「中学を不登校状態で、本当に進学できるか不安」
ご自身が、あるいはお子さんが不登校状態の場合、どこに相談すべきか・何から始めればいいか、といった不安を抱える方がほとんどです。
はじめまして。通信制高校サポート校「HR高等学院」で学院長を務めております、恒弘大輔と申します。
学院の運営を担う立場でありながら、コーチとして現場にも入り、日々、学生や保護者の方と直接お話ししています。ここに来る学生の8割は、中学生のころに不登校を経験しています。
まず知っていただきたいのは、中学生の不登校は珍しいことではない、という事実です。文部科学省の令和6年度の調査では、不登校の中学生は216,266人でした。
また、強くお伝えしたいことがあります。それは、「中学で不登校状態を経験しても、進路が完全に閉ざされるということはない」ということです。
この記事では、原因の整理から、家庭でできること、相談できる場所、高校受験と卒業後の進路までをお話しします。公的な調査で確かめられることと、私が現場で見てきたことは、区別して書きます。
出典:令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要|文部科学省
中学生の不登校の現状
中学生の不登校の現状
最初に、現在の国内における中学生を取りまく不登校の現状について見ていきましょう。
不登校の中学生の人数と割合
文部科学省の調査では、不登校とは、病気や経済的な理由を除いて年間30日以上欠席した状態を指します。「休みがちかもしれない」という段階の生徒は、この数字には含まれていません。
令和6年度(2024年度)の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2025年10月公表)によると、中学校の不登校生徒数は216,266人でした。
生徒1,000人当たりでは67.9人にあたります。35人のクラスに置き換えると、2人程度という計算になります。
学年別では、中学1年生が58,736人、中学2年生が77,066人、中学3年生が80,464人でした。このように、学年が上がるほど人数が増える形になっています。
また、年間90日以上欠席した生徒は131,221人で、中学校の不登校生徒の60.7%にあたります。小学校の44.1%と比べると、中学生のほうが欠席期間が長くなりやすい傾向が読み取れます。
出典:令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要|文部科学省
こうしたデータが示す通り、不登校は決して特別なことではありません。社会全体で支えていくべき身近な課題となっています。
出典:義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(平成28年法律第105号)|文部科学省
不登校の中学生でも進学・就職可能
冒頭でもお伝えした通り、中学で不登校状態を経験しても、進路が完全に閉ざされるということはありません。
文部科学省の「不登校に関する実態調査」(平成18年度に中学3年生で不登校だった生徒を5年後に追跡した調査、平成26年公表)では、高校への進学率は85.1%でした。
20歳の時点で就学も就業もしていなかった人は18.1%で、裏を返せば8割強が、学んでいるか働いているかのどちらか、あるいは両方という状況でした。
20歳時点の就学先の内訳は、大学・短大・高専が22.8%、専門学校・各種学校等が14.9%、高等学校が8.9%です。
いま在籍している学生を見ていても、目指す先はばらばらです。国内の大学を目指す学生もいれば、海外の大学、専門学校、就職、起業という道を検討している学生もいます。具体的な話は、記事の後半でお話しします。
出典:「不登校に関する実態調査」〜平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書〜|文部科学省
中学生の不登校の原因
中学生の不登校の原因
不登校の原因を1つに特定できないことは、とても多いです。
いくつかの事情が重なって、本人も周囲も、どれが引き金だったのか分からなくなっているというのが実際のところだと思います。令和6年度の調査で学校が把握した事実として多かったのは以下の要因です。
中学校では「学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった」が30.1%、「生活リズムの不調に関する相談があった」が24.3%、「不安・抑うつの相談があった」が24.4%、「学業の不振や頻繁な宿題の未提出が見られた」が15.7%でした。
なお、この調査は当てはまるものをすべて選ぶ方式で、学校側が答えたものです。
一方で、児童生徒本人と保護者に直接たずねた別の調査もあります。
文部科学省の委託事業として行われた「不登校の要因分析に関する調査研究」(令和6年3月公表。小学3年生から高校1年生を対象に4つの自治体で実施)では、「体調不良」「不安・抑うつ」「居眠り、朝起きられない、夜眠れない」といった心身の不調について、児童生徒や保護者は約7〜8割が回答したのに対し、教師の回答は2割弱にとどまりました。
同じ出来事を見ていても、外から見えているものと本人が感じているものは、これだけ違います。
出典:令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要|文部科学省
出典:「不登校の要因分析に関する調査研究」結果の概要(文部科学省委託事業)|文部科学省
心身の不調(頭痛・腹痛・朝起きられない)
朝になると頭が痛くなる。お腹が痛くなって動けない。目は覚めているのに体が起き上がらない。中学生の不登校では、こうした体の症状から始まるケースが本当に多いです。
これらは、気のせいでも怠けでもありません。強い緊張やストレスが続くと、自律神経の働きが乱れて、頭痛、腹痛、吐き気、倦怠感、めまいといった形で体に出ることがあります。心にかかった負荷が、体の反応として現れている状態です。
ご家庭で見ていると、「休みの日は元気なのに、平日の朝だけ具合が悪くなる」というちぐはぐさが気になるかもしれません。
ただ、それも体の反応としては説明がつくことです。まずは体に起きている出来事として受け止めていただけたらと思います。
うつ病
気分の落ち込みが続く、何をしても楽しめない、眠れない、食欲がない。こうした状態が長く続いている場合、うつ病の可能性があります。大人だけの病気ではなく、思春期の子どもにも起こります。
自分を責める言葉が増えたり、朝どうしても起き上がれなかったりする様子が見られることもあります。
ただ、これはあくまで一般的に知られている特徴で、診断ができるのは医師だけです。当てはまるかどうかを家庭で判断しようとせず、気になる場合は医療機関にご相談ください。
起立性調節障害
起立性調節障害(OD)は、立ち上がったときに血圧や心拍を調節する自律神経がうまく働かなくなる病気です。立ちくらみ、めまい、頭痛、腹痛、動悸、朝の起床困難といった症状が出ます。
特徴的なのは、午前中に症状が強く、午後になると回復してくることです。そのため周囲からは「昼から元気になるなら怠けているだけ」と誤解されやすく、本人がいちばん苦しい思いをします。
しかし、これは意思や性格の問題ではなく、体のしくみで起きていることです。
日本小児心身医学会によると、ODの有病率は軽症例も含めて中学生の約10%で、不登校の約3割から4割にODが併存するとされています。家庭だけでなく、学校にも理解してもらうことが大切になる病気です。気になる症状があれば、小児科などの医療機関にご相談ください。
適応障害
適応障害は、進学やクラス替え、部活動や友人関係の変化など、はっきりしたストレスのもとがあり、それに心と体がついていけなくなっている状態です。気分の落ち込み、不安、眠れない、体の不調といった形で現れます。
ストレスのもとから離れると落ち着いてくることが多く、「学校に行こうとするとお腹が痛くなるのに、家では普通に過ごせる」といった見え方をする場合があります。
この場合も、環境を整えることや専門家に話を聞いてもらうことが助けになりますので、まずは医療機関やスクールカウンセラーにご相談ください。
生活リズムの乱れ
令和6年度の調査でも、「生活リズムの不調に関する相談があった」は中学校で24.3%と、上位に挙がっています。
昼夜が逆転する流れには、共通した傾向があります。
学校を休むと、朝に起きる必要がなくなります。日中に体を動かす機会が減り、夜になっても眠気が来ません。眠れないまま夜が更け、動画やゲームで時間を埋め、明け方に眠る。そして翌朝また起きられない、という循環に入っていきます。
ここで難しいのは、生活リズムの乱れが原因にも結果にもなることです。だからこそ、無理に朝起こす取り組みは、本人にとっては眠れていない体を叩き起こされる体験になり、かえって消耗します。
リズムだけを先に戻そうとしても続きにくく、日中に向かいたいものが戻ってくるほうが先になる場合もあります。「早く起こせば解決する」という話にならないのは、このためです。
友人関係のトラブル
友人関係というと、いじめを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、それ以外にも複雑な要因が絡み合って不登校につながっている場合があります。
要因分析調査で児童生徒本人に聞いた結果では、不登校の児童生徒の26.2%が「いじめ被害」を、24.8%が「いじめ以外の友人関係のトラブル」を挙げていました。
つまり、いじめではない友人関係の問題も、同じくらいの割合で挙がっているということです。
グループの中で気を遣い続けて消耗する。放課後のグループチャットが夜まで続いて休まらない。SNSで自分がどう見られているかが気になって落ち着かない。はっきりした出来事がなくても、学校に行きづらくなることは十分にあります。
出典:「不登校の要因分析に関する調査研究」結果の概要(文部科学省委託事業)|文部科学省
家庭内での問題
家庭内の不和、保護者の不在、経済的困難、家族の病気や介護といった家庭環境の問題が不登校の背景要因となることがあります。
令和6年度の調査で学校が把握した事実としても、中学校では「親子の関わり方に関する問題の情報や相談があった」が9.9%、「家庭生活の変化に関する情報や相談があった」が6.6%挙がっています。家庭が安心できる場所でない場合、多くの子どもは家庭内で心のエネルギーを充電することができず、学校生活に向き合う余裕を失います。しかし、こうした家庭の問題を家庭だけで解決するのは容易なことではありません。
家庭の事情を、家庭だけで解決しようとしなくて大丈夫です。抱え込まずに外に相談することは、家庭の失敗ではありません。相談先については、この記事の後半でまとめてご紹介します。
出典:令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要|文部科学省
学校の教師や環境
先生との相性、校則、教室の雰囲気といった、学校側の要因もあります。
要因分析調査で本人に聞いた結果では、不登校の児童生徒の35.9%が「先生と合わなかった」と答えており、不登校でない児童生徒の14.3%と差がありました。
「先生から厳しく怒られた・体罰」も16.7%で、こちらも不登校でない児童生徒の7.5%を上回っています。また、制服や給食、行事といった学校のきまりへの不適応も、不登校と関連していました。
私が話を聞いてきた学生の中にも、自分のやりたいことを先生に話したら「そんなことはやらずに勉強しておけ」と言われた、という子がいました。
校則や規律そのものが息苦しかったという声も少なくありません。ひとつひとつは小さなやりとりでも、毎日続く場所で起きると、意味が変わってきます。
出典:「不登校の要因分析に関する調査研究」結果の概要(文部科学省委託事業)|文部科学省
勉強についていけない
文部科学省の調査では、「学業の不振や頻繁な宿題の未提出が見られた(15.7%)」という報告も多く見られます。
中学生になり学習内容がより高度化することにより、授業についていけない、テストの成績が振るわないといった経験が自己肯定感を低下させ、学校に行くことへの抵抗感を生むことがあるのです。
事実、要因分析調査で本人に聞いた結果では、不登校の児童生徒の47.0%が「授業がわからない」、50.0%が「宿題ができない」、37.9%が「成績が下がった」と答えていました。
また、学習困難者の中には、学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)など、特別な支援を必要とする場合もあり、早期の発見と適切な支援が重要です。
出典: 令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要|文部科学省
なんとなく気乗りしない・本人にも理由が分からない
令和6年度の調査で最も多かったのは、「学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった」で、中学校では30.1%でした。
本人に聞いても「分からない」としか返ってこないことは、珍しくありません。むしろ、理由を言葉にできるほうが少ないくらいです。
中学生は自分の内側で起きていることを説明する言葉を、まだ手に入れている途中だからです。私が話を聞いてきた学生の中にも、不登校になった理由を本人がうまく言葉にできていない子がいます。
ですので、原因を突き止めることを急がなくて大丈夫です。「なぜ行かないの」と繰り返し聞くと、答えられない自分を責める材料が増えてしまい、かえって話しづらくなります。理由が分からないままでも、できることはこのあとお話しするようにいくつもあります。
中1・中2・中3で変わる不登校のきっかけ
中学1年生
中学校1年生の場合、環境の変化がトラブルのきっかけになりやすいです。
小学校とは、時間割も、先生との距離も、部活動も、人間関係の規模も変わります。定期テストという仕組みも初めて経験します。制服や校則といったルールが増えることも、負担につながる場合があります。
中学2年生
中学校2年生の場合、友人関係がトラブルのきっかけになりやすいです。
学校生活には慣れる一方で、友人関係が固定してきます。グループの中での立ち位置が決まり、そこから外れづらくなる時期です。
また、学習内容も難しくなり、成績の差がはっきり見えるようになります。令和6年度の調査では、中学2年生の不登校生徒数は前年度から減少していますが、それでも学年別では中学3年生に次いで多い人数です。
中学3年生
中学校3年生の場合、進路決定がトラブルのきっかけになりやすいです。
学校生活の事情に、進路の不安が上乗せされます。「このままで高校に行けるのか」という問いが、本人にも保護者の方にものしかかってきます。
結論から言えば、不登校状態が続いていても、中学3年生から動き始めても進路はあります。詳しくは「中学生の不登校と高校受験」の章でお話しします。
私が接してきた学生に多かったきっかけ
ここまで一般的な分類を見てきましたが、私が実際に話を聞いてきた学生の傾向は、少し違うところがあります。
共通点をあえて1つ挙げるなら、「何らかの理由で、それまでいた学校が自分に合わなかった」ということです。
友人関係で行けなくなった学生もいます。テストの点数を上げるための勉強が自分の興味とかけ離れていて、「何のためにやっているんだろう」という苦しさから力が抜けてしまった学生もいます。校則や担任の先生とのやりとりが起点になっていた学生も、少なくはありません。
一方で、はっきりした理由を1つに決められない学生もいます。ある学生は、もともと進学校に通っていて、クラスではみんなからいじられる、道化のような役回りをしていました。ただ、本人は文学が好きで、頭の中ではいろいろなことを考えているタイプでした。
そうした部分が周りから認められる機会はあまりなく、友人との関わり方と本来の自分とのギャップに、少しずつ苦しむようになっていったのだと思います。本人も「これが理由だ」とは言えていません。
こういうケースを見ていると、原因を1つに決めようとすること自体が、あまり本質的ではないかと考えるようになりました。
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不登校の中学生には何をさせればいい?本人の過ごし方
この章は、本人ができることと、家庭での過ごし方の話です。はじめに1つだけ申し上げておきたいのですが、学校に戻ることだけがゴールではありません。
元の教室に戻っていく道もありますし、学校の外で学びを続ける道もあります。私は、この2つに上下はないと思っています。以下、どちらの道にもつながる過ごし方を、負担の軽いものから順に挙げていきます。
まずは休むことを認める
不登校からの回復は、よく充電にたとえられます。それまでの学校生活で頑張りすぎてエネルギーが切れると、何かをやってみようという気力が湧かなくなり、家から出られなくなったり、学校に足が向かなくなったりします。
そこからもう一度「何かやってみたいな」と思えるようになるには、十分な充電が必要です。そして、その充電ができる環境は、お子さんにとって家庭の場合がほとんどです。
ですので、何もしない期間があってもかまいません。私は保護者の方に、「おうちを、お子さんにとって充電できる場所にしてあげてください」とよくお願いしています。
学校とのつながりを保つ
不登校になったからといって、学校との関係を完全に断ち切る必要はありません。
むしろ、担任の先生やスクールカウンセラー、養護教諭などと定期的に連絡を取り、子どもの状況を共有することが重要です。
学校側も、不登校の子どもに対してさまざまな支援策を用意していることが多く、家庭訪問、電話連絡、学習プリントの配布などを通じて、つながりを保つ努力をしています。
子どもが「学校に戻りたい」と思ったときにスムーズに復帰できるよう、学校との信頼関係を維持しておくことが望ましいです。
保健室登校や登校時間を少なくする
いきなり毎日フルに登校するのが難しいときは、まずは保健室登校や短い時間からの登校を考えてみるのも一つの方法です。
また、「朝の会だけ顔を出してみる」「好きな授業にだけ参加する」「午後からゆっくり登校する」といったように、登校時間を工夫することでも、少しずつ学校の空気に慣れていくことができます。
この形の良いところは、教室に入るかどうかを毎回選べることです。行ってみて無理だったら帰る、という前提で始められると、本人の負担がかなり変わってきます。
子どもの意向を確認したうえで、保健室で養護教諭の先生とゆっくりお話をしたり、自分のペースで少しだけ勉強してみたりすることから始めてみるのもよいでしょう。
いずれも、学校側と十分に相談しながら、子どもの負担にならない形で登校のステップを踏むことが重要です。
出典:慢性疾患、心身症、情緒及び行動の障害を伴う不登校の経験のある子どもの教育支援に関するガイドブック(第6章第2節 養護教諭の役割)|国立特別支援教育総合研究所
好きなことに没頭してみる
不登校の期間を一方的にマイナスと捉えず、子どもが自分の興味や好きなことに没頭する時間として活用することも、心の元気を回復させるための大切なプロセスといえます。
絵を描く、音楽を聴く、読書、ゲームやスポーツをするなど、本人が心から楽しめる活動に打ち込むことは、消耗した心のエネルギーを回復させる大きな力となります。
好きなことに夢中になる経験は、自分を肯定する気持ちを育み、それがやがて将来の目標や新しい学びへの意欲につながることも少なくありません。好きなことは、次の一歩の入り口になることがあります。ただし、「好きなことをやらせれば動き出す」という単純な話でもありません。
何にもつながらない時期も普通にあります。それでも、否定から入らないほうがいい、というのが私の考えです。
保護者は、まずは子どもの興味を尊重し、それを温かく見守り応援する姿勢を大切にしてください。
出典: 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」
家庭でできる学習で遅れを取り戻す
家庭でできる学習には、いくつか方法があります。教科書とワークを使って自分のペースで進める、オンライン教材や動画授業を使う、通信教育を利用する、オンライン家庭教師や個別指導を頼む、といったところです。
学校からプリントをもらえる場合は、それが本人にとっていちばん負担の少ない教材になることもあります。
量は、思い切って絞ってかまいません。短い時間から始めて、続けられそうなら少しずつ伸ばしていく、という進め方があります。いきなり通常の学習量に戻そうとすると、負担が大きくなりやすいためです。
また、学習さえ遅れていなければ大丈夫、という話でもないと私は思っています。まずは、お子さんの回復を最優先にしてください。
不登校の中学生に親ができる対応
中学生が不登校になった場合の親の対応
子どもが不登校になると、保護者はどうしても「自分の育て方が悪かったのかも」と自身を責めたり、将来への大きな不安やストレスを抱えたりするものです。
そうした焦りや不安は想像以上に子どもへと伝わりやすく、結果として子どものプレッシャーとなって状況をさらに難しくしてしまうことも少なくありません。まずは、保護者ご自身が少しでも心を落ち着けることが、解決への第一歩となります。そのためにできる具体的な対応をいくつかご紹介します。
子どもの話に耳を傾ける
不登校の子どもは、自分が学校に行けないことに対して、人知れず罪悪感を抱いたり自信を失ったりしていることがよくあります。
そんな時に、保護者から厳しく叱られたり、「頑張って」と無理に励まされたりすると、さらに行き場をなくして追い詰められ、心を閉ざしてしまう原因になります。
そんなときはまず、「学校に行けなくても大丈夫だよ」「あなたの気持ちを知りたいと思っているよ」というメッセージを届け、保護者が子どもに安心感を与えてあげてください。
子どもが「話したい」と思ったときにいつでも耳を傾け、否定せずに丸ごと受け止める。その姿勢こそが、信頼関係を築くための大切な第一歩となります。また、言葉そのものだけでなく、その裏側にある不安や悩みまでを理解しようと歩み寄ることが、子どもの心のなによりの支えとなるでしょう。
学校を休んでいることを責めない
子どもが学校を休んでいることを責め、無理に登校を強いることは、子どもの心にさらなる負担をかけることになり、親子関係の悪化にもつながります。
「学校を休ませてばかりで本当にいいのだろうか」と不安になることもあるかと思いますが、今は国の方針としても考え方が変わってきています。
「教育機会確保法」という法律においても、学校に行けない状況にある子どもに対する休養の必要性がはっきりと認められており、学校以外の場所で学ぶことも大切な選択肢の一つとして位置づけられています。
出典:義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(平成28年法律第105号)|文部科学省
それから、すでに強く言ってしまった、という方も多いと思います。
過去をなかったことにする必要はありません。今の関わり方を変えるところから始められます。
保健室登校を提案する
前の章では保健室登校を「本人の過ごし方」として書きましたが、ここでは保護者の方から本人にどう伝えるか、という話をします。
伝え方で気をつけたいのは、提案を「登校の再開」と結びつけないことです。「保健室からなら行けるんじゃない?」は、本人には「やっぱり行かせたいんだ」と聞こえます。
そうではなく、選択肢が1つ増えたという事実だけを置くのが良いと思います。「保健室でも出席になるって先生が言ってたよ。行きたくなったら使えるって」くらいの温度感です。
そして、本人が断ったときにどうするかを、あらかじめ決めておくとよいと思います。その場で引き下がって、しばらく話題に出さない。
断られた提案をもう一度持ち出すと、本人にとっては「断ったのに押してくる」という体験になってしまうためです。本人が動き出すのを辛抱強く待つこと、成果を急ぐような関わり方をしないことが大事だと、私は考えています。
学校側にも「今は本人が難しいと言っているので、また相談させてください」と伝えておけば、つながりを保てるでしょう。
学校の教師と連携を取る
保護者は、担任教員やスクールカウンセラー、養護教諭など、学校側と定期的に連絡を取り、子どもの状況を共有することが大切です。学校側も、不登校の子どもをサポートするためにさまざまな支援策を持っていることが多く、家庭と学校が協力することで、より効果的な支援が可能になります。
伝える内容は、事情の全部でなくてかまいません。何ならできそうか、何を負担に感じているのか、たとえ抽象的であってもまず伝えることで、学校側も動きやすくなります。
定期的な情報交換を通じて、子どもの変化や課題を共有し、一緒に解決策を考えていく姿勢が重要です。専門機関に相談する
家庭だけで抱え込む必要はない、というのが私が伝えたい点です。
外部に相談すると、状況が客観的に整理されます。それから、保護者の方自身の負担が分散します。
ひとりで抱え込まずに外部と連携することは、保護者ご自身の心の余裕を取り戻すことにもつながるのです。特に、子どもの不登校の背景に心身の病気が隠れている可能性がある場合は、早めに医療機関を受診して、専門的なケアの道筋を立てることが重要です。
相談先の具体的な一覧は、次の章でまとめてご紹介します。
やってはいけない対応
ここでは、逆効果になりやすい関わり方を4つ挙げます。この4つに共通しているのは、どれも本人を思う気持ちから出ているということです。だからこそ、なかなか気づきにくいのだと思います。
すでにやってしまっている、と思われる方は、これからの対応への参考にしてみてください。
「なぜ行かないの」と繰り返し聞く
理由を言葉にできない子は多く、答えられないこと自体が本人を追い込みます。
聞くたびに、お子さんが答えられない自分を責めることに繋がります。
ほかの子やきょうだいと比べる
比較は、本人の中で「自分には価値がない」と思いやすいです。
励ますつもりの一言でも、比較の形を取ると届かない場合が多いです。
無理に登校を促す
エネルギーが切れている状態で押し出すと、失敗の記憶が積み重なりやすいです。
その過程で一度大きな失敗をすると、次に動き出すまでの時間がさらに長くなります。
原因を追及しすぎる
原因を特定しないと解決できない、というわけではありません。追及が続くと、本人は「話すと詰められる」と感じて、口を閉ざしてしまうかもしれません。
親自身が疲れたときは「見守る」を続けるために休んでいい
私が保護者の方によくお願いしているのは、「おうちを、お子さんにとってもご自身にとっても、充電できる場所にしてあげてください」ということです。
先ほど、不登校からの回復は充電にたとえられるとお話ししました。その充電ができる環境は、おうちの場合がほとんどです。だからこそ、無理に状況を変えようとせず、普段の会話を楽しむところから始めてみてください。
そしてこれは、保護者の方ご自身にも同じことが言えます。緊張感を張りつめたままでは、おうちは充電できる場所になりません。
見守りを続けるためにも、ご自身がリラックスできる時間を持つこと。それは手抜きではなく、お子さんの充電環境をつくることの一部だと私は考えています。
なお、見守ることと、放っておくことは同じではありません。見守るというのは、何もしないことではなく、こちらの側に余力を残しておいて、本人が動いたときに応じられる状態でいることだと思います。
余力がない状態で見張り続けるのは、見守りとは違うかたちになってしまいます。ご自身の生活や楽しみを取り戻すことは、お子さんを見捨てることではありません。
保護者の方からよく聞く不安
個別相談でお会いする保護者の方が、よく口にされる言葉があります。
いちばん多いのは、ご自身を責めるものです。「無理やり学校に行かせようとしすぎたのかもしれません」「頑張らせすぎてしまったんだと思います」「私の接し方が、そうさせてしまったのではないでしょうか」。
自分の教育のあり方や子どもとの関わり方を振り返って、後悔されている方は本当に多いです。
こうしたお話に対して、私は原因を診断するようなことは申し上げません。それは、理由を一つに絞ることができないからです。
この記事の前半でも触れたとおり、いくつかの事情が重なっていることのほうが多く、「これが引き金でした」と言い切れるケースはほとんどありません。ですので、ご自身の関わり方が原因だったと決めつけなくて大丈夫です。
保護者の方が共通して願っておられることは、驚くほど似ているんです。それは、もう一度自信を取り戻してほしい。楽しい学校生活を送ってほしい。友達ができてほしい。
進路や学力の話より先に、お子さんを思った言葉が出てきます。だとすれば、原因を確定させることより、ポジティブなきっかけをどうつくるかを一緒に考えたほうが、話が進みやすいと感じています。
不登校の中学生が相談できる支援機関と居場所
ここでは、中学生が今いられる場所と相談先をご紹介します。通う場所については「どんな場所か」「費用の目安」「どうすれば利用できるか」の3点を表にまとめました。
教育支援センター(適応指導教室)
教育支援センター(適応指導教室)は、市区町村の教育委員会が設置している公的な施設です。
学習支援や相談、体験活動などを行っており、ここに通った日数が、在籍校の校長の判断で出席扱いになる場合があります。令和6年度の調査では、小・中学校の不登校児童生徒のうち32,240人が教育支援センターで相談・指導等を受けていました。
利用する場合は、在籍する中学校か、お住まいの市区町村の教育委員会に問い合わせてください。名称は自治体によって「適応指導教室」「教育支援センター」「ふれあい教室」などと異なります。
また、設置状況も自治体によって差がありますので、お住まいの教育委員会でご確認ください。
フリースクール
フリースクールは、民間の団体や個人が運営している居場所・学びの場です。
令和6年度の調査では、小・中学校の不登校児童生徒のうち18,566人が民間団体・民間施設で相談・指導等を受けていました。
内容は施設ごとに大きく違い、学習中心のところ、体験活動中心のところ、まず居場所として過ごすところなど、方針はさまざまです。
民間事業のため、利用料は発生します。月額数万円というところが多いですが、幅がありますので、見学の際に確認してください。
自治体によっては、フリースクールの利用料を助成する制度がある場合があります。お住まいの自治体でご確認ください。利用する場合は、各施設に直接問い合わせて、見学や体験から始めるのが一般的です。
学びの多様化学校(旧・不登校特例校)
学びの多様化学校(旧・不登校特例校)は、不登校の児童生徒の実態に配慮して、特別の教育課程を編成している学校です。
授業時間数を減らす、体験的な学習を増やす、学び直しの時間を設けるなど、通常の学校とは違うカリキュラムが組まれています。学校教育法施行規則にもとづき文部科学大臣が指定するもので、卒業資格は通常の中学校と同じです。
なお、名称は2023年に「不登校特例校」から変更されました。
文部科学省が公開している設置者一覧では、2026年4月時点で全国84校です。本校型、分校型、分教室型、コース指定型の4つの形態があり、小学校のみを対象とする学校も含まれます。
利用する場合は、通学できる範囲にあるかどうかを、まずは一覧でご確認ください。
出典:文部科学省|学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の設置者一覧
オンラインのフリースクール・学習支援
オンラインのフリースクール・学習支援は、自宅から参加できる、オンライン形式の居場所や学習支援です。
外出が難しい段階でも使えることが最大の利点で、カメラをオフにして参加できるところ、チャットだけで参加できるところもあります。自治体がメタバース空間を活用した支援を行っている例もあります。
利用する場合は、民間サービスは各運営元に直接申し込みます。自治体の取り組みについては、お住まいの教育委員会でご確認ください。出典:名古屋市|教育用メタバースを活用した不登校児童生徒支援
スクールカウンセラー・自治体の窓口
無料で相談できる窓口です。代表的なものを以下に挙げます。
- スクールカウンセラーは、在籍する中学校に配置されています。本人だけでなく、保護者の方も相談できます。予約は担任か教育相談担当の先生を通します。
- 24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)は、文部科学省が設置している24時間対応の電話相談です。通話料は無料で、お住まいの都道府県・指定都市の教育委員会の相談機関につながります。
- 子どもの人権110番(0120-007-110)は、法務省の人権相談窓口です。通話料は無料です。
- 各自治体の教育相談窓口では、教育委員会が電話・来所・オンラインでの相談を受け付けています。受付時間や方法は自治体で異なりますので、お住まいの教育委員会でご確認ください。
保護者が相談できる親の会
不登校の子どもを持つ保護者が集まり、話をする場です。助言をもらう場というより、同じ状況にいる人と話す場だと考えていただくのがよいと思います。
保護者の方は、思っている以上に孤立しやすい立場にいます。周囲に同じ状況の人がいないと、自分の家だけが特別なのではないかと感じてしまいます。
「同じことで悩んでいる人がいるんだ」と知るだけでも、心の負担は減るでしょう。地域の親の会をはじめとした、不登校に関する地域ごとの窓口は以下のサイトにまとまっています。オンラインで開催している会もありますので、外出が難しい場合はそちらから探してみてください。
学校の外で同世代とつながる場
ここまでは、通う場所と相談先をご紹介してきました。最後にご紹介するのは少し性格が違い、放課後に参加する活動です。
例として、弊社が運営している「TANQ BASE(旧・はたらく部)」があります。学校では教わらない「社会」について、社会人コーチや全国の同世代の仲間と学び合う、放課後のオンラインスクールです。
中学生向けのオンラインワークショップは、月曜から土曜の19:00〜20:30に月3回開かれていて、全国から参加できます。
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中学生の不登校と高校受験
中学生の不登校において、いちばんの悩みの種は「進学はできるのか」という不安だと思います。
ここでは、高校受験で気になる出席日数・学力・調査書(内申点)の扱いと、不登校でも受け入れている高校の探し方についてお伝えいたします。
なお、高校入試の制度は都道府県ごとに、そして高校ごとに違うため、記載した内容がそのまま当てはまらない場合があります。お住まいの都道府県の入学者選抜実施要項も合わせてご確認ください。
出席日数
「何日休んだら高校に行けないのか」というご質問をよくいただきます。結論から申し上げると、全国で一律の基準はありません。出席日数の扱いは、自治体と高校によって違います。
調査書には各学年の欠席日数を記入する欄があるのが一般的ですが、東京都のように調査書に出欠の記録を求めない自治体もあります。
文部科学省が令和7年度の公立高校の入学者選抜について調べた結果では、調査書に出欠の記録を求めない自治体が12、本人が学校以外の場での学習状況を自己申告書として提出できる自治体が28ありました(いずれも一部の高校のみで実施している自治体を含みます)。
つまり、日数だけで処理されるのではなく、事情も一緒に伝えることは可能です。
欠席の記録を選抜の資料として用いない、としている自治体も11あります。また、調査書を用いない特別な入学者選抜を実施している自治体もあります。
出典:令和7年度高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)|文部科学省
学力
受験に必要な学力の水準は受験先によって大きく違いますので、志望校の水準から逆算して学力をつけていくと良いでしょう。
一般的には、まずは得点が期待できる科目や暗記科目など、範囲を絞って対策を始めることが重要です。各予備校や中学校では、志望校に応じた得点の目安を把握しているので、まずは教員に聞いてみましょう。
学力に不安がある場合は、通信制高校・サポート校への進学が選択肢に挙がります。なぜなら、通信制高校の入試は、学力試験ではなく書類審査・面接・作文で選考する形が主流だからです。
ただし、一部の公立通信制高校では学科試験が課される場合があります。詳しくは「通信制高校の入試の内容は?入学条件や試験対策を解説」をご覧になってください。
調査書(内申点)
調査書には、各教科の評定や学習の記録が記載されます。授業に出られていない期間があると、評定がつきにくい教科が出てくる場合があります。
調査書に不安がある場合は、内申点を重視しない入試方式を選択すると良いでしょう。
現在は、学力検査の比重が高い方式だけでなく、面接・作文・自己申告書を中心に見る方式、不登校の生徒を対象とした特別選抜など、自治体によってさまざまな枠が用意されています。この部分は、自治体の差が大きいところです。「内申が足りないから無理だ」と早い段階で判断せず、次にご紹介する方法で、受け入れている高校を探してみてください。
不登校でも受け入れている高校の探し方
情報の集め方を、順にご紹介します。
- お住まいの都道府県教育委員会のサイトで、入学者選抜実施要項と、特別選抜の有無を確認する。(ex.東京都教育委員会|都立高等学校)
- 在籍校の進路指導の先生に、近隣で不登校を経験した生徒の進学実績がある高校を聞く。
- 中学生向けの合同説明会に参加してみる。本人が動けない段階の場合、保護者さんが情報収集をサポートするとよいでしょう。
- 気になった高校の個別相談に申し込み、入学後のサポート体制を直接たずねる。
個別相談でたずねると良いのは、「入学後に体調が崩れたときにどう対応してもらえるか」です。
受け入れの姿勢は、募集要項よりこの答え方に表れます。
では、中学校を卒業したあとには、どんな道があるのでしょうか。次の章で整理します。
不登校だった中学生の進路とその後
全日制・定時制・通信制高校の違い
中学卒業後に高校へ進む場合、大きく3つの課程があります。それぞれの仕組みと、向いている人を整理します。
全日制は、最も一般的な課程です。平日の日中に毎日登校し、3年間で卒業する。学年ごとに進級する形が基本です。
定時制は、夜間など時間帯を選べることが特徴です。また、単位制の学校が多く、働きながら卒業を目指す方に向いている課程です。
通信制は、自分のペースで単位取得を進めていく課程です。スポーツや芸能活動など、学校以外の活動に時間を使いたい人に向いています。
詳しいメリット・デメリットについては「定時制・通信制・全日制の違いは?定時制高校と通信制高校はどっちがいい?」をご覧になってください。
通信制高校サポート校とは
サポート校は、通信制高校と併用する仕組みです。通信制高校に在籍して単位を取りながら、同時にサポート校にも通う形になります。
通信制高校は、自分でレポートを進める設計になっているため、一人で計画的に進めるのが難しい場合があります。サポート校は、その学習の進み具合を一緒に確認したり、生活面や進路の相談に乗ったりする役割を担います。
また、サポート校によっては、独自のカリキュラムや体験的な学びを提供しているところもあります。HR高等学院の場合、大手企業と連携した「 課題解決型学習(PBL)」など、実社会とつながる新しい学びの場を提供しています。
高卒認定試験などその他の道
高等学校卒業程度認定試験(高卒認定試験)は、高校を卒業していない人が、高校卒業者と同等以上の学力があると認定を受けるための国の試験です。
合格すると大学入学資格が得られ、大学、短大、専門学校を受験できるようになります。多くの国家試験の受験資格や、就職・資格試験で高校卒業程度の学力があるものとしても扱われます。
なお、令和8年度から、新たに「情報」が必修になったため、受験予定の方は注意をしましょう。
また、高卒認定試験に合格しても、「高等学校卒業」という学歴にはならないことをおさえておきましょう。高校卒業の資格が必要な場面もありますので、その違いを理解したうえで選択していただければと思います。
不登校を経験した学生のその後
いま在籍している学生たちの進路をお話しすると、国内の大学を目指す学生が約8割、海外の大学を目指す学生が1割から2割、そのほかに就職や専門学校、起業という道を検討している学生もいます。
印象的な例を1つ挙げます。以前、動けない状態が続き、部屋から出られないまま私たちとつながった学生がいました。
最初は、保護者の方との個別面談の様子を、部屋にいる本人にスピーカー越しに聞いてもらうところからのスタートでした。その学生がいまは毎日キャンパスに通い、プロジェクトを進め、国内でのホームステイを経て、海外への短期留学に挑戦するまでになっています。
また、不登校を経験してからここに来た学生が、いろいろな越境体験を重ねる中で海外に興味を持ち、いま海外の大学を受験している例も複数あります。「あの時不登校だったから、周りに合わせずに自分の意思で納得のいく進路が選べた」と話してくれる学生もいます。
ただ、全員がこう進むわけではありません。回復までにかかる時間は人それぞれです。それでも、充電期間を経て、自分に合う環境や機会に出会えれば、進路は思っている以上に広がっていく。それが、私が現場で見てきた実感です。
サポート校で私が見てきた学生の変化
ここからは、私が伴走してきた学生たちの話をします。
HR高等学院には、入学前に不登校を経験した学生が約8割在籍していますが、開校から半年の時点で、学生の通学率は89%でした。
そう言われると、来れば変わる場所のように見えるかもしれません。ただし、この数字は結果であって、ここに至るまでの過程は学生ごとにまったく違います。うまくいかなかった時期もそれぞれにあります。
出典:学院概要|HR高等学院
この章では、印象的だった3名の学生の話をご紹介します。
Case1|中学3年生で出席日数が足りなくなった学生
中学3年生のとき、受験勉強と人間関係のストレスが重なり、出席日数が足りなくなった学生です。通信制に進むと決まった時点で、青春は半分あきらめていたそうです。
入学前に心配していたことの1つは、人間関係でした。不登校を経験した学生が多いと聞いて、みんなと友達になれるのかが気がかりだったと話しています。
いまは部活動の部長を務めています。外部の講師の方や見学者の方など、HR高の「外」から来た方にできるだけ話しかけることを目標に、頑張っているそうです。
Case2|周りに合わせて自分を抑えるのがつらくなった学生
中学時代、周りに合わせて自分を抑えることがつらくなり、不登校になった学生です。
入学を決めたのは、企業と連携した授業で、将来につながる学びができると思ったからだそうです。最初は、学校らしくなさすぎて驚いたと話していました。ただ、自分たちで決められることは嬉しかったようです。
いまは企業のインターンに参加したり、自分で部活動を立ち上げたりしています。仲間が「やってみたら?」と肯定してくれることが、一歩を踏み出す勇気になっていると話しています。
Case3|別の学校が合わず、2か月でやめた学生
中学2年生になるころ、糸が切れたように一気に疲れてしまい、打ち込んでいた競技も部活も学校も、すべて休んだ学生です。その後、通信制の中等部に移りましたが、オンライン授業が中心で受け身の雰囲気が合わず、2か月でやめています。
うまくいかない経験を一度挟んでから、HR高等学院にたどり着きました。入学前のインタビューでは、やりたいことがまだ固まっていないのを逆手にとって、いろいろな経験をしたいと話していました。
入学に向けたプロジェクトに参加するようになってからは、とても明るくなったと言われるそうです。
変化のきっかけになっていたこと
私は、この3名には共通点があったと考えています。
1つ目は、否定されない前提が先にあったことです。私たちHR高等学院がいちばん大事にしているのは「存在承認」です。
出席状況が改善しなくても、やりたいことが見つからなくても、誰かに迷惑をかけることがあっても、まずここにいることを認める、というところから始めます。この前提がないと、大人の言葉は入っていきませんし、何かをやりたいという力も湧いてきません。
2つ目は、成果を急がなかったことです。3人とも、入学してすぐに変わったわけではありません。
本人が動き出すタイミングは、私たちがコントロールできるものではありません。だからこそ、承認できる点を1つずつ増やしていき、本人たちが自信を取り戻すきっかけを作ります。
3つ目は、きっかけが計画されたものではなかったことです。
誰かの一言、たまたま出た授業、たまたま話した相手。私たちにできるのは、そういう偶然が起きる確率を上げておくことだと思っています。
中学卒業後の進路が不安なら通信制高校サポート校という選択肢も
最後に、この記事でお伝えしたかったことを3つにまとめます。不登校の原因は1つに絞れないことが多いということ。学校に戻ることだけがゴールではないということ。そして、高校からやり直した学生を、私はたくさん見てきたということです。
私が学院長を務めるHR高等学院は、通信制高校サポート校です。ビジネス&アントレプレナーシップ、テクノロジー、デザイン、ソーシャル、グローバルという5つの領域の学びを用意し、各分野の第一線で活躍する方から直接学ぶトップランナーセッションや、企業と連携したPBLに取り組んでいます。
また、学習スタイルは完全オンラインから週5日の登校まで選べます。提携する通信制高校で単位を修得することで高校卒業資格が得られ、総合型選抜をはじめとする進路のサポートも行っています。
もし気になることがあれば、資料請求やオンライン説明会、個別相談会のいずれかから、まず話を聞いてみるところで十分だと思います。
保護者の方おひとりでのご参加も歓迎しています。


