が見えてくる場合も少なくありません。保護者自身の心のケアも、子どもの回復を支える土台になります。
「社会で生きていける力」を。
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不登校の先にある学びの選択肢
不登校が長引いても、その先の学びの道は複数あります。中学卒業後の進路と、学校以外で社会とつながる方法として、以下のような選択肢があります。
- 通信制高校という選択肢
- サポート校という選択肢
- 学校以外で社会とつながるという選択肢
それぞれの特徴を知っておくと、これからを考えるときの安心材料になります。
通信制高校という選択肢
通信制高校は、高等学校の教育課程の一つです。必要な単位などの卒業要件を満たせば、全日制・定時制と同じ「高等学校卒業」の学歴を得られます。
学習は、レポート提出による添削指導と、スクーリングと呼ばれる面接指導、試験を組み合わせて進めるのが特徴です。
また、毎日の通学を前提としないため、自分の体調や生活リズムに合わせて学習計画を立てられます。
不登校を経験した生徒の進学先としても選ばれており、登校日数を抑えられる点は大きな魅力でしょう。
学校ごとに登校頻度やコースの内容は異なるため、資料請求や見学で比較しながら入学先を検討しましょう。
サポート校という選択肢
サポート校は、通信制高校に在籍する生徒の学習や生活を支える民間の教育機関です。
サポート校単体では高等学校卒業の資格を取得できないため、通信制高校と併用する形で利用します。
サポート校はレポート作成の支援や学習指導に加え、メンタル面のフォローや進路相談まで受けられる点が特徴です。
また、通学頻度を柔軟に選べるサポート校も多く、不登校からの再スタートの場としても活用されています。
通信制高校のみでは自学自習の継続が難しい生徒にとって、伴走者がいる安心感は大きな支えになります。費用や支援内容は運営元ごとに異なるため、事前に確認しましょう。
学校以外で社会とつながるという選択肢
不登校の期間中も、本人が負担を感じない範囲で家庭外の人と関わる機会を持つことは、社会とのつながりを保つ助けになります。
人とのつながりを持てる場所は、学校だけではありません。フリースクールや地域の活動、オンラインのコミュニティなど、形はさまざまです。
「普通」の枠に当てはまらない経験は、見方を変えれば本人にしかない強みになります。
たとえばサポート校の本学院である、HR高等学院は、「普通」に当てはまらない自分を武器にできる学び舎として、社会とつながりながら学ぶ場を提供しています。
学校復帰の有無にかかわらず、誰かとつながっている感覚は子どもの自己肯定感を支えます。焦らず、本人が心地よいと感じる関わりから始めましょう。
不登校の原因に関するよくある質問
不登校の原因について、保護者からよく寄せられる質問と回答をまとめました。気になる項目から確認してみてください。
- 不登校になりやすい家庭のタイプはありますか?
- 不登校になりやすい性格はありますか?
- 不登校の原因で最も多いものは何ですか?
- 子どもが理由を話してくれないときはどうすればいいですか?
不登校になりやすい家庭のタイプはありますか?
「不登校になりやすい家庭」を断定できる公的なデータはありません。
令和6年度調査の14項目のうち、家庭に関わる項目は「親子の関わり方に関する問題」の12.6%と「家庭生活の変化に関する情報や相談」の8.0%など一部にとどまります。
世間では家庭の育て方が原因と見られがちですが、実際には学校生活や心身の状態など多様な要因が関わります。
家庭だけに原因を求める見方は、実態とかけ離れているため注意が必要です。
不登校になりやすい性格はありますか?
同じような気質でも、不登校になる子どもとならない子どもがいるため、性格だけで決まるものではありません。
ただし、音や光などの刺激に敏感な感覚過敏が背景要因になり得るとの指摘は、三者比較調査でも見られます。
学校での人間関係や学習面との組み合わせで、負担の大きさは変わります。「うちの子の性格に問題があるから」と捉える必要はなく、本人に合う学びの場を探す視点が大切です。
不登校の原因で最も多いものは何ですか?
令和6年度調査によると、不登校の原因で最も多かったのは、「学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった」の30.1%です。(小中合計)
校種による差は小さく、高校でも26.9%で1位に位置する項目です。ただし、無気力の背景には把握されていないきっかけが隠れている可能性も指摘されています。
数値は目安として捉え、本人の様子を丁寧に観察しましょう。
出典:文部科学省|令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要
子どもが理由を話してくれないときはどうすればいいですか?
子どもが理由を話してくれない場合、無理に聞き出す必要はありません。三者比較調査の知見からも、本人自身も、きっかけや理由を明確に言葉にできない場合があります。
理由が分からない間は、食事や趣味など答えを求めない雑談を重ね、話したくなったときに話せる関係を保ちましょう。
休養で心の余裕が戻ると、少しずつ語り始める子どもも少なくありません。
原因の理解から次の一歩へ
学校での偏差値よりも、社会での可能性を - HR高等学院
文部科学省の令和6年度調査では、不登校の原因に関して学校が把握した事実の1位は「学校生活に対してやる気が出ない等の相談」で、小中合計の30.1%でした。
ただし、立場によって見えている原因は異なり、実際には複数の要因が絡み合うケースが大半です。
原因の特定だけにこだわらず、「今、子どもにどのような支援が必要か」に目を向けることが大切です。
通信制高校やサポート校など、不登校の先にある学びの選択肢は一つではありません。原因がはっきりしないままでも、登校の頻度や学び方を本人の状態に合わせて選び直すことはできます。
本記事で紹介した通信制高校サポート校の本学院、HR高等学院も、その選択肢の一つです。完全オンラインから週5日の通学まで学び方を選べるうえ、その日の体調に合わせて参加の仕方を切り替えられます。
まずは説明会や個別相談会で、学院や授業の詳細、通信制高校全体の仕組み、子どもの将来に関する不安などをご相談ください。
一人ひとりに寄り添い、最適な学びの形をご提案します。


