全日制高校ではなく、通信制高校か定時制高校に行こうと思っている学生や保護者の方は、どちらを選べばいいのか迷いますよね。
通信制と定時制高校には、どのような違いがあるのかよくわからず困っている方もいるかもしれません。
本記事では、定時制・通信制・全日制高校の違いや定時制・通信制高校のメリット・デメリットなどを解説します。
どの高校を目指すか迷っている方は参考にしてください。
定時制高校とは?
定時制高校は、毎日決まった時間に登校して学習する制度を取っている高校です。授業を受ける時間は「午前中のみ」「午後から夜にかけて」「夜間に通学」など、学校やコースによって異なります。
多くの定時制高校では「1時限約45分〜50分」「1日4時限」と設定されています。1日の授業時間が短いため、自由に過ごせる時間が多いのが特徴です。
卒業に必要な単位の取得には3年以上かかることが多く、ほとんどの学生は4年間在籍して卒業します。ただし、履修上無理がなければ3年間で必要な単位を取得し、卒業することも可能です。
以前は働きながら通学するイメージが強かった定時制高校ですが、近年では不登校を経験した学生や全日制高校の中途退学者なども多く通うようになっています。
また、朝起きられない学生が、午後や夜間に通学する目的で通学しています。
学ぶ時間が短い点から、徐々に学校生活に慣れていけるため、学生の自立支援の意味でも役立っているのです。
通信制高校とは?
通信制高校は、学校に毎日通う必要がない高校で、通学が難しい学生に選ばれています。郵送やインターネットなどを活用して、学習に取り組みます。
毎日通う必要はないとはいえ、全く通学しないわけではありません。通学の頻度は学校によって異なっており、学生の希望に応じて学校に通う頻度を選べる高校もあります。
3年以上の在籍が必要ですが、もちろん必要な単位を取得できれば、3年ぴったりでの卒業も可能です。
また、自宅での学習が中心であり、単位の取得も比較的簡単なので自分のペースで学習を進められます。
通信制高校を卒業すると、全日制高校を卒業した学生と同じく、高卒の認定を受けられます。最終学歴が中学卒業より、高校卒業の方が社会に出たときに有利になるため、通信制高校を卒業しておくことがおすすめです。
「不登校で学校に行けていない」「中学までの授業についていけなかった」といった学生は、通信制高校を目指すのもよいでしょう。
全日制高校とは?
全日制高校は、朝から登校して1日5〜6時間の授業を受ける高校です。1年間で約200時間の授業があり、3年間で卒業となります。
クラス全体で、同じ時間帯に同じ授業を受けることがほとんどです。
1年間で進級に必要な単位が決まっており、クリアできれば2年生・3年生と進級できます。
全日制高校には「規則正しい生活を送れる」「多くの人と関われる」「行事を楽しめる」などのメリットがあります。
朝きちんと起きられて、友達と一緒に頑張りたい人は、全日制高校を選びましょう。
定時制・通信制・全日制の違いとは?
定時制・通信制・全日制高校の違いを、以下の5点から説明します。
- 入学・転入・編入・卒業時期
- 入学試験
- 費用
- 学習方法・教科
- 登校日数・時間帯
それぞれの違いを理解して、高校選びの参考にしてください。
入学・転入・編入・卒業時期
定時制・通信制・全日制高校の、一般的な入学・転入・編入・卒業時期は、以下の通りです。
定時制・全日制高校は、基本的に4月からの入学しか受け付けていません。通信制高校は10月からでも受け付けており、学校によってはいつでも入学できるところもあります。
転入・編入時期は、定時制・全日制高校だと学期末・年度末などの受け入れ態勢が整っている時期にしか対応していません。通信制高校はいつでも入学できます。
卒業時期は、定時制・通信制高校の場合、3年以上通った後卒業に必要な単位を取得した上で卒業式を迎えた頃です。全日制高校の場合は、入学から3年後の3月です。
入学試験
全日制高校や定時制高校の場合、学科試験があります。必要な教科数は、主に5教科の学校と、3教科の学校の2種類があります。また、定時制高校の場合、面接が必要です。
一方、通信制高校には学科試験がなく、書類選考と作文、面接のみで入学できます。
学科試験がない分、試験を用意する必要がないため、定時制高校は入学・転入・編入の時期が比較的自由になっているのです。
不登校で学校に行けておらず、勉強に不安を抱えている学生は、学科試験がない通信制高校を目指すのもよいでしょう。
費用
定時制・通信制・全日制高校の、1年あたり費用の目安は以下の通りです。
全日制高校は、定時制・通信制高校に比べて長い時間の授業がある分、高額な学費がかかります。さらに、修学旅行や遠足の費用などが必要です。定時制・通信制高校は、全日制高校に比べて安めではありますが、地域や学校によって差があります。
志望校の費用をしっかりと確認してから、入学を検討してください。
学習方法・教科
全日制高校・定時制高校は、教室でクラスメイトと授業を受けます。通信制高校は、自宅学習が中心で、一部学校で授業を受ける日があります。
また、卒業に必要な教科の規定は、定時制・通信制・全日制高校で同じです。卒業までに必要な単位数は74単位以上と定められ、そのうち30単位程度が必修科目で、残りは選択科目の中から高校ごとに決められた教科を履修します。
必修科目と選択科目には、国語や数学など、大きく分類すると同じ教科が含まれています。しかし、必履修科目は、選択科目よりも比較的易しい教科が多めです。
たとえば、数学の必履修科目は、「数学I」と決められています。一方、数学の選択科目は、「数学基礎、数学I/II/III、数学A/B/C」からの選択です。
登校日数・時間帯
全日制高校と定時制高校は、基本的には週5日通うことになります。通信制高校の登校日数は人によってバラバラです。週5日登校する学生もいれば、年5日程度しか通わない学生もいます。
また、全日制高校と通信制高校の登校日は、朝から通学して夕方まで授業を受けます。ただし、通信制高校の方が、1日の授業時間は短めです。
定時制高校は「午前中のみ」「午後から夜にかけて」「夜間に通学」など、人によって授業を受ける時間帯が異なります。
毎日通うのが難しい学生は通信制高校を、毎日通えるけれど1日に長時間受けるのが難しい学生は定時制高校を選ぶとよいでしょう。
通信制高校のメリット
通信制高校のメリットは、主に以下の3点です。
- 費用が安い
- 入学時期が選びやすい
- 自分のペースで学習できる
それぞれ詳しく説明します。
費用が安い
通信制高校の学費は、定時制や全日制高校に比べて安い傾向にあります。
公立の通信制高校の学費は安いところで年5万円程度ですが、公立の全日制高校の学費は安いところで年25万円程度です。
ただし、通信制高校の場合、多くの生徒はサポート校(各校で独自の教育カリキュラム持つ民間教育施設)に入学します。通信制高校サポート校の学費は、年間20万〜100万円です。
費用はかかりますが、通信制高校に通うならサポート校に入学することも一度検討しておくことを推奨します。サポート校では、学力支援のほかにも、メンタルケアや資格取得、進学・就職などの支援が受けられます。
小学校や中学校であまり学校に行けていなかったという生徒でも、自立できるプログラムが組まれているため、サポート校をぜひ活用してください。
入学時期が選びやすい
通信制高校は、入学時期が4月と10月の2回に分けられていることが多いです。学校によっては、通年受け入れています。
また、転入・編入の受け入れは、基本的にいつでも行われています。
定時制・全日制高校の場合、原則4月入学です。4月以外の時期から高校に通っておきたい場合は、通信制高校を選ぶのがよいでしょう。
自分のペースで学習できる
自宅で授業を受けられる通信制高校は、自分のペースで学習がしやすくなっています。
テストが比較的簡単なので、卒業に必要な単位が取りやすく、自分のペースで勉強をしても基本的に卒業は可能です。
「人と学力を比べられるのが苦手」「授業がわからないときには焦る」といった学生は、通信制高校の選択をおすすめします。
通信制高校のデメリット
通信制高校のデメリットは、主に以下の3点です。
- 大学受験が難しい
- 友達を作る機会が少ない
- 世間からの偏見がある
それぞれ詳しく説明します。
大学受験が難しい
通信制高校は自分のペースで勉強ができる分、大学を目指したい学生は気持ちを切らさず、自分で受験勉強を続ける必要があります。
令和6年度の通信制高校卒業生の大学進学率は26.5%です。大学進学は、決して不可能ではありません。
通信制高校やサポート校で、大学への推薦を受けられる場合もあります。通信制高校を目指す学生で大学に行きたい人は、入学前に大学への推薦がないか確認しておくのもよいでしょう。
通信制高校サポート校「HR高等学院」は、海外71大学への推薦制度枠を獲得しています。QS世界大学ランキングで18位の難関校、シドニー大学への推薦もあります。
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友達を作る機会が少ない
通信制高校でオンライン授業を受けていると、友達を作る機会が少なくなります。
信頼のおける友達を作ることは重要です。学校に通えるようなら、なるべく通学の頻度を上げるよう心がけるのをおすすめします。
「学校に行きたくなってきたなあ」という気持ちが芽生えてきたときのために、途中からでも通学の頻度を変えやすい制度を設けている通信制高校を選んでおくとよいでしょう。
世間からの偏見がある
世間には、通信制高校の卒業生を、あまりいい人材ではないと見ている人もいます。
しかし、通信制高校の卒業生も、全日制高校を卒業した人と同じく高校卒業資格が得られます。
大学入学試験は、個人の力量で合否が判定されます。
このように卒業後の進路で、通信制高校に通っていたことが不利に働くことはほとんどないため、安心してください。
定時制高校のメリット
定時制高校のメリットは、主に以下の3点です。
- 自由な時間が多い
- 働きながら学べる
- 就職サポートが手厚い
それぞれ詳しく説明します。
自由な時間が多い
定時制高校の1日あたりの授業時間は、全日制高校よりも短いため、自由に使える時間が多くなります。
定時制高校は1日約4時間の授業時間なのに対し、全日制高校は1日約6時間です。
病気などで「長時間授業を受けるのが難しい」「朝早く起きられない」といった学生にとって大きなメリットでしょう。
働きながら学べる
定時制高校には自由な時間が多いので、働いている人でも通えます。
「朝から仕事をして、夜の時間には学校に通う」といった生活を送っている学生もいます。
「家庭の都合で働かなければならない」「自分で学費を稼がなければならない」などの人は、定時制高校を選ぶとよいでしょう。
就職サポートが手厚い
定時制高校では、学校内で就職ガイダンスや合同企業説明会などが開催されることが多くあります。全日制高校に比べて、就職サポートが手厚いのが特徴です。
令和6年度の調査では、全日制高校卒業生の就職率は14%、定時制高校卒業者の就職率は36%です。
もともと就職意向が高い生徒やすでに社会人である方が入学していることもありますが、定時制高校の就職率が高いのは、生徒側からの求めに応じて就職サポートに力を入れていることもあるでしょう。
ただし、受けられる就職サポートは高校によって異なります。卒業後の進路で、就職を希望する場合には、入学前にどのような就職サポートを受けられるのか確認しておきましょう。
定時制高校のデメリット
通信制高校のデメリットは、主に以下の2点です。
- 進学のサポートが少ない
- 中途での退学者が比較的多い
それぞれ詳しく説明します。
進学のサポートが少ない
定時制高校では、主に以下の2点の理由から、進学へのサポートが少ない傾向にあります。
- 大学受験に対応した授業をする時間がない
- 進学を希望する学生が少ない
定時制高校の授業時間は少なく、大学受験対策に時間を取る余裕がないことがほとんどです。大学進学を志望する場合は「家庭教師をつける」「塾に通う」など、独学で受験勉強をする必要があります。
また、進学を希望する学生が少ないといった理由から、進学へのサポートが少ない傾向にあります。
大学受験を希望するなら、家庭学習を頑張らなければなりません。
中途での退学者が比較的多い
令和5年度における、定時制・通信制・全日制高校の全学生数に占める中途退学者の割合は以下の通りです。
出典:文部科学省「令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」
上記の表から、定時制高校の中途退学者の割合が多いことがわかります。
定時制高校には、働きながら学ぶ学生が多い分、多忙による体調不良など様々な理由で欠席が続き、そのまま退学する学生がいます。
定時制高校では時間の融通は利きますが、学習の進度は全員共通です。通信制高校のように、学習を自分のペースで進められるわけではないことを押さえておきましょう。
結論、通信制高校と定時制高校はどっちがいいの?
通信制高校と定時制高校が、どちらを選んだ方がいいのかは、人によって異なります。
ただし、通信制高校の方が幅広い学生の要望に沿っているといえるでしょう。
通信制高校は、基本的に自宅で授業を受けられるため、時間的な融通が効きます。さらに、学習を自分のペースで進められ、勉強面での心配が少ないといった特徴があります。
一方で、通信制高校だと学校に通わなくてもいい分、友達を作りにくいのがデメリットです。定時制高校は毎日通学するため、人と関わる機会が多くなります。
それぞれのメリットやデメリットを加味して、自分の状況に合った高校を選びましょう。
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「HR高等学院」は、通学の形式を完全オンラインから週5回通学まで自由に選択できます。また、コース変更は半期ごとに受け付けているので、通学の頻度を自由に変更可能です。
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最後に
定時制高校と通信制高校には、それぞれにメリットやデメリットがあり、一概にどちらがよいとはいえません。
定時制高校には「学校で授業を受ける時間が短い」「通学時間の選択によっては、朝に通わなくてもよい」といったメリットがあります。仕事をしながら卒業を目指す学生によく選ばれています。
一方、通信制高校は「基本的に、自宅から授業を受けられる」「学習を自分のペースで進められる」などがメリットです。これまでに不登校を経験していて、学校に通うのが難しい学生に選ばれています。
ただし、通信制高校には学校に通わなくてもよい分、友達が作りにくいといったデメリットがあります。高校生活で友達を作りたいと思う人は、学校に通える状況になったとき、学校に行く頻度を上げられる制度のある学校を選ぶのがよいでしょう。
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