朝、学校に行く時間になると体調不良を訴える。「行きたくない」と言うけれど、家では元気に過ごしている。
そんな我が子の姿を見て、「単なる甘えでは」「厳しくしてでも登校させるべきではないか」と、焦りや不安を抱えることもあるのではないでしょうか。
しかし、通信制高校サポート校であるHR高等学院で、多くの学生や保護者の方々と向き合ってきた私がお伝えしたいのは、不登校は決して「甘え」ではないということです。
一見するといつも通りに見えても、子どもの心の中では目に見えないSOSのサインが発せられていることがあります。
この記事では、周囲から「甘え」と誤解されがちな不登校の本当の要因や背景にある心理、保護者はどう対応すべきかについて、現場のリアルな視点を交えて解説します。
今まさに悩んでいるあなたの心が、少しでも軽くなるきっかけになれば幸いです。
不登校は甘えなの?
結論からお伝えすると、不登校は決して「甘え」でも「サボり」でもありません。
HR高等学院で多くの子どもたちや保護者の方と向き合っている職員の多くも、「甘えに見える行動の裏には、子ども自身ではどうにもできない限界や、言葉にできない苦しみがある」と口をそろえます。
自分に合わない環境や、心が傷つく場所から一度身を引くという選択は、決して甘えや逃げではありません。
周囲の目や「行かなければならない」というプレッシャーに葛藤しながらも、学校に行かないという決断を自分自身で下せたことは立派であり、自分の気持ちにしっかり向き合った結果だと私は考えています。
「甘えか、そうでないか」という視点で子どもを責めてしまうと、子どもはさらに孤立し、心を閉ざしてしまいます。まずは「学校に行けないほどのエネルギー切れを起こしているんだ」と、現状をそのまま受け止めることが解決への一歩となります。
甘えに見える不登校の本当の要因
子どもが学校に行けない背景には、周囲からは見えにくい、いくつかの「本当の要因」が複雑に絡み合っています。
「わがまま」や「甘え」と誤解されやすい4つの本当の要因を解説します。
本人が学校へ行きたくない理由を言葉にできない
保護者からすれば、子どもが学校に行きたくない理由を話してくれないと、「ただ休みたいだけでは」と感じることもあるかもしれません。
しかし、多くの子どもたちと関わってきた私は、不登校の子どもには、繊細で真面目に物事を考える子が多いと感じます。行きたいのに行けない状況に悩み、葛藤し、自分を責めていても、その気持ちを「言わない」のではなく、「うまく言葉にできない」のだと実感しています。
大人のように自分の気持ちを整理し、言葉で伝えることは、子どもにとって簡単なことではありません。だからこそ、理由を無理に聞き出そうとするのではなく、言葉にできない思いや苦しさに寄り添い、じっくり耳を傾ける姿勢が大切です。
助けを求めている
子どもが部屋に閉じこもったり、体調不良を訴えたりしている時、それは決してわがままや甘えではなく、「これ以上は無理だよ」という心からのSOSであり、必死に助けを求めているサインです。
特に普段は元気そうに見える子ほど、周囲に心配をかけまいと無理を重ね、限界まで頑張ってしまうことがあります。「学校に行かない」という選択をしたとき、子どもたちの心はすでにエネルギーが完全に枯渇している状態です。まずはそのSOSを受け止め、「今までよく一人で抱え込んで頑張ってきたね」「辛かったよね」と、そっと寄り添うことが必要です。
出典:厚生労働省:子どもに接する方へ こころのSOSサインに気づく
学校の環境が合っていない
学校という場所は、子どもにとって強いストレスがかかる空間でもあります。
HR高等学院で不登校を経験した学生に多かった理由のひとつが、対人関係によるストレスです。また、一斉授業で長時間座り続けることが難しかったり、人前で食事をすることに苦手意識をもっていたりするケースもあります。
このように、大人数での集団行動や、常に比較や評価をされる学校のシステムそのものが合わない子どもがいることは自然なことです。それは決してその子の欠点ではなく、たまたま「その環境との相性が悪かった」というだけのことです。
自分に合わない場所に無理に居続けることは、大人であっても過酷なものです。私は、学校という枠組みに縛られず、「その子がその子らしく輝ける環境」が外の世界には必ずあるということを、まずは大人が知っておくことが大切だと考えています。
起立性調節障害
起立性調節障害(OD)とは、思春期に多く見られる自律神経の不調による病気です。立ち上がる際に、頭痛、めまい、倦怠感などの症状が出るため、朝起きることが困難になります。
起立性調節障害は、中学生の約10%にみられ、不登校の約3〜4割に併存するといわれています。これは、決して甘えではなく身体の疾患であるため、早期に適切な治療や環境調整を行うことが大切です。
体調不良や適応障害
文部科学省委託事業の調査では、不登校の児童生徒の約7割に体調やメンタルヘルス、生活リズムの不調が見られました。とくに「からだの不調」「気持ちの落ち込み・いらいら」「夜眠れない・朝起きられない」が多く挙げられています。
一方で、教師回答ではこれらが2割未満にとどまっており、学校の大人が不調を見落としている可能性も示されています。 こうした状態は、適応障害のように環境へのストレスが背景にあることもあり、本人の努力や気持ちだけで改善するのは難しいことがあります。
子供の様子の変化に早めに気づき、休養を取らせたり、専門家の支援につなげることが大切です。出典:文部科学省委託事業「不登校の要因分析に関する調査研究 結果の概要」
出典:りんかい月島クリニック「学生のための適応障害の治し方|症状と原因から対処法まで徹底解説」
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不登校が甘えと言われる理由
不登校が「甘え」と誤解されやすい背景には、周囲の環境や社会的な固定観念といった外的要因が大きく影響しています。本人が深く苦しんでいても、その理由が外見からは見えにくいため、周囲の目には「怠けているだけ」と映ってしまうのです。
ここでは、世間が不登校を甘えと捉えてしまう主な理由を解説します。
混合型(旧「甘え依存型タイプ」)の定義による見方
かつて不登校は、「甘え」や「依存」といった見方で説明されることがありましたが、研究や支援の現場では、学校・家庭・本人の特性が複雑に重なって起こるものだと考えられるようになりました。
現在は、民間の支援機関などで当時の考え方を踏まえつつ、本人の未成熟さと環境ストレスが混ざり合う状態を「混合型(旧・甘え依存型)」として解説する例があります。
このタイプは、些細なことでも傷つき登校を渋ってしまうのが特徴です。自立心の未熟さや回避傾向があり、生活リズムが乱れがちな一方、ストレスから心身の不調や無気力さが現れます。そのため、周囲からは一見すると「甘え」のように見えやすい状態と言えます。
「学校=毎日いく場所」という固定観念
私たちは幼い頃から「学校には毎日登校するものだ」という当たり前の常識の中で生きています。この固定観念が強すぎるあまり、そこから外れて休んでいる子どもを見ると、理由なく「義務を果たしていない」「サボっている」と直感的に捉えられてしまいがちです。
特に、今の保護者世代が子どもの頃は、多少の無理をしてでも登校するのが普通だったかもしれません。そのため、自分の経験を正解と考えてしまい、「なぜ現代の子は行けないのか」が理解できず、それが「甘え」や「逃げ」という言葉になって現れてしまうのです。
しかし、時代も子どもを取り巻く環境も大きく変わっています。学校に行くことだけが唯一の正解ではないと、まずは私たち大人がその固定観念を少しずつ手放していくことが必要だと私は強く感じています。
羨ましい・ずるいと思われている
毎日無理をしてでも登校している周囲の子どもからすると、平日の昼間に家でゲームをして過ごしている不登校の子の姿が、一見すると「嫌なことから逃げて楽をしている」ように映ることがあります。
この「自分は我慢しているのに、あの子だけずるい、羨ましい」という嫉妬や不公平感が、反発心となって「甘えている」という言葉に形を変えてしまう場合があります。
昔からの「我慢」を美徳する考え方
日本には古くから、「嫌なことでも我慢して続けることが美徳であり、成長に繋がる」という精神論が根深くあります。
辛い環境に耐えることこそが正しい道であり、そこからドロップアウトすることは弱さや逃げと捉えられてしまうことがあります。
こうした考え方を背景に、限界を迎えて休むことを選んだ子どもに対し、「忍耐力が足りない」「ただ甘えているだけだ」と根性論で片付けてしまう要因になっています。
「不登校の甘え」と向き合う保護者の方へ
「不登校は決して甘えではない」とはいえ、いざわが子が学校に行けなくなると、やはり戸惑うものです。元気に家でゲームやスマホに夢中になっている姿を見れば、イライラしてしまうこともあるでしょう。
ここでは、学生や保護者の方と接する中で感じた、不登校の子どもとの向き合い方をお伝えします。
「不登校=甘え」と決めつけない
まず何よりも大切なのは「不登校=甘え」という表現や思考を手放すことです。不登校の子どもの多くは、「行けない自分はダメだ」と感じ、自分自身を責めながら苦しんでいます。
周囲から簡単に「甘え」と決めつけられ、理解されないことで、その思いがさらに強くなってしまうことも少なくありません。
私たちが学生と接する中でも、「行けないほど辛い何かがあったんだよね」と受け止めた瞬間に、初めて本音を打ち明けてくれるケースをよく目にします。
まずは保護者自身が、「不登校は甘えではない」と考え、一般論ではなく、自分の子どもが何から逃げたいのか、行きたくない原因は何なのかを理解しようとする姿勢が第一歩だと感じています。
好きなことや興味のあることを尊重する
学校に行けない期間、子どもがゲームや動画制作などに没頭していると、「こんなことばかりしていて大丈夫だろうか」「何の役に立つのだろうか」と不安になるかもしれません。しかし、これらは子どもにとっての好きなことであり、気持ちを落ち着かせる大切な時間でもあります。
否定するのではなく、むしろその「好き」の気持ちを大人も一緒に尊重し、興味を持って関わることが大切です。
実際、HR高等学院でも、自信を完全に失っていた学生が、自分の好きなアニメやラジオの話題をきっかけに少しずつ笑顔を取り戻し、体験会の運営やラジオ放送といった役割を通じて見違えるほど前向きに変化していった事例があります。
大人に自分の「強み」や「好き」を認めてもらう経験は、自己肯定感の回復につながり、新たな挑戦へ向かう原動力になると考えています。
子どもと話す時間を増やす
正面から学校のことを切り出すと、子どもは身構えてしまいがちです。一緒に食事をしたり散歩をしたりと、何気ない時間の中でこそ自然と気持ちが出てくるものです。
無理に聞き出そうとせず、「話したくなったら聞くよ」という姿勢を保つことが大切だと思っています。私たちも面談の場では、まずは雑談から入り、安心できる空気をつくることを心がけています。日常の小さな対話の積み重ねこそが、子どもが本当に困った時に「助けて」と言える確かな信頼関係を育てていきます。
親自身も不登校について理解を深める
不登校は今や特別なことではなく、多くの家庭が直面し得る課題です。親が正しい知識を持つことで、不必要に焦ったり自分を責めたりすることが減り、子どもにも落ち着いて接することができるようになります。
理解を深める具体的な方法としては、次のようなものがあります。
- 不登校をテーマにした書籍や、経験者・支援者の体験談を読む
- 文部科学省や自治体が公開している不登校に関する調査・支援情報に目を通す
- 同じ悩みを持つ保護者が集まる「親の会」やオンラインコミュニティに参加する
- スクールカウンセラーや専門家のSNS・動画など、信頼できる発信から学ぶ
私たちの学院でも保護者向けの説明会や個別相談を行っていますが、「相談することで気持ちが楽になった」「同じ境遇の人がいると分かって安心した」という声を多くいただきます。
不登校について親が学ぶことは、子どもの心の状態や背景を理解し、より良い関わり方を見つけることにつながります。
不登校の支援先や専門機関に相談する
ひとりで抱え込まず、第三者を頼ることもとても大切です。相談できる場所は、思っている以上に多くあります。
- 文部科学省の不登校に関する地元の相談窓口
- スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー
- 教育支援センター(適応指導教室)
- 児童相談所・子ども家庭支援センター
- フリースクール
- 通信制高校・サポート校
- 医療機関(小児科・児童精神科など)
- 不登校の親の会・支援NPO
このような機関に相談する一番のメリットは、家庭だけでは見えなかった選択肢や視点を得られることです。第三者である専門家は、これまで多くのケースに関わってきた経験から、子どもの状態に合った具体的なアドバイスをくれます。
「どうすればいいのか分からない」という漠然とした不安が、相談を通じて整理され、次の一歩が見えてくることも少なくありません。
また、保護者自身が気持ちを吐き出し、「ひとりで抱えなくていい」と思えることも大きな支えになるでしょう。
不登校は甘えと言われてしまった中学生・高校生へ
もし周りから「甘え」と言われても、気にする必要はありません。不登校は決して甘えではないので、自分を否定せず堂々としていてください。
あなたは自分としっかりと向き合っていたからこそ、たくさん悩み、苦しんできたはずです。自分に合わない環境や心が傷つく場所から離れることを選んだことは、とても勇気のいる決断です。葛藤しながらもそこまで頑張ってきた自分自身を、まず認めてあげてください。
学校はあくまで学ぶ場所のひとつであり、その環境が全ての人にとって快適な場所とは限らないのです。
大切なのは、自分に合った場所で少しずつ前に進むことです。通信制高校やフリースクール、家庭学習、アルバイト先など、社会には学校以外にも成長できる場所がたくさんあります。
そうした場所と同じくらい大切なのが、安心して人と関われる環境です。「何か価値を出さないと認めてもらえない場所」ではなく、「ありのままの自分を受け入れてもらえる場所」を見つけることが大きな支えになります。
自分にとって一番よいペースで歩めるよう、待ちながら寄り添い、支えてくれる大人や仲間は必ずいます。焦らずに、まずは心をゆっくり休ませることから始めてみてください。
通信制高校サポート校「HR高等学院」をご紹介
学校に行けない、または行きたくない気持ちが続くと、将来や学習の遅れに不安を感じることもあるでしょう。。そんなときは、今いる環境から少し離れ、自分に合った新しい学び方を考えることも大切です。
通信制高校サポート校「HR高等学院」は、自分の状況に合わせて無理なく学び直せる選択肢のひとつです。
不登校経験のある学生が「通いたくなる」場所
HR高等学院は、「学生が来たくなる場所」であることを大切にしている学び舎です。
実際に在籍する学生の約8割が不登校経験者ですが、開校から半年で通学率89%という高い水準を実現しており、その約半数が週5日コースを選択しています。
私自身、この数字は「安心して通える、楽しい環境」が整っている証だと感じています。
学びを「受ける」だけで終わらない挑戦できる環境
HR高等学院の授業の中心は、起業家や各分野の専門家による対話型ライブ授業です。録画視聴ではなく、その場で質問や意見交換ができるため、学ぶ楽しさを実感しやすい環境があります。
また、自分のやりたいことをプレゼンして承認されれば、年間最大100万円の予算を使って挑戦でき「HRチャレンジ」という制度があります。この取り組みは、学校を単に授業を受ける場所ではなく、自分のやりたいことを見つけ、目標に向かって挑戦できる場だと実感するきっかけになっています。
学生の意欲を引き出すサポート体制
HR高等学院では、学生一人ひとりと向き合う時間を多く取れるよう、業務体制が整えられています。 1人のコーチが担当する学生数は約35名ですが、複数のコーチが連携し、学生の強みや小さな変化を日々共有し合っています。
また、「この前の発表よかったよ」「そこに興味あるんじゃない?」といった何気ない声かけも大切にしています。そうした対話の中で本人も気づいていない良さや隠れた魅力を見つけ、言葉にして伝えることが、自信を取り戻し、次の一歩につながっていると感じています。
最後に
不登校は甘えではなく、学校という環境が合わなかったり、心や体が自分を守ろうとして起こる反応だと捉えるべきです。なぜ学校に行きたくないのか、子ども自身もうまく言葉にできず戸惑っていることは少なくありません。
だからこそ、私たちはその内面にある苦しさに寄り添い、安心して過ごせる環境を一緒に見つけていくことが何より大切だと考えています。
自分に合う場所と出会えたとき、表情が見違えるように明るくなったり、自信を取り戻したりと、大きく変わっていく子どもたちを私たちは多く見てきました。
通信制高校をはじめ、あなたに合った学びの場はきっと見つかります。焦らず、自分のペースで少しずつ進みましょう。
HR高等学院では、一人ひとりの状況に合わせた学び方を一緒に考えています。「まずは話だけでも聞いてみたい」という方は、気軽に説明会や個別相談会に参加してみてください。


