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2026.02.27

日本の教育の問題点は?制度や海外との違いを教育現場のリアルな声と共に解説【職員インタビュー】

この記事の著者
門間 忍
門間 忍
ライター
「進路に悩む子どもへの正しい接し方 丸わかりBOOK」をLINEで無料ダウンロード
目次
  1. 日本の教育に対して問題だと考えている大人はどのくらい?
  2. 日本の教育の制度
  3. 日本と海外との教育の違い
  4. 日本の教育の問題点
  5. 日本の教育の問題点への対策
  6. これからの日本の教育はどう在るべき?
  7. 通信制高校サポート校「HR高等学院」をご紹介
  8. 最後に

「子どもが学校に行くのを嫌がっている……」

「今の日本の教育制度は、本当に子どもたちのためになっているのか?」

「このままの教育で、子どもの将来は大丈夫だろうか?」

現在の日本の教育についてこのような不安を抱えている保護者は、決して少なくありません。

実際、現場に目を向ければ、いじめや不登校の急増、深刻化する教育格差、そして、子どもたちの学習意欲の低下といった見過ごすことのできない現実が、少しずつ形になって現れてきているからです。

この記事では、日本の教育が抱える問題点について解説するとともに、HR高等学院の職員へのインタビューを通じて、リアルな声をお届けします。


日本の教育に対して問題だと考えている大人はどのくらい?

日本の教育に対する漠然とした不安や不満を抱いているのは、決してあなただけではありません。実際、多くの教育関係者が、現在の日本の教育システムに疑問を抱いています。

文部科学省の諮問機関である中央教育審議会が公表した「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して(答申)」によると、教育専門家らは現在の日本の学校教育が複数の深刻な課題に直面していると指摘しています。

出典:中央教育審議会「令和の日本型学校教育の構築を目指して(答申)」

さらに具体的なデータをひもとくと、教育現場における深刻な実態も見えてきます。まず、令和4年度の全国の小・中学校における不登校児童生徒数は299,048名で、過去最多を記録しました。あわせて、家庭の経済状況や地域による教育機会の差が拡大していることも、深刻な実態として浮き彫りになっています。

また、世界的な学習到達度調査(PISA)では、日本の生徒の学習への意欲が国際平均を下回る結果となり、それをフォローすべき教育現場でも、教員の長時間労働により、子どもたちと真摯に向き合い、質の高い教育を提供することが困難になっている現状が明らかになっています。

これらのデータが示すように、「日本の教育は今のままではいけない」という思いは国内に広がっており、具体的な改革が求められています。

出典: 文部科学省「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」

出典:内閣府「教育・生涯学習に関する世論調査(令和5年)」

日本の教育の制度

日本の教育の問題点を理解するためには、まず現在の教育制度の全体像を把握することが重要です。

日本の教育制度は、「6・3・3・4制」と呼ばれる体系で構成されています。小学校6年間、中学校3年間が義務教育とされ、その後高等学校3年間、大学4年間(短期大学は2年間)という流れになっています。

この制度は、1947年に教育基本法が制定されて以来、基本的な枠組みはずっと変わっていません。

こうした一斉教育を行う多くの学校では学年制が採用されており、各学年で定められた科目を履修し、進級・卒業の要件を満たす必要があります。一方、通信制高校や一部の高等学校では単位制が採用されており、大学と同じように、必要な単位を取得すれば卒業できるため、自分のスタイルに合わせて自分らしく学べる柔軟さが魅力です。

日本の教育課程には、他にもいくつかの特徴的な側面があります。まず、学習指導要領により全国で統一された内容を学習する画一的なカリキュラム がある点です。

また、暗記や反復学習が中心となりがちな知識重視の傾向、協調性や規律を重んじる集団行動の重視、そして高校・大学受験に向けた学習が優先される受験中心の学習という特徴もあります。

この制度は、戦後日本の高度経済成長を牽引する、勤勉で質の高い人材を輩出するための大きな原動力となりました。 しかし、デジタル化やグローバル化により、社会が求めるスキルは大きく変化しました。これに伴い、かつての高度経済成長期に最適化された「全員が同じ内容を同じペースで学ぶ」画一的な教育スタイルは、現代の社会構造と乖離しつつあります。

出典:文部科学省「学校教育制度の概要」

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日本と海外との教育の違い

日本の教育の問題点をより明確にするために、海外の教育システムと比較してみましょう。

フィンランドの教育制度

フィンランドは、PISA(国際学習到達度調査)で常に上位にランクインする教育先進国です。フィンランドの教育現場においては、1クラス20人以下という少人数制が徹底されています。

また、過度な負担をかけず学ぶ楽しさを重視するため、宿題やテストの量が少ないことが特徴です。教員には修士号が必須とされ、教員の社会的地位が非常に高く、専門性も高く保たれています。

さらに、生徒一人ひとりのペースに合わせた個別対応が充実しており、成績順位をつけずに協力的な学習環境を重視する文化があります。競争よりも協力を大切にするこうした姿勢が、フィンランド教育の大きな特徴となっています。

アメリカの教育制度

アメリカの教育は、州や学区ごとに大きく異なりますが、共通する特徴がいくつかあります。まず、様々な背景を持つ生徒への配慮として多様性が尊重されています。また、暗記よりも分析力や思考力を育成する批判的思考が重視され、個人の能力に応じた進級が可能な飛び級・落第制度が存在します。

スポーツ、芸術、ボランティアなどの課外活動が充実しており、これらは教育の重要な一部と考えられています。大学入試においても、テストの点数だけでなく、エッセイや課外活動も評価される多面的な評価システムが採用されています。

オランダの教育制度

オランダは「イエナプラン教育」などの先進的な教育手法で知られています。異なる年齢の子どもが一緒に学ぶ異年齢学級が特徴的で、子ども同士の対話を通じた学びが重視されています。

また、自分で学習計画を立てる力を育成する自律性の尊重、保護者が教育方針に合った学校を選べる学校選択の自由が保障されています。

出典:東京学芸大学リポジトリ「オランダ王国の小学校におけるインクルーシブ教育の実際」

日本との主な違い

これらの国々と比較すると、日本の教育には顕著な特徴があります。それは、海外では個別化や多様化が進んでいるのに対し、日本は全国統一の画一的なカリキュラムを維持している点です。また、批判的思考や創造性の育成が相対的に弱く、知識偏重の傾向があるといえるでしょう。

こうした「学びの内容」の違いは、評価のあり方や先生を取り巻く環境にも現れています。例えば、多角的な視点から個々の能力を評価する海外に対し、日本では今なおテストの点数を絶対視する受験競争が主流となっています。

さらに、海外の教員は授業以外の業務が少なく教育の質に専念できる環境があるのに対し、日本の教員は多忙で、本来の教育活動に十分な時間を割けない状況にあります。

これらの違いは、それぞれの国の文化や社会背景を反映したものではありますが、グローバル化が進む現代においては、日本の教育システムにも変革が求められています。

出典: OECD「Education at a Glance 2024: 日本(日本語版)」

日本の教育の問題点

ここからは、日本の教育が抱える具体的な問題点を、データや事例を交えて詳しく見ていきましょう。

教育格差

教育格差とは、家庭の経済状況、地域、社会的背景などによって、受けられる教育の質や機会に差が生じる現象です。現在の日本では、この教育格差が深刻化しています。

文部科学省の調査によれば、世帯年収が高い家庭の子どもほど、学力テストの正答率が高い傾向が明確に示されています。例えば、全国学力テストの結果分析では、世帯年収1,500万円以上の家庭の子どもと200万円未満の家庭の子どもでは、正答率に約20ポイントの差があることが分かっています。

こうした状況が生まれる背景には、いくつかの理由が重なっています。例えば、例えば、公立小学校の平均的な学校外活動費は21万円程度ですが、所得水準の高い家庭ではこれより多く支出される傾向があります。

こうした格差は、子どもの学習塾や習い事への参加機会の違いとして現れ、学力や進学機会に影響する可能性があります。

出典:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査結果のポイント」

また、自分専用の勉強部屋、学習教材、インターネット環境などの学習環境の差も影響しています。加えて、こうした環境面だけでなく、保護者の経済力や時間的ゆとりが、家庭での教育格差を広げる大きな要因となっているのです。

さらに、「どこに住んでいるか」という地域的な要因も無視できません。都市部では多様な学校や塾を選択できますが、地方では選択肢が限られます。また、地方では教員不足が深刻化しており、教員の質と数にも地域差が生じています。加えて、最新の教育情報や進路情報の入手についても、都市部と地方では大きな差があるのです。

このような学びの格差は、子どもの将来の選択肢を奪ってしまうことにもつながりかねません。それだけに、いまや社会全体で真剣に向き合っていかなければならない大きな課題となっています。

出典: お茶の水女子大学「平成29年度全国学力・学習状況調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究」

いじめや不登校

いじめと不登校は、日本の教育が直面する最も深刻な課題の一つです。近年、その数は増加の一途をたどっています。

文部科学省の調査によると、小・中・高等学校及び特別支援学校におけるいじめの認知件数は約76万9千件(769,022件)で、過去最多を更新しました。また、重大事態の発生件数は1,405件で、これも前年度を上回り過去最多となっています。

中でも、インターネット上のいじめは約2万4千件にのぼり、前年度よりさらに増加しています。

この背景には、SNSなどでのやり取りは周囲の大人から見えにくいため、発見が困難になっているという現実があります。

不登校の状況も深刻なものがあります。小・中学校における不登校児童生徒数は約35万4千人(353,970人)で、前年度比約7千人増加し、これも過去最多を記録しています。不登校の割合は小学校で1.7%、中学校で6.0%に達しています。さらに、不登校児童生徒の約半数が90日以上欠席している状況にあります。

こうした不登校の要因は複雑で多岐にわたります。また、いじめや学業不振、対人関係の悩みといった学校での問題だけではありません。家庭環境や経済的な困窮、さらには起立性調節障害などの身体的な疾患も大きく影響しています。このように、複数の背景が重なり合っているのが実情です。

こうした教育現場の現状について、教育評論家の親野智可等さんは、弊校HR高等学院の山本将裕氏(CEO)と共同設立者である成田修造氏運営する「非常識な職員室」YouTubeチャンネルにおいて、「不登校の子どもたちの多くは、学校に行きたくないのではなく、行けない状況にある」 と指摘しています。

いじめや不登校への対応には、早期発見・早期対応が重要です。しかし、現在の学校システムでは、一人ひとりの学生に十分な時間を割くことが難しく、問題が深刻化してから発覚するケースも少なくないのが現状だといえます。

出典: 文部科学省「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」

学習意欲の低下

日本の子どもたちの学習意欲の低下も深刻な問題のひとつです。

OECD(経済協力開発機構)が実施する国際学習到達度調査(PISA)の結果からも、この傾向が明確に示されています。これによると、「学校で学ぶことは将来の仕事に役立つ」と考える生徒の割合は、日本では52%にとどまり、OECD平均の69%を大きく下回っています。また、学習へのモチベーションに関しても、日本は参加国中、下位グループに位置しています。

学習意欲が低下している背景には、複数の要因があります。ひとつは、学びが日常生活や将来から切り離され、意義を感じにくくなっていることです。 一方的な講義を聴くだけのスタイルでは主体性が生まれにくく、さらに偏差値重視の激しい受験競争が、子どもたちの心から『知りたい』という純粋な好奇心を奪ってしまっている現状があります。

また、失敗を怖がるあまり、自分からチャレンジしようと思えなくなっている現状もあります。 加えて、一人ひとりの興味に関係なく進む決まりきった学習内容も、子どもたちが「やらされている感」を持ってしまう一因になっています。

このように、子どもたちの学習意欲の低下は、単に学力の問題だけにとどまりません。自ら学び、考え、行動する力は、変化の激しい現代社会を生き抜く上で不可欠です。学習意欲が低いままでは、子どもたちの将来の可能性が狭まってしまう恐れがあるといえるでしょう。

出典: OECD「Education at a Glance 2024: 日本」(図表でみる教育2024年版)

出典: 国立教育政策研究所「PISA2022 主要3分野の調査結果概要」

教員の数と質

教員不足と教員の多忙化も、教育の質に直接影響する深刻な問題です。

全日本教職員組合の調査によると、2024年時点で全国の教職員未配置数は4,615人に達し、過去最多を記録しています。特に地方や離島などでは不足が深刻で、教員免許を持たない者が臨時免許状で教壇に立つケースも増加しています。

出典:全日本教職員組合「教育に穴があく(教職員未配置)」実態調査結果

さらに、日本の教員の労働時間は、国際的に見ても極めて長いことが知られています。OECD「国際教員指導環境調査(TALIS)2024」によると、日本の教員の1週間あたりの労働時間は小学校で52.1時間、中学校で55.1時間となり、参加国中最長となっています。さらに、授業準備、事務業務、課外活動などの授業以外の業務時間も国際平均より長い状況が続いています。

このように日本の教員が多忙な理由には複数の要因があります。土日も含めた長時間の部活動指導、報告書作成や会議などの事務作業、相談や連絡、トラブル対応などの保護者対応、いじめや不登校などへの生徒指導など、授業以外の業務が膨大になっているのです。

こうして教員たちが心身ともに余裕を失うことで、そのしわ寄せは授業の質や子どもたちへの対応へと、負の連鎖となって広がっています。まず、授業準備の時間が足りなくなることで、質の高い授業を行う余裕が失われます。

同時に、子どもたちと向き合う時間も削られ、一人ひとりに寄り添った相談や指導が難しくなっています。さらには、自身のスキルを磨く研修の時間さえ取れず、過度の負担から心の健康を崩して休職する教員が増えているのも深刻な現状です。

このような状況では、どれだけ熱意のある教員でも、一人ひとりの生徒に十分な指導を行うことは困難です。教員の働き方改革と人員確保は、教育の質を守る上で喫緊の課題となっています。

出典: 文部科学省「令和4年1月『教師不足』に関する実態調査」(PDF)

出典:国立教育政策研究所「我が国の教員の現状と課題 – TALIS 2024結果より –」)

情報化への対応の遅れ

デジタル化が急速に進む現代社会において、日本の教育現場のICT活用は、国際的に見て大きく遅れていると指摘されています。

文部科学省は2019年に「GIGAスクール構想」を打ち出し、児童生徒1人1台の端末配備を進めました。その結果、2022年3月末(2021年度末)には、全国の小中学校でほぼ100%の整備を達成しています。しかし、大切なのは「端末を配備して終わり」ではないということです。

事実、最新の調査結果からは、ハード面が整った一方で、ソフト面の活用が追いついていない実態が見えてきます。PISA 2022の調査によると、日本の学校でのICT活用には深刻な課題があるといわれています。それは、授業でのデジタル機器の使用頻度がOECD加盟国中最低レベルで、学校外でのデジタル機器の学習利用も参加国中最低レベルとなっていることです。

この背景には、教員へのバックアップ体制が整っていないという深刻な問題があります。そのため、教員のICTスキルが十分でなく、効果的な活用ができていない状況となっているのです。

こうした情報化への対応の遅れは、様々な問題を引き起こしています。

国際学力調査PISAでは、日本の生徒は読解力などで世界トップレベルの成績を維持している一方で、授業や宿題でのICT利用はOECD平均に比べて大幅に低いことが指摘されています。

出典:koedo「世界の15歳の学力比較(PISA2022)、日本は3分野すべてで世界トップレベル維持、ICT利用率は?」

また、総務省の調査では、デジタル化が進まない要因として「利用者のリテラシー不足」が大きな課題と認識されており、学校現場でもICTを活用した学びやネットリテラシー教育の一層の充実が求められています。

出典:本格的なデジタル社会の実現に向けたデジタル・リテラシーとは

また、オンライン学習など多様な学び方が選択できず、学習スタイルが限定されることや、ICT環境の整備状況により、地域や学校間で差が生じ教育格差が拡大することも大きな課題の一つです。

このような課題が図らずも浮き彫りになったのが、数年前のパンデミックでした。新型コロナウイルス感染症の拡大により、急遽オンライン授業が必要となりましたが、多くの学校で混乱が生じ、システムの不備、教員のスキル不足、家庭のネット環境の差など、様々な問題が顕在化したのです。

今後、社会のデジタル化はさらに加速します。子どもたちが将来活躍するためには、学校教育においてもICTを効果的に活用し、デジタル時代に必要なスキルを育成することが不可欠です。

出典: 国立教育政策研究所「PISA2022 主要3分野の調査結果概要」

制服などのきまり

近年、厳しすぎる校則や不合理な決まりが、学生の人権や個性を抑圧しているということで問題視されています。

その一つが、生徒の自由や人権を過度に縛る「ブラック校則」です。地毛の黒染め強制や髪型の制限、さらには下着の指定まで、プライバシーを侵害し人権を軽視するような不条理なルールが今も根強く残っています。また、学校指定以外の防寒着を認めないといった、子どもの健康を損なう恐れがある制限も少なくありません。

こうした厳しすぎる校則は、子どもたちの成長にさまざまな影を落とします。まず、個性を否定されることで自己肯定感が下がり、さらに「従うだけ」の習慣が、自分で考える力を奪ってしまいます。このようなおかしな校則を当たり前だと思ってしまうと、自分らしくいることや、自分の思いを大切にする感覚が薄れてしまう恐れがあります。さらに、厳しすぎる管理体制が子どもたちの精神的な負担となり、深刻なストレスを生んでいる点も見過ごせません。

こうした実態を踏まえ、文部科学省は2021年、「校則の見直し等に関する取組事例について」を公表し、校則の見直しを促しています。また、一部の学校では、生徒自身が校則の見直しに参加するなど、改革の動きも見られます。

しかし、世の中の考え方や暮らしがどんどん新しくなっている一方で、学校の中には、昔決まったルールがそのまま残っているケースが見受けられます。今の私たちの生活感覚や、一人ひとりを尊重する考え方から見ると、「どうしてこのルールが必要なのかな?」と説明に困ってしまうような校則が、今も運用されているのが実情です。

出典: 文部科学省「校則の見直し等に関する取組事例について」

日本の教育の問題点への対策

ここまで見てきた問題点に対して、国や教育現場ではどのような対策が進められているのでしょうか。

社会に開かれた教育課程

文部科学省は、2017年・2018年に改訂された学習指導要領において、「社会に開かれた教育課程」の実現を掲げています。

この理念に基づき、教育現場では従来の一方的な講義形式から、生徒が主体的に学び、対話を通じて深く理解する学習スタイルへの転換が進められています。

これは「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)」と呼ばれるもので、グループワークで協力して課題に取り組んだり、ディスカッションで自分の意見を表現し他者の意見を聞いたり、探究学習で自ら課題を設定し調査・考察したり、プロジェクト型学習(PBL)で実社会の問題に取り組んだりする学習方法です。

これにより、知識の暗記だけでなく、思考力・判断力・表現力を育成することが目指されています。

また、学校だけで完結せず、地域や企業、大学などと連携した教育も推進されています。職場体験やインターンシップといったキャリア教育、地域の課題解決に取り組む学習としての地域との協働、専門家による授業や講演といった外部人材の活用が進められています。

こうした転換により、「学んだことが社会でどう役立つのか」を実感でき、学習意欲の向上につながることが期待されています。

出典: 文部科学省「学習指導要領の趣旨の実現に向けた 個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実(参考資料)」

教育格差対策

教育格差を解消するために、現在、国や自治体では様々な対策を講じています。

まず、教育への投資拡大としては、高等学校等就学支援金制度や高等教育の修学支援新制度による教育費の無償化・軽減や、生活困窮世帯の子どもへの無料塾や学習教室といった学習支援事業、給付型奨学金の拡充などの奨学金制度の充実が進められています。

また、地域格差への対応としては、オンライン授業により地域による教育機会の差を縮小するICTの活用、地方や離島への教員配置の支援といった教員の配置改善、専門的な授業を遠隔で受講できる環境整備としての遠隔教育が推進されています。

加えて、貧困の連鎖を断ち切るため、早期からの支援が重要視されています。幼児教育・保育の無償化による就学前教育の充実、スクールソーシャルワーカーの配置拡充など学校を拠点とした支援、保護者向けの相談窓口や支援制度の周知といった家庭への支援が強化されているのです。

これらの対策により、すべての子どもが家庭の経済状況に関わらず、質の高い教育を受けられる環境づくりが進められています。

出典:こども家庭庁「子供の貧困対策」

教員の働き方改革

教員の多忙化を解消し、教育の質を向上させるため、働き方改革が進められています。

たとえば、現場では業務効率化と負担軽減として、休日の部活動を地域のスポーツクラブ等に移行する部活動の地域移行や、成績処理や出欠管理などのデジタル化によるICTの活用、事務作業を支援する職員の配置であるスクール・サポート・スタッフの配置、不要な業務や会議の削減といった業務の精選が進められています。

加えて、教員が授業や子どもたちとの時間に専念できる環境づくりを進めることで、より質の高い教育を届けるための専門性アップも図られています。まず、研修時間を業務内に確保することで、先生が常に学び続けられる環境を整えています。

また、教員を増やして少人数クラスを実現することで、子ども一人ひとりに寄り添った指導が出来る体制を目指しています。さらに、スクールカウンセラーなど、心のケアを担う専門スタッフの配置も進められています。

これらの改革により、教員が本来の業務である「教育」に集中できる環境を整え、結果として子どもたちへの教育の質を高めることが期待されています。

出典:文部科学省「公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針」

ICT教育の活用

GIGAスクール構想の推進により、ICT教育の環境整備と活用が進められています。

1つ目は、全国の小中学校でほぼ完了した「1人1台のタブレット端末」の配備です。2つ目は、それらをスムーズに使うための「校内Wi-Fi(高速ネットワーク)」の充実です。そして3つ目が、紙の教科書とあわせて活用する「デジタル教科書」の導入が進められています。

また、新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえ、オンライン授業の体制整備も進んでいます。対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド型授業、自宅からオンラインで授業に参加できる環境による不登校児童生徒への支援、入院中でも学習を継続できる仕組みとしての病気療養中の生徒への対応など、一人ひとりの状況に合わせた多様な学びの選択肢が整備されています。

加えて、デジタルツールの活用も広がっています。AIドリルなど一人ひとりの習熟度に応じた個別最適な学びや、オンラインホワイトボードや共同編集ツールを活用した協働的な学び、プログラミング教育や情報モラル教育といった情報活用能力の育成も進められているのです。

こうしたICT教育の推進により、時間や場所にとらわれない柔軟な学びが可能になり、子どもたちの学習スタイルの選択肢が広がっています。

出典:文部科学省「GIGAスクール構想の実現に向けた整備・利活用等に関する調査結果」

出典:文部科学省「令和8年度GIGAスクール構想・学校DX関係予算概算要求の概要(抜粋)」

出典:文部科学省「学校のICT環境整備3か年計画(2025~2027年度)」

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これからの日本の教育はどう在るべき?

ここまで、日本の教育の問題点と対策について見てきました。しかし、実際の教育現場では、どのような取り組みが行われているのでしょうか。

通信制高校サポート校「HR高等学院」で、日々学生たちと向き合っている運営スタッフに、日本の教育の問題点と、これからの教育の在り方についてインタビューしました。

恒弘 大輔(つねさん)HR高等学院事業部 事業本部長daisuketsunehiro

早稲田大学教育学部卒。2018年に株式会社トライグループに入社。家庭教師事業・個別教室事業を中心に新規事業開発責任者、事業戦略、マーケティング、拠点拡大、採用育成など幅広く従事。累計1,000名を超える家庭の教育コンサルティングと課題解決を行う。

もっと世界のさまざまな教育を学びたいという思いから、2023年同社を退職し教育をテーマに世界一周を行い、5大陸53カ国を旅する。各地の教育機関や学校を訪れたり、開戦直前のイスラエル/パレスチナ、アフリカの貧困などさまざまな国のリアルを目の当たりにする中で、「これからの世代の子どもたちに本当に必要な学びは何か」を先進国・途上国の子どもたちから学ぶ。

非認知能力やキャリアへの探究心を育てる未来の教育の姿に共感し、2024年株式会社RePlayceに参画。HR高等学院の立ち上げを担当。

日本の教育の問題点は何だと考えますか?

――過去に5大陸53カ国を旅し、世界各地の教育機関や学校を訪れたつねさんの目から見て、日本の教育の問題点はどこにあると思いますか?

私は大きくわけて2つの問題点があると考えています。それは評価軸の少なさと体験機会の不足です。

まず1つめは、「子どもたちの良さを認めてあげられる評価軸(物差し)が少ない」ことです。多くの学校では、テストの点数や部活動の成績といった、ごく限られた基準だけで子どもたちを評価しています。

そのため、たとえ子どもたちがプログラミングや絵、会話といった、多様な才能を持っていたとしても、なかなか認められず、自信を失ってしまいやすい環境に置かれています。

2つめは、「多様な体験をする機会が圧倒的に不足している」ことです。

文部科学省の調査によれば、日本の高校生でコロナ前の2017年に留学をしている数は、わずか1.43%です。

出典:文部科学省「共創のための 留学生モビリティ拡大の方向性」

このように、子どもが100人いれば100通りの個性があるのに、それを試す選択肢や未知の世界に触れる機会が極めて限られているのが現状なのです。

数ある問題点の中でも最優先で対応すべき内容は?

――多くの日本の教育問題のなかでも、「これはまっさきに取り組むべきだ」と思う課題はなんですか?

強いていえば、2つ目に挙げたさまざまな体験の機会を増やすことが最優先だと考えます。 こうした機会が増えれば、学校外でも自分を認めてもらえる環境を発見しやすくなるからです。

理想を言えば、幼児期や小学生の頃からさまざまな経験を積むべきですが、自らの将来を自覚し、自分の足で生きていくために機会を探そうと思えるタイミングは高校生であるため、この時期に多様な選択肢があることがとても重要なのではないでしょうか。

いじめや不登校だった生徒に対してのHR校での対応は?

――HR校では約8割の学生が過去に不登校を経験していますが、そのような学生たちに対してどのような対応を心がけていますか?

過去にいじめや不登校を経験した学生たちに対しては、「存在承認」と「成長テーマの設定」の2つのステップ を大事にしています。

まずは、これまで否定され続けて心のエネルギーが切れてしまった状態を丸ごと肯定し、「どんなあなたでも愛するよ」というメッセージを学生たちに伝えます。 そうすることで、学生が「ここにいていいんだ」という安心感を抱き、HR高等学院が自分の居場所であることを実感できるよう、サポートします。

そして心の安心の土台ができたところで、次に、本人の好奇心に基づいた「チャレンジの種」を一緒に探します。 注力したいテーマを決め、無理のない小さな一歩(ベイビーステップ)から伴走していくのです。

また、引きこもり状態にある学生に対しても、たとえば「10時間ゲームができる集中力はすごいよね!」とポジティブな変換を交えたコミュニケーションを(保護者の方のご協力のもと)スピーカー越しに届けることで、本人が「この人なら話を聞いてもいいかも」と思えるきっかけづくりをサポートしています。

ICT教育についてHR校で行っている事例を教えてください。

――HR校ではどのようなICT教育を実施していますか?

本校では全ての授業でGoogleスライドを使用し、生徒全員が同じ画面を共有して、リアルタイムで意見を出し合いながら1枚の資料を作り上げていく参加型の授業を採用しています。また、メタバース上のバーチャルキャンパスも設けており、オンラインで学習を完結させることも可能です。

加えて、全学生にPC持参を必須とすることで、日常的に高いITリテラシーが身に付けられる環境を整えています。

教員の質や数が問題となっていますがHR校の現状は?

――現在、全国的に教員の質や数が問題となっており、特に地方では教師不足が大きな問題になっていますが、HR校における教員採用の現状はどんな感じですか?

現在、本校のコーチ(教員)の採用倍率は約100倍に達しています。特に採用の呼びかけはしていませんが、当校のYouTubeチャンネルなどで発信している教育理念に共感した、熱意ある優秀な人材が全国からどんどん集まってくれている状況です。

採用時には、教員経験だけでなく、海外経験や異業種でのキャリアなど、「多様な世界を見てきた大人」であることを重視しています。 そうした大人が伴走することで、子どもたちに多様な選択肢を提示できると考えるからです。

HR校が目指している教育を教えてください。

――HR校が目指す教育の姿とはどんなものですか?

HR高等学院が目指す教育の姿は、「存在承認を最優先とする2ステップの教育」と「多様な物差しと機会の提供」という2つの柱で表すことができます。

1つめは「存在承認を最優先とする2ステップの教育」です。なによりもまず、学生の存在を丸ごと肯定し、その上で、本人の好奇心に基づくチャレンジの種を一緒に探し、個別の成長テーマを設定していきます。

2つめは、「多様な物差しと機会の提供」です。現在のテストの点数や部活動の実績といった限られた評価軸だけでなく、個々の良さを認められる物差しを増やすことを模索しています。

あわせて、新しい世界に触れる機会を多く作ることで、「どこであれば自分の力を発揮できるか」を自分自身で探していけるような環境づくりを目指しています。

社員の方が実際に感じるHR校生徒と他の学校の生徒・保護者の違いは?

――運営メンバーとして日々、多くの学生や保護者と接するなかで、「HR校の学生や保護者はここが違う!」と感じることはありますか?

HR校の学生と保護者に共通しているのは、現状を嘆くのではなく、前に進もうとする強いエネルギーを持っているという点です。

まず、学生についてですが、通信制高校という選択を「全日制に行けなかったから」という妥協の結果ではなく、「高校時代を実りあるものにしたい」「もう一度頑張りたい」「自分に自信を持ちたい」という、前に進もうとする強いエネルギーを持っている生徒が多いのが特徴です。

実際に、入学当初は引きこもり状態からのスタートだったとしても、他者を肯定的に受け止めるコミュニケーションに触れることで、自らプロジェクトを推進したり、海外留学を志すほどのポジティブなスパイラルに入っていく学生もいます。

保護者に関しては、不登校を経験した子どもの保護者の多くが、当初は「自分の教育や接し方が悪かったのではないか」と自らを責め、心を痛めておられるケースが多く見られます。

そうした葛藤を抱えながらも、根底にあるのは、「もう一度自信を取り戻してほしい」「楽しく学校生活を送ってほしい」という、切実な親心です。

そこから、子どもの心の回復や、前を向くためのポジティブなきっかけを非常に強く願ってHR高等学院を選ばれており、まずは保護者だけで勇気を出して学校説明会に足を運ばれることも少なくありません。

こうしてHR高等学院との関わりが始まると、次第に今の状態をただ嘆くのではなく、「この子によりマッチする環境を一緒に探して行こう」というより前向きな意識へと切りかわっていく傾向が見られます。

通信制高校サポート校「HR高等学院」をご紹介

ここまで、日本の教育の問題点と、HR高等学院での具体的な取り組みについてお伝えしてきました。

「うちの子に合った学校はないだろうか......」
「不登校だったけど、また学校生活を楽しめるだろうか......」

そんな思いを抱えている保護者や学生の皆さんには、通信制高校サポート校「HR高等学院」が一つの選択肢となるかもしれません。

同じ経験を持つ仲間と「安心感」を共有できる

HR高等学院では、学生の約8割が過去に不登校を経験しています。同じような経験をした仲間がいることで、「自分だけじゃない」と感じられ、その安心感がなによりの心の居場所となるでしょう。

また、入学選考では、過去の出席日数や学力は一切問われず、「これまで」ではなく「これから」を大切にしています。ここではどんな背景を持つ生徒も、新しいスタートを切ることができるのです。

自分のペースで選べる「自由な学習スタイル」

HR高等学院では、完全オンラインから週5日通学まで、自分のペースに合わせて学習スタイルを自由に選択できます。

自宅でライブ授業やオンデマンド授業を受ける完全オンライン型、週1日から週5日まで自分のペースで通学日数を決める通学型、そして通学とオンラインを組み合わせるハイブリッド型など、無理なく学べる環境が整っています。

企業の課題に挑む「プロジェクト型学習」も充実

実際の企業と連携し、リアルな課題に取り組むプロジェクト型学習も実施しています。

MIXIとのゲーム企画・開発プロジェクト、ロッテとの新商品企画プロジェクト、NTTドコモとのデジタルサービス企画プロジェクトなど、「学んだことが社会で役立つ」ことを実感でき、学習意欲が高まります。

また、企業の方々から直接フィードバックをもらえる貴重な経験となります。

専属コーチによる「きめ細かな個別サポート」

当校では、一人ひとりに専属のキャリア探究コーチがつき、月2回の個別面談を通じて、学習面だけでなく、生活面、心理面、進路についても丁寧にサポートします。「今日は学校に行きたくない」「将来が不安」「友達関係で悩んでいる」といった、どんな小さな悩みも気軽に相談できる存在がいます。

多様な夢を形にする「幅広い進路選択」が可能

卒業生の進路も多様です。国内外の大学へ進学する大学進学、専門的なスキルを学ぶ専門学校、企業への就職やインターンシップからの採用といった就職、在学中に起業する生徒もおり、一人ひとりの夢に合わせて、最適な進路をサポートします。

そんなHR高等学院のコンセプトは、「ワクワク、奪還。」です。過去の学校生活で失ってしまった「ワクワク」を、もう一度取り戻す。学ぶことの楽しさ、挑戦することの面白さ、仲間と過ごす時間の大切さ。そんな「ワクワク」を、HR高等学院で見つけてほしい。それが、私たちの願いです。

「通信制高校ってどんなところかな?」「どんな雰囲気なんだろう」

そんな疑問や不安をお持ちの方は、まずはオンライン説明会・個別相談会に参加してみませんか? 自宅から参加できるので移動の負担がなく、子どもの状況に合わせた個別相談も可能です。在校生や職員の話を聞くことで、よりリアルな学校の雰囲気を知ることができます。

説明会では、HR高等学院の教育内容、登校スタイル、進路実績などを詳しくご説明します。また、在校生や卒業生のインタビュー動画もご覧いただけます。子どもの未来のために、まずは一歩を踏み出してみませんか?

通信制高校の学びをより充実させたい方には、サポート校のHR高等学院を活用するのがおすすめです。HR高等学院では、ビジネス・アート・テクノロジーなど社会で活きるスキルを学びながら、企業のプロジェクト参加や起業体験、商品開発といった実践的な活動に挑戦できます。

また、「失敗は挑戦の証」という考え方を大切にし、安心してトライ&エラーできる環境が整っています。中学時代に不登校だった方や、自信を取り戻したい方にも適しています。

まずは説明会個別相談会で、学校や授業の詳細、通信制高校全体の仕組み、子どもの将来に関する不安などをご相談ください。一人ひとりに寄り添い、最適な学びの形をご提案します。

最後に

現在の日本の教育には、格差や不登校、教員の多忙化など多くの課題があります。しかし、同時に改善への取り組みも少しずつではありますが着実に進んでいます。また、現在は通信制高校やサポート校など、無理に「普通」に合わせなくても自分らしく学べる選択肢も広がっています。

「みんなと同じ学校に毎日通学する」ことが正解とは限りません。子どもの個性やペースを大切にし、本人の意思を尊重しながら、未来を一緒に考えてみてください。この記事が、子どもの未来を考えるきっかけとなり、より良い選択をするための一助となれば幸いです。

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この記事の著者
門間 忍
門間 忍
ライター
金沢大学文学部卒業後、印刷会社で編集ディレクターとして勤務。結婚・出産を経て、子供の幼稚園入園を機にライターとして独立。 公立小中学校でのPTA役員経験等を通じ、30年前から変化のない学校現場の現状に直面。さらに、わが子のいじめや不登校という困難を「当事者の親」として経験する。 現在は、自身の体験に基づく深い洞察と、編集者時代に培った「対話から本音を引き出すインタビュー力」を強みに執筆活動を展開。母親としての等身大の視点を大切にしながら、「取材対象者の想いを丁寧に汲み取り、わが子に胸を張って読ませることができる文章」を届けることを信念としている。なお、当のわが子は、ライターよりデザイナーになりたい模様。
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