「高校の教室に行くのがつらい」 「保健室登校になったら、単位や卒業はどうなるの?」
このような不安を抱えている高校生や保護者の方も少なくありません。
日本学校保健会の令和4年度調査では、全国の高等学校の34.5%で保健室登校をしている生徒が確認されており、決して珍しい状況ではありません。ただし、高校は義務教育ではないため、単位認定や出席の扱いは学校ごとの規定に大きく左右されます。
本記事では、高校の保健室登校における単位や出席の扱い、教室復帰のステップ、そして通信制高校への転入といった選択肢を、一次資料と現場の実務を踏まえて整理します。
保健室登校について正しく理解し、自分らしい高校生活を築く一歩にしてください。
保健室登校とは?
公益財団法人日本学校保健会「保健室利用状況に関する調査報告書 令和4年度調査結果」(令和6年3月発行)では、保健室登校とは「常時保健室にいるか、特定の授業は出席できても、学校にいる間は主として保健室にいる状態」と定義されています。養護教諭が主に対応している場合は、保健室以外の場所であっても保健室登校として扱います(出典)。
教室で過ごすことが難しい生徒にとって、学校とのつながりを保つための大切な選択肢のひとつです。
ここでは、保健室登校の広がり方や、利用を考える際に知っておきたい3つのポイントを解説します。
保健室登校の割合
保健室登校は特別な状況ではなく、全国の多くの高校で見られる支援のかたちです。
日本学校保健会の令和4年度調査(令和3年10月〜令和4年9月末)では、過去1年間に保健室登校をしていた生徒が「いた」学校の割合が、次のように示されています(かっこ内は平成28年度調査の数値)。
出典:公益財団法人日本学校保健会「保健室利用状況に関する調査報告書 令和4年度調査結果」(令和6年3月発行)
同じ調査によると、1校あたりの年間平均人数は、小学校2.6人、中学校3.8人、高等学校3.4人であり、いずれも前回調査より増加しています。「約3校に1校で保健室登校をしている生徒がいる」一方、1校あたりの人数は多くはないという構造は前回と共通しています。
数字だけを見れば少なく感じるかもしれませんが、視点を変えれば、全国で毎年一定数の高校生が保健室登校というかたちで学校生活を続けているということでもあります。教室以外の場所で学校とつながることは、あなただけの選択ではありません。
保健室登校になるには?
保健室登校を始める際に、診断書などの特別な書類が求められるわけではありません。
教室で過ごすことに困難を感じている場合、その気持ちや状況を学校に伝えることが第一歩です。
まずは、担任の先生や養護教諭に相談してみましょう。以下のような内容を伝えると、学校側も対応を考えやすくなります。
- 本人の状況や悩み
- 保健室登校を希望する理由
- 学習や高校生活で大切にしたいこと
学校によっては、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど、専門の職員が相談に乗ってくれる場合もあります。
学校との話し合いを通じて、無理のない形で進めていきます。まずは勇気を出して相談することが大切です。
保健室登校の一日の過ごし方
保健室登校中の一日の過ごし方は、生徒一人ひとりの心身の状態や目標によって変わります。本人のペースやその日の体調に合わせて、養護教諭と相談しながら決めていくのが一般的です。
具体的な1日の流れは、以下のようなイメージです。
- 登校
- 学習として、保健室で自分のペースで進める
- 給食や昼食を、クラスメイトとともに教室で食べる
- 下校として、状況に応じた時間帯で帰宅
生徒の状況によって、登校時間や滞在時間、学習内容は変わってきます。
学習活動は、持参した教材で勉強を進めたり、学校から提供されたプリントに取り組んだりすることが多いです。
養護教諭に話を聞いてもらうことで、安心できる時間を過ごせるでしょう。
保健室での一日は、生徒の心身の状態を第一に考え、個々の状況に合わせて組み立てられます。
保健室登校のメリット
保健室登校には、生徒の状態に応じて柔軟に対応してもらえるという、さまざまな利点があります。
主なメリットは以下のとおりです。
- 心や体の状態に応じたサポートが受けられる
- 高校に通うリズムを保ちやすい
- 教室に入るプレッシャーが軽減され、気持ちが安定しやすくなる
保健室には養護教諭が常駐しており、体調不良や心の悩みに対して専門的なケアが可能です。
ストレスによる頭痛や腹痛が起きた際にも、すぐに適切な対処をしてもらえるため、安心して過ごせる環境が整っています。
また、教室に行けなくても決まった時間に登校することで、規則正しい生活習慣を維持できます。教室での授業に参加するプレッシャーがない分、自分のペースで過ごせるのも大きな特徴です。
養護教諭や他の生徒との自然な会話を通じて、社会とのつながりを感じられ、孤立感の解消にもつながります。
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保健室登校のデメリット
保健室登校にはメリットがある一方で、以下のような負担も生じます。
- 周囲の視線が気になる
- 教室に戻れないことをつらく感じる場面がある
保健室は体調不良の生徒や教職員が出入りする場所であり、完全にプライベートな空間ではありません。
クラスメイトが来室した際には、保健室登校をしていることを知られてしまい、気まずさや恥ずかしさを感じることがあります。
また「みんなは教室で授業を受けているのに自分だけ」という状況に、劣等感や罪悪感を抱いてしまうケースも少なくありません。
こうした心の負担は、少しずつ学校に慣れていく妨げになることもあるため、周囲の見守りと具体的なサポートが大切です。「保健室登校を続けている自分を責める必要はない」ということを、本人と周囲で共有できると、次のステップに進みやすくなります。
保健室登校した場合の成績は?
保健室登校を始める際に、多くの人が気になるのが学業面への影響です。成績や進級・卒業、さらには就職活動にどのような影響があるのか、不安に感じる方もいるでしょう。
ここでは、3つの疑問点を整理します。
- 保健室登校の単位や内申点は?
- 卒業できる?
- 就職活動への影響は?
順に確認していきましょう。
保健室登校の単位や内申点は?
保健室登校が単位や内申点に与える影響は、学校の方針や本人の取り組み方によって変わってきます。
小中学校は義務教育のため、保健室登校も出席として扱われることが多く、内申点への直接的なマイナスは少ない傾向です。
一方、高校は義務教育ではなく、授業への出席時間数が単位認定の基本となります。そのため、保健室にいるだけでは自動的に授業出席とみなされない場合があり、単位の修得に影響することがあります。
学校によっては、以下のような対応で単位認定につなげているケースもあります。
- 教科担当が保健室に来て個別指導を行う
- 定期テストや課題の提出で成績を評価する
- 保健室での自習や課題を、授業出席の代替として認める
対応は各校の規定によって大きく異なるため、単位や内申点については、早めに担任や養護教諭と相談し、どのような扱いになるのかを確認しましょう。
卒業できる?
保健室登校という選択でも、高校を卒業することは可能です。
高校で卒業するためには、学校が定める単位を修得し、必要な出席日数を満たす必要があります。保健室での学習や活動が単位として認められ、出席日数もクリアできれば、全日制高校でも卒業を目指せます。
一方で、全日制高校での単位修得や通学が難しい状況であれば、通信制高校への転校という選択肢もあります。全日制高校で修得した単位を活かしながら、通信制高校で残りの単位を修得し、高校卒業資格を得ることが可能です。
本人の学ぶ意志と学校との連携によって、卒業への道は複数用意されています。
就職活動への影響は?
「保健室登校をしていた」という事実そのものが、就職活動で不利になるわけではありません。
多くの企業が採用選考で重視するのは、高校卒業資格(高卒資格)の有無と、応募時点で本人がどのような学びや経験を積んできたかです。求人票の応募条件も、多くは「高等学校卒業」または「高等学校卒業程度」とされており、通学スタイルによる区別はほとんどありません。
そのうえで、就職活動を考えるうえで意識しておくとよいポイントは次のとおりです。
- 高卒資格を確実に得られる進路を選び、卒業要件を満たしておく
- 保健室登校の期間に取り組んだ学習・読書・資格取得などを、自分の言葉で話せるよう整理しておく
- 校外での活動(アルバイト・ボランティア・オンライン学習など)があれば、経験として棚卸ししておく
保健室登校の期間を「空白」として見るのではなく、「自分と向き合った時間」として捉え直せると、面接の場でも落ち着いて自分の歩みを伝えられます。
保健室登校から教室復帰するためには?
保健室登校は、生徒が学校とのつながりを保ちながら、心と体を休ませるための大切なステップです。
いずれ教室での学校生活に戻る場合、どのような点に気をつければよいのでしょうか。
日本学校保健会の同じ令和4年度調査では、保健室登校をしていた高校生のうち45.2%(全体平均は40.3%)が1年間で教室復帰しており、教室復帰までの平均日数は22.6日でした(平成28年度調査では高校43.3%・平均30.3日)。この数値は、保健室登校が「行き止まりの状態」ではなく、多くの高校生にとって次のステップにつながる期間になっていることを示しています。
教室復帰を進めるうえで大切なポイントは、以下の4つです。ここでは、高校生本人が意識するとよいことと、保護者や周囲の大人ができるサポートを、あわせて紹介します。
- 自己肯定感を高める
- 保健室登校でも学習を止めない
- 目標を設定して登校する
- 少しずつ教室復帰に慣れていく
焦らず一歩ずつ進めることが大切です。
自己肯定感を高める
教室復帰を目指すうえで、「自分なら大丈夫」という感覚、つまり自己肯定感を育むことは非常に大切です。自信があれば、新しい環境や挑戦に対しても前向きな一歩を踏み出しやすくなります。
「今日は保健室まで来られた」「授業ノートを1ページ読んだ」といった小さな行動を、自分自身で認めることが第一歩になります。できなかったことよりも、できたことに目を向ける習慣づけが、次の一歩の土台になります。
保護者や周囲の大人にできるのは、その頑張りを言葉で肯定して返すことです。「毎日じゃなくても、学校に来られたね」「保健室で自分のペースを守れているね」といった具体的な言葉があると、本人の安心感につながります。結果ではなく過程を認める姿勢が、自己肯定感を支えます。
自己肯定感を高めることが、教室という新しい環境へ踏み出す勇気になります。
保健室登校でも学習を止めない
学習習慣を保つことは、スムーズな教室復帰のために大切です。
教室に戻った際に「授業についていけないかもしれない」という不安は、大きな心理的ハードルになります。学習を続けるときは、次のようなスタンスで無理のない範囲から進めるとよいでしょう。
- 自分のペースで無理なく進める
- 全教科を完璧にこなす必要はない
- 小さな目標を設定する(例:計算問題を5問解く)
担任や養護教諭に相談して授業内容や課題を教えてもらい、自分のペースで進めるのもひとつの方法です。保護者や周囲の大人は、進み具合を細かく確認したり比較したりするよりも、本人が続けられそうな時間帯や環境を整える役割に回ると、負担なく学習を続けやすくなります。
小さな目標でも達成できれば、学習への意欲を保ちやすくなります。学習の遅れに対する不安が軽くなれば、教室復帰への心の準備にもつながります。
目標を設定して登校する
保健室登校を続けるなかで、担任や養護教諭、家族と話し合いながら小さな目標を設定することも有効です。目標を持つことで気持ちに前向きな変化が生まれ、小さな成功を積み重ねるうちに自信が育まれます。
たとえば「今週は毎日午前中、保健室で過ごす」「保健室で国語の宿題を終わらせる」など、具体的で達成しやすい目標がポイントです。
まず自分が「これならできそう」と思える最小サイズから始めるのがおすすめです。保護者や周囲の大人は、目標を上から設定して促すよりも、本人が決めた目標を尊重し、達成できたときにフィードバックする形にすると、無理なくステップアップしていけます。
小さな目標の達成が、教室復帰への自信につながります。
少しずつ教室復帰に慣れていく
教室復帰は、焦らず段階的に進めましょう。始めから以前と同じように授業に参加するのではなく、心身の状態に合わせて少しずつ教室に慣れていくことが大切です。
たとえば、以下のような方法があります。
- 給食や昼食の時間だけ教室でクラスメイトと過ごす
- 得意な教科の授業だけ参加してみる
- 休み時間に少しだけでもクラスメイトと会話する
大切なのは、安心して教室にいられる時間を少しずつ増やしていくことです。
その日の体調と気分に合わせて「今日はここまで」と自分で線を引いてよく、無理をしないほうがかえって次の一歩につながります。保護者や周囲の大人は、担任や養護教諭と情報を共有し、家庭・保健室・教室の様子をつなぐ役割を担うと、本人が同じ話を繰り返さずに済み、負担を軽くできます。
「社会で生きていける力」を。
- 入学前不登校経験者8割。
入学後登校率89% - ぷよぷよ、モンスト開発者、
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保健室登校からの選択肢
保健室登校はあくまで一時的なステップであり、教室復帰だけが唯一のゴールではありません。
本人の心身の状態や意欲、学校の環境などを踏まえながら、自分に合った次のステップを検討していきましょう。
ここでは、保健室登校を経た後の3つの選択肢を紹介します。
- 別室登校
- 放課後登校
- 通信制高校への転校
別室登校
別室登校とは、学校内の空き教室などを利用して過ごす形を指します。
保健室より学習に重点を置いた環境で、時間割に沿った学習や個別サポートを受けられます。
保健室よりも少人数で落ち着いた環境で学習に取り組めるため、教室復帰へのステップとして有効な選択肢のひとつです。
まだ教室に戻るには不安がある場合に、検討してみるとよいでしょう。
放課後登校
保健室登校や日中の学校の雰囲気に負担を感じる場合は、放課後登校という選択肢もあります。
他の生徒が下校した後に登校し、担任や顔なじみの先生と個別に学習したり、話をしたりするケースです。
人が少ない時間帯のため、周囲の視線を気にせず、落ち着いた雰囲気で学校とつながれます。
また、保護者が付き添って、先生と家庭での様子や今後のことを相談する機会にもなります。
放課後登校は、保健室登校や別室登校へのステップとして、あるいは学校とのつながりを保つうえでも重要な役割を果たします。
通信制高校への転校
保健室登校を続けても、今の高校での学び方が自分に合わないと感じる場合は、通信制高校への転校を選択肢として検討することもできます。
通信制高校には、以下のような特徴があります。
- 毎日通学する必要がない
- 高卒資格を取得できる
- 自分のペースで学習を進められる
- 自分の興味関心を活かした学習ができる
通信制高校は、自宅でのレポート学習を中心に、スクーリング(対面授業)とテストによって単位を修得し、高校卒業資格を目指す学び方です。
自分のペースで学べるため、学習を続けることへの不安や、対人関係のプレッシャーを感じにくくなります。
近年では、オンライン学習システムが充実し、個別の学習相談や進路相談、メンタルサポートに力を入れているところも増えています。専門分野を学べるコースや大学進学に特化したコースなど、特色ある教育を行う通信制高校も少なくありません。
「毎日教室に通う」から「自分のペースで学ぶ」への切り替えは、進路をせばめる選択ではなく、自分に合う学び方を選び直す選択でもあります。
通信制高校サポート校「HR高等学院」をご紹介
HR高等学院は、生徒一人ひとりが「自分らしい生き方」を見つけ、社会で活躍するための力を育むことを目指す、通信制高校サポート校です。「『普通』に当てはまらない自分を、最大の武器にできる学び舎」として、高校生と、その保護者の方に向けて開かれています。
従来の「先生と生徒」という関係ではなく、生徒を主体的な実践者、大人をその伴走者ととらえ、対等な関係のなかで学び合う環境を大切にしています。
学びの中心にあるのは、次の5領域です。
- ビジネス&アントレプレナーシップ
- テクノロジー
- デザイン
- ソーシャル
- グローバル
各領域のプロフェッショナルを招く「トップランナーセッション」、企業から出題される課題にチームで挑む「企業連携PBL」など、実社会とつながる実践的な学びを重視しています。
学習スタイルは、完全オンラインから週5日の通学まで、生徒の状況や希望に合わせて柔軟に選べます。期ごとにコースを変更でき、その日の体調に合わせてオンラインに切り替えることも可能です。保健室登校からの転校を考えている方にとっても、「無理をしない登校ペース」を組み立てやすい環境です。
HR高等学院はキャンパスを段階的に広げており、2026年4月には渋谷キャンパス「SHIBUYA MIXI BASE」(株式会社MIXI連携)、横浜キャンパス「YOKOHAMA BASE」を開校しました。既存の代々木キャンパス「YOYOGI BASE」と合わせて、通いやすい拠点が広がっています。
経済産業省「キャリア教育アワード」、内閣府「オープンイノベーション大賞」を受賞するなど、外部からも取り組みが評価されています。
学院の雰囲気や学び方、進路サポートについてもう少し詳しく知りたい方は、下記からお気軽にお問い合わせください。
- 学校生活や進路の詳細をまとめた冊子は、資料請求ページから無料でお取り寄せいただけます。
- オンライン説明会・キャンパスでの体験会・個別相談は、説明会・体験会のご案内からお申し込みいただけます。
最後に
高校の保健室登校は、教室への登校が難しくなった生徒が、学校とのつながりを保ちながら次の一歩を考えるための大切な選択肢です。
日本学校保健会の令和4年度調査では、全国の高等学校の34.5%で保健室登校をしている生徒が確認されており、決して珍しい状況ではありません。特別な診断書などは必要なく、まずは担任や養護教諭に状況を伝えることからスタートしましょう。
一日の過ごし方は、本人の状況に応じて柔軟に組み立てられ、自分のペースで学習や休息を取ることができます。小さな目標設定や得意な授業から参加するなど、段階的に慣れていくことが大切です。
高校では授業への出席が単位認定の基本となるため、学校の規定によって成績への影響は変わりますが、適切な対応により卒業も就職活動も十分に目指せます。
自己肯定感を育て、学習を続けながら段階的に進めることで、それぞれに合った学びのかたちが見つかります。教室復帰、別室登校・放課後登校、通信制高校への転校といった複数の選択肢のなかから、自分に合う道を選び直していくことが重要です。


