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2026.05.09

- 卒業生インタビュー -「自分の感情を、見捨てないで」 特別な自分を求めることをやめた日、進みたい進路が見えた

HR高から、一般受験をして大学に入ったこうせいが、HR高での時間を振り返りインタビューに答えてくれました。担任コーチとの対談を通して、特別であることを求めていた高校生が、ありのままの自分と向き合って進路を決めるまでをお届けします。

インタビュアー: ゆきち(コーチ)、つね(コーチ)
写真:みゆ(HR高生)
卒業生: こうせい(ICU進学)\

1. ICUに入学して、今

ゆきち:久しぶりだね。引っ越しとか入学でバタバタしていたと思うけど、大学に入ってから、どう?

こうせい:楽しいですよ。最近は寮の歓迎会でニュージーランドの「ハカ」を踊らされています笑 大学では、今まで出会ってこなかった人と出会えるのが面白いですね。全く異なる考えの人たちと話せるし、いろんな角度から自分を見られる気がする。今は自分がやりたいと思えることをやっている感覚があります。

ゆきち:大学行くか悩んでいたけど、実際入ってみて1週間たって、どう?大学行って良かった?

こうせい:良かったかどうかは、終わった後に評価します(笑)。でも楽しいのは確かです。

2. HRに来た理由と、「自分が嫌いだった」こと

ゆきち:こうせいは全日制の高校から、3年生になるタイミングで転校してきてくれたわけだけど、改めて、HRに来ようと思った理由は何だったの?

こうせい:HR高が掲げている教育理念に共感したのが一番大きい理由です。 もともと自分で子どもたちの居場所づくりをする中で、今の教育って知識を入れることが中心で、自分の内面と向き合う時間がないことに課題意識を強く持っていました。その結果、妥協した選択をしてしまって不幸になってしまうことってもったいないなと。 でも、自分が何者で、何をしたら幸福なのかって、なかなか考えられないですよね。HR高はそれができる環境だなと思ったんです。 ここでは「越境」という形でいろんな環境に出会うことができるけど、それって実は外に出ながら自分自身と向き合っているものだと思っています。そのように自分と向き合う機会をたくさん提供してくれる環境を作ろうとする思想に共感したので、ぜひ入りたいと思いました。 この学校にはいることで、自分のことを好きになれるかも、という期待もあったような気がします。

ゆきち:こうせいとは、どんな学びの場を作っていきたいかという議論をしたことも覚えてるなあ。 自分のこと好きになれるかも、か。こうせいは、自分のこと好きじゃないってよく言っているよね。

こうせい:あまり好きじゃなかったですね。今もすごく大好きってわけじゃないんですけど(笑)。自分は醜いし、弱い部分や汚い部分を受け入れられないと思っています。そしてそんな自分と向き合うことが怖かった。 でもやっぱり、自分のことを好きになりたいし、受け入れたいという気持ちはずっとありました。 そんなきっかけをHR高でなら作れるかも、と思ったんです。

3. HRでの時間は、どんな時間だったか

ゆきち:HRの時間はどんな時間だった?

こうせい:今まで出会ってこなかったような子たちと出会えたのが面白かったですね。いわゆる不登校だった子が多いけど、みんな何かを持っています。 コミュニケーションが難しいと自分で感じている子たちが、じゃあ輝かしいものがないのかというとそうじゃない。 言語化できないだけでずっと持っている、キラッとしたものがある。そんな仲間たちと出会えたことが本当に嬉しかったです。

ゆきち:たしかにそうだよね。こうせいはそんな学生のみんなの素敵なところを引き出してくれるような関わり方をしていたことも印象的だったな。こうせいと同じグループになるとみんな活き活きするんだよね笑 仲間との関わりを通して、気づいたこと、覚えてることはある?

こうせい:孤独って、こんなに怖いんだなと実感しましたね。オンラインって、どうしても一人の時間が多くなるじゃないですか。でもHR高のみんなと話している時間は本当に楽しかった。人と話すことで、まだ少し自分を好きになれる自分がそこにいる気がして。その時間が終わると、また一人に戻る。楽しければ楽しいほど、その落差がきつかった。やっぱり僕は、寂しいのが嫌なんだなと気づきました。

ゆきち:その気持ちちょっとわかるなあ。HRは、こうせいの居場所になっていたのかな。

こうせい:そうですね。みんなやコーチとすぐに会える場所がいつもあったことは自分の支えになっていました。自分の悩みにゆきちさんがまっすぐ向き合って話してくれたことで、自分一人がこの悩みを抱えているわけではないということを感じて、それが安心感につながっていたと思います。 自己の本質とはなにか、自分自身が持っているエゴとどう向き合えばいいのか、そんな問いを投げて、まっすぐ返ってくる環境ってよく考えたらありがたいよなあ、と今実感しています。

ゆきち:話せて楽しかったけどね笑。私にとっても、そんな問いを真剣に考える時間はすごく豊かだったなと思ってるよ。

4. 進路の決め方。「鎧を脱いで、残ったものへ」

つね:進路を決めるまで、こうせいは結構悩んだよね。当時、抱えていた悩みを改めて聞かせて。

こうせい:まず、悩んでいたのは「本当に大学に行くのか」ということでした。 僕には「普通になってしまうのが怖くて、明確な希望が欲しい」という自分がいたんです。 例えば海外に行くという選択肢には、「普通とは違う」「自分は特別なんだ」という感覚があって、安心できるじゃないですか。特別であることにすがっていた気がします。特別じゃないと自分じゃないという感覚がすごく大きくありました。

つね:そこからどう変わっていったの?

こうせい:様々な選択肢を検討して、ぶつかってみて、例えば総合型選抜を受けて失敗してしまったことなどを通して、安心できる鎧を一度脱ぎ捨てる1年を過ごしました。 結果、本当に自分がやりたいこと、学びたいことって何なんだろうと考えることになったんです。 純粋な欲求として残ったのが、自分自身と向き合いたい、興味のあることを学んでみたい、いろんな地域で活動してみたいということでした。 そこに一番近かったのがICUだったので、受験しました。

ゆきち:本当に葛藤していたし、よく乗り越えたよね。あの頃、「自分の人生の時間をどう使いたいのか」ということについて1時間半くらい話し込んだこともあったよね。

こうせい:最終的な決定は自分との対話から来ているかなと思うんですが、自分にとってHR高はセーフティネットとしての役割がすごく大きかったです。悩んだ時に「まず連絡しよう」と思えるような、希望の光みたいな存在でした。

つね:希望の光かあ。コーチとの関係性?仲間?空間?何がそれにあたるものだったのかな。

こうせい:コーチですね。僕は友達を作るのが苦手で、人間不信なので。でも、ゆきちさんがいつでもフラットに話してくれることや、HR高の仲間たちを含めた「HR高」という概念みたいなものが、最終的な安全基地のような役割をしてくれていた感じがします。 普段は隠している部分もつい出してしまうような、それでも受け止めてくれるという安心感を持てていたからこそ取ることができたコミュニケーションだったと思います。

5. 後輩へのメッセージ。「自分のことを、見捨てないで」

ゆきち:こうせいが、本当に悩んだ末に自分の道を決められたことが、後輩にとってはすごく勇気づけられると思う。進路に悩んでいる後輩に、伝えたいことはある?

こうせい:受験勉強は本当に大変なことがたくさんあると思うけど、自分の感情をちゃんと見てあげてほしいです。「うまくいかないな」「自分は弱いな」「誰かの期待に応えたいだけで、ここまで頑張る必要あるのかな」、そういう感情はたくさん湧いてくるかもしれない。綺麗に言語化しなくていいから、自分の内側をちょっとだけ見てあげてほしい。 自分のことを好きにならなくていいから。嫌いでもいいから。ただ、見捨てないでいてほしい。それだけです。

ゆきち:受験勉強してるといろいろな日があるもんね。「できなかった日は休めた日だから、明日もっと集中できる、これは未来への投資だ」って言ってくれていたけど、それも同じ発想だよね。日々の自分の揺らぎを受け止めてあげる。

こうせい:そうですね。自分の感情をただ受け止めるということをこの時間の中で身につけられて、本当によかったです。

6. これからの野望

ゆきち:こうせいは「こういう教育を作りたい」というビジョンを持ってHR高に入ってきてくれたと思うけど、改めて環境が変わった今、大学でやり遂げたいことやこれからの野望はある?

こうせい:それが「野望」というものがなくなったんですよね(笑) 野望というよりは、目の前の自分自身と、目の前のその人と向き合い続けることをしていきたいという気持ちです。大きな仕組みをつくりたいとかより、人と対話したい。ただそこにいたい、という感覚です。

ゆきち:なるほどなあ。自分の等身大を受け入れられるようになったことで、また一から始めていこうとしているようにも感じるね。 大学でこうせいがどんなことを感じて、学んで、変化していくのが楽しみだな。

こうせい:どうなるんですかねー。でも今は新しい人と関わって、価値観を知るのが本当に楽しくて。これを積み重ねていった結果、自分がどうなるのか見てみたいです。

ゆきち:本当だよね。また話そうね。いつでも遊びに来てね!

こうせいは「自分とはどうあるべきか」を考えることを、一切妥協しませんでした。鎧を脱いで、それでも残った、自分がだいじにしたいものへ向かう。その選択は、誰かに与えられたものではなく、コーチや仲間との時間の中で、自分自身が手にしたものでした。HR高での時間が、そのきっかけになれたなら嬉しく思います。

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